すべてのおすすめ
 
 
塩水を買って帰る
安かったから、と妻に渡すと
またこんなもの買ってきて
そう言いながらも大事そうに抱えて
海に帰っていく
今日のおすすめはこれです
テレビの人が言った
(午前 ....
 
 
妻は昨日より少し細長くなって
収まる場所がまだ見つからない
その隣では去年より手足の短くなった娘が
似合わないチェックの服ではしゃいでいる
息子はといえば三日前からトランクに入った ....
 
 
とり急ぎ、という言葉を初めて聞いたとき
鳥も急ぐのだと思った
正確に言うと
へえ、鳥も急ぐんだ、と思った
それはユウコの初めての言葉だった
今思えばあの頃
鳥は皆、急いでいたよ ....
僕に関係の無い人が笑っている
僕に関係の無い人が泣いている
僕に関係の無い人が風に揺れている
僕も少し風に揺れながら口を開けて
あの日のことを思い出そうとしている
あの日、が何のことなの ....
 
 
雨が降ってきた
それに加えて午後からは
槍まで降ってきた

雨が降ろうが
槍が降ろうが
必ず行くよ
と言っていた友人は
終に来ることはなかった

窓を開けると
代わり ....
 
 
駅前で女が
ヴァイオリンのように泣いていた

男がやって来て
指揮者のように煙草をふかし始めた

観客のように
人々は足早に通り過ぎた

銀色の魚が身を翻し

都会は ....
 
 
列車も停まらないような
ホームの一番端でひとり
ご飯を食べている
ちゃぶ台は誰かが置いていってくれた
多分、親切な人なのだと思う

納豆や根菜類の煮物など
好きなおかずを並べ ....
 
 
水に音がする
今日、記念日
心臓がヒトからヒトへと
伝染していく
いくつもの屍をまたいできた命が
測量会社の裏口を叩く
内から命の返事がある
シャボン玉は飛ぶ
空へと延びる ....
 
豆腐がテーブルの下に入ったまま
出てこようとしない
いくら呼んでも
何の反応もしないでじっとしている
仕方なく椅子をどけて
自分がテーブルの下に入る
特に豆腐に恨みがあるわけでも ....
 
 
最終バスの斜め前の席
緑色のハナムグリが一匹
青いシートにしがみついている
埠頭から乗車してきたのだろうか
もしかしたらずっと前から乗っていて
既に何往復かしているのかもしれない ....
 
 
時計の断面が落ちている
側に誰かの置いた花束がある
初夏の陽射しは影をつくり
わたしはわたしの影を
地面に埋めていく
勝者などいない
敗者だけの戦いが終わったのだ
イワシの缶 ....
 
 
誰かのための
湿った窓がある
三本の線を反復できずに歩いて渡る
蟹たち
をわたしは避けて
自分の指の形がいつもより気になったので
どこかに忘れてきた雨傘の代わりに
古道具屋で ....
 
 
光は屈折し
やがてその先端は
壁の末期へと続いていく

何かあってはいけないので
あなたは洗面所で
数を数えている

川幅の狭い橋を渡ってきた、と
わたしは告げ
手を握 ....
 
 
砂でできた掌が
記憶の水に
崩れていく
そしてそれを受け止めようとする別の
掌がある
赤茶けた鉄路は
臨海の工業地帯へと続き
大きくカーブする
その付近で
群生する草の穂 ....
 
 
ワイシャツにアイロンをかけているうちに
見知らぬところまで来てしまった
さっきまでいっしょにいた妻や娘の姿も見えない
どこか淋しい感じのするグラウンドで
赤勝て
白勝て
子ども ....
  
 
ぼくの中を犬が泳ぐ
きれいな犬かきのフォームで
どこかにある向こう岸を目指して
一方ぼくはといえば
水の中どころか
空気の中でもうまく泳げない
手足を無駄にばたばたさせて
 ....
 
 
門のところにクラゲが大量に発生していた
透き通ってきれいな形をしているのに
触手に毒のある種類なので
外に出ることもできない
裏門から出ようとしても
この家には裏門がないし
裏 ....
 
 
鉄棒のように目を覚まし
自分の肌と同系色のものを食べ
いつの間にか飛行機に乗らなければいけない
ということに気づき
慌てて二階にしかない部屋で
知っている限りの身支度をし
途中 ....
 
 
カニの甲羅に
雪が降り積もる

ブランコは揺れる
誰かの言葉の
力を借りて

食べ飽きてしまったね
紙の形は

自分の目を覗き込むと
動いている人の
背中が見える ....
 

 
父はサボテンでした
とげはありませんでしたが
サボテンでした
水を蓄える仕組みがあるわけもなく
少しの水では生きていくこともできませんでした
ましてや荒野に一人
じっと立っ ....
 
人形の折れた手首を持ったまま母の帰りを一人待ってた
 
 
説明しようとして絶命してしまった僕のレジュメが空へと
 
 
深夜、ヒツジが僕を数えている、可愛そうにまだ眠れないのだ
 ....
つぶやく、と、言葉が
僕をポケットにする
だから何でも入るし
ピアノだって上手に弾ける
ピアノを弾くと父はだんだん丸くなり
丸くなった背中を母が高く馬跳びする
着地したところはす ....
インディアン・パークに行こう
インディアン・パーク、インディアン・パーク
老若男女みんなが大好きな
インディアン・パークに行こう
手に口をあてて
アワワワとインディアンの真似をしよう
イン ....
鵜飼千代子さんのたもつさんおすすめリスト(23)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
つぶやかない(二)- たもつ自由詩1121-3-12
ドライブ- たもつ自由詩420-5-17
生活- たもつ自由詩9*20-3-20
さよなら- たもつ自由詩2518-6-8
約束- たもつ自由詩2115-6-10
都会魚- たもつ自由詩713-3-23
お代り- たもつ自由詩2011-1-23
記念日- たもつ自由詩710-9-2
冷奴- たもつ自由詩910-7-19
ハナムグリ- たもつ自由詩310-7-6
花束- たもつ自由詩810-7-3
湿った窓- たもつ自由詩710-6-19
- たもつ自由詩10+10-6-5
穂先- たもつ自由詩610-6-2
温度- たもつ自由詩1010-5-23
入口- たもつ自由詩810-5-15
- たもつ自由詩1310-5-10
わがまま- たもつ自由詩510-5-7
降雪- たもつ自由詩610-4-11
童話(サボテン)- たもつ自由詩910-4-7
おままごと- たもつ短歌1610-3-26
ポケット- たもつ自由詩1010-3-11
インディアン・パークに行こう- たもつ自由詩10+06-3-9

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する