風船をふくらませる

ギリギリまで、ひといき、またひといき

これが、わたしの 愛



 
読み人知らずの
ささやかな空気の振動を
耳たぶでそっと掬って
外耳道へ流し込む

外耳道の突きあたりの
気弱すぎる鼓膜のときめきを
耳小骨は丁寧に拾い集め
蝸牛の殻に押し込める
 ....
ただしい孤独は
凛として涼やかな音色であった

愛しい憂鬱は
窓辺に花をさして髪を梳かす

美しい季節は
褒めそやされて散る花びら達で
そこそこ保たれるものだ

どうしようもない時 ....
団地の狭い庭に桃を植えて
安くて新鮮な桃を食べようなどと
欲を張ったのだが
日当たりは良くないので
おいしい実がなったかどうか
それも分からないまま…

たっぷりの肥料と 
水やりをし ....
あの頃はただ遠くから見ていたの同窓会は隣に座る 本当の涙は右目から溢れ芝居の涙は左で光る なんとかここから這い出そうと
あらん限り手を伸ばしても
握りしめるのは砂ばかりで
こっちだよこっちだよと
地底から伸びる生ぬるい手に
足首を絡めとられる

もがくたびに砂を呑み込み
喉 ....
 上手く折れない
 紙飛行機が
 放り込んだ屑籠の
 縁から顔を覗かせている

 拾い上げて
 半開きの窓に向けて
 今一度、飛ばしてみるが

 盲の鳥のように
 あさっての方向へ ....
 凪いだ水面のしずかさで
 花のように老いてゆく
 女がいる


 さくら
 と よばれた
 ひとりの女は
 ひとりの男の
 妹で


 おまえのよろこぶような
 ....
都心の驟雨にアスファルトが匂い立つ。
ここの緑に匂いは無い。
私は長年連れ添った悪習と手を切ろうとするのだが、
そんな心意気も地を這う無数の影に踏みにじられてしまう。

 
人を旅へと誘う ....
君はクラスの中でただ一人
輝く褐色の肌を纏った男の子

幼児部の時は
「お母さんに会いたい」とよく泣いていた

お母さんはさぞかし優しい人なのだろうか?
遠足の日 君のお弁当は
ポテト ....
ヒヤリとする
時々止まる
夫の寝息
左手首の動脈を
右手の指先でさぐり当てる
脈に触れれば
自然とそれを数えてしまう
まるで
生きていることを
確認するように
えいえんに似たそのリズムを

日が暮れて
血の匂いがする ....
為平 澪さんのおすすめリスト(283)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
風船- 殿上 童自由詩20*14-6-23
聞こえた- nonya自由詩19*14-6-21
ただしい孤独について- 梅昆布茶自由詩2014-6-19
夢を食う- イナエ自由詩19*14-6-19
あの頃はただ遠くから見ていたの同窓会は隣に座る- 北大路京 ...短歌414-6-18
本当の涙は右目から溢れ芝居の涙は左で光る- 北大路京 ...短歌514-6-17
嘘っぱちの権力- ららばい自由詩614-6-15
飛べない翼- まーつん自由詩23*14-5-22
さくらの笑み- 石川敬大自由詩1114-5-15
都会- ヒヤシン ...自由詩8*14-5-14
君に与えられた色- 夏美かを ...自由詩28*14-5-9
いびきのあいだで- 森川美咲川柳5*14-5-4
夜の洞窟で- そらの珊 ...自由詩12*14-4-17

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