思い出の森をさまよう僕はもう少年時代の歌詞から遠い


おにぎりの形している山登る今はまだまだ海苔の真ん中


紫陽花に紋白蝶の眠る午後わたしが汚れているのが解る


花粉から誘われ ....
青き百合を水に葬る手のひらのかたちのように流れゆく指


横隔膜の失いたる平衡感覚で剣のうへももはや荒野


牛乳を一気飲みする冷たさにすべての蝶の真白く映えり


目を閉じて遠き木 ....
風船がしぼんでゆくのは見たくないだから今すぐ針を刺してよ


箱ならば開けてしまうよ血管を通うわたしのパンドラの血


飢えている仔猫にミルクあげるとき黒い何かの目覚めに気付く


 ....
ぼくたちの出会いを事故と名づければたちまちエアーバッグが邪魔で


消えかかる蛍光灯の真似をするきみの瞬きずっと見ていた


きみのその背中の刺青の蝶を捕らえるために彫りし蜘蛛の巣

 ....
降り立った夏の停車場せみたちの鳴き声拍手喝采のごと


実家へと歩く田園風景のさびしきひとりと描かれる夜


秘密基地としての廃屋いまはもう月光だけの棲み家となりて


失った記憶と ....
踏み込んだところが山の入り口でお眠りここがゆめの入り口


僕はまだ死んでいないとあなたから雲の手紙がひろがる深空


この花の名前をあなたに聞いたはず昨日の夢の廃屋の庭


生きて ....
やわらかく流れる小川わたくしのちひさな闇にきらめくひかり


クローバー探して回る少年と少女の絵画にみとれるぼくら


ぼくたちのこの関係を奪うのが風なら運び来るものも風


河原に ....
乱反射している飛沫に映るきみ刹那に過ぎ行く夏のはじまり


六月を雨の季節とたとえれば花嫁たちのヴェールは時雨


水の中の八月だから転校すきみの街までクロールでゆく


ひたいから ....
竹の子を探す少年少女らを囲む竹林千本の闇


ウミウシという生き物がいることもやがて知るのか二歳の娘


あの日きみが嫌いと言った茄子を見て疼くこころのむらさきの痣


たこ焼きのた ....
ぼくたちを結ぶ機会を握ってる獣は未だ箱舟の中


辿り着く場所はどこだかわからないゴタゴタしてる神様の庭


迷い込む羊の群れのただなかできみとよく似たガラスを探す


抱きしめるガ ....
どちらかがいるんだろうよ檻の中ぼくかゴリラか知らないけれど


ずっとふたり一緒だったね動物園 檻の中でも一緒だったね


挟まってあなたの頭ぬけなくて慌てて呼んだわ飼育係を


赤 ....
追い越してしまえばすべて思い出となりゆく柱の背比べの跡


お花見に行ったせいだと返される昨夜のゆめの桜色のわけ


例えようとしても例えることできぬ僕らひとつの真実として


遠く ....
満開のころに降る雨いつもいつも恋に似たものすべてはかない


なんとなく聞こえる卵の殻が今割れた気がする恋人前夜


自転車であなたの街に着く前に五月の風に抱かれるわたし


たくさ ....
きみがまだ少女の頃はぼくもまた少年だった すれ違う駅


きみと向かいあって話した教室が世界のすべてであったあの夏


きみの吸ってたマルボロライトを吸ってみる吐き出す煙が重い七月

 ....
生きている不思議な夢を君は見た?そろそろ君は目覚めるかもね


野山駆け野山駆けられ僕たちは遂に野山に野山られてる


回転扉を閉めれば良いのですあからさまな反射など屈折してしまう

 ....
春 風 や お ま え と 初 め て 会 っ た こ ろ


春 の 水 か わ か ぬ う ち に 口 づ け よ


花 ご ろ も 窓 の 外 に は 雨 が 降 る

 ....
いつまでも辿り着けないきみがいる村の名前も思い出せずに


寒村に降りだす雪の音階で深いねむりに落ちる 失恋


村々が燃えてゆきます雪の夜ひとつの火の粉とゆう名のあなた


赤い傘 ....
思いきり笑ったきみの口のなかで光る銀歯が見える三月


にらまれる動物園の蛇の目に何かを思い出しているきみ


ふたりして手を伸ばしても青空の青の部分に届かない春


赤と青、歩行者 ....
チ ュ ー リ ッ プ 握 り つ ぶ し て 大 人 か な


山 笑 ふ 大 い に 鼻 孔 を 抜 け る 蟲


純 水 を 流 し つ づ け る 春 の 川


 ....
ビ ー 玉 や 転 が り ま わ る 春 の 山


舌 つ づ み 打 つ 手 の ひ ら の し じ み か な


鞦 韆 の 上 に 忘 れ た 漢 字 帳


脱 ....
声色を変えてもわかるきみのこと遺伝子レベルで記憶してるから


色々と迷いましたよだけどこれこれにしますよこれはシャケ弁


開花してしまった空をもう一度つぼみに戻す さらば空想


 ....
春分の朝のひかりが桃色に染め上げてゆく雲を見ている


結んだ髪に椿を挿して出掛けましょじんこうてきなダムを見ましょう


最短で森の迷路を抜ける道あなたが選ぶ毒の木いちご


ばた ....
形状を記憶しているつもりなら今すぐ夢の断片ひろえ


轟音の低音ベースが鳴る部屋で無音のきみがほほえんでいる


失った真夜中ひとり花園で紋白蝶を両手で潰す


密葬す巨大な木々に囲 ....
眠たくて思考回路がぐにゃぐにゃとマーヴル模様に溶けてゆく午後


コウモリが戯れている春の宵ゴーストたちと花見してます


黒い文字無数に踊るタンバリン片手に踊れ闇の俳人


携帯の ....
塔というひとつの崩れるあこがれや空へと伸ばした腕の傷痕


傷つけて傷つけられて庭先で裸足のままで梅の香を嗅ぐ


濁流に映りしきみの微笑みか重たき日々の波のきらめき


階段の日陰 ....
{引用=ぼくらは起きることを待っている偶然そのもの    by Thom e Yorke}


サジ加減まちがえないでね甘すぎるコーヒーなんて甘いだけだわ


狭すぎる棺桶だから埋められる ....
望遠鏡さかさに覗くぼくたちは遠距離過ぎたりぶつかりあったり


プラスとかマイナスだとかカタカナで考えているきみはプラスだ


携帯を携帯せずに携帯すなぞなぞみたいな恋の答えは?


 ....
忘れてる憶えていない僕たちはいつからここにひとりでいるの


真っ二つに裂ける桃です落下して蟻がたかって朽ちてさよなら


この場所からもっとも遠いところとはたとえばあなたの微笑むところ
 ....
もう一度白い世界さ何もない何もないのさすべて以外に


聴こえるかい草原をゆくぼくたちの忘れたすべての木々のざわめき


もぎ取った翼を売ってぼくたちは生まれたのだときみに言われた

 ....
振り向けば見慣れぬ田園地帯からぼくに似たきみ空を呼んでる


青空を描き続ける画家としていつでも眠るときも仰向け


ゆびさきに雪のひとひら落ちてきて京都は違う明日を生みます


落 ....
本木はじめ(239)
タイトル カテゴリ Point 日付
雲の上のレタス短歌1205/6/19 2:07
消灯時間/蝶のかたちに展がる雫短歌1305/6/15 0:36
黒い花束短歌905/6/12 20:04
六月は雨短歌1705/6/9 23:08
雨色の断片短歌19*05/5/18 23:16
DAYDREAM BELIEVER短歌1205/5/15 19:28
見上げる木蔭に思い出が降る短歌11*05/5/13 23:06
EN DLESS SU M MER短歌905/5/6 1:03
【短歌祭参加作品】食卓までのディスタンス短歌8*05/5/4 18:20
僕たちの行方短歌1105/4/13 19:00
ZOO短歌705/4/12 19:09
TODAY短歌305/4/11 22:47
TOMORROWNEVERKNOWS短歌905/4/10 20:55
イエスタデイをうたって短歌17*05/4/5 19:49
春のそうめん短歌7*05/4/4 1:10
春の腕組み俳句305/4/1 22:56
春の廃村短歌605/4/1 19:24
春の花嫁短歌705/3/29 20:31
春のおゆうぎ俳句505/3/28 23:37
春のうたた寝俳句705/3/25 18:41
春のきまぐれ短歌10*05/3/24 22:56
春の背泳ぎ短歌10*05/3/22 1:50
むらさきせかい短歌705/3/12 19:39
グエロ短歌605/3/8 15:04
REINCARNATION短歌605/3/8 5:01
MOTION PICTURE SOUNDTRACK短歌505/2/27 2:44
スゥイート、スゥイート。短歌405/2/25 0:14
恋愛焦土短歌405/2/23 21:51
洪水反射短歌3*05/2/22 22:25
夢中遊行短歌4*05/2/19 13:19

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