黒い花束
本木はじめ

風船がしぼんでゆくのは見たくないだから今すぐ針を刺してよ


箱ならば開けてしまうよ血管を通うわたしのパンドラの血


飢えている仔猫にミルクあげるとき黒い何かの目覚めに気付く


試験中ねむるあなたを救うため火災報知機鳴らして起こす


ホタルホタルおまえの儚くやわらかい光が世界を暗くしてゆく


髪形が決まらないから出かけない小鳥や夜空もあなたの視線


曇天の午後四時すべて無機質な世界に変わる告白のあと


いくつもの世界が閉じてゆくでしょう黒い花束かかえて眠る






短歌 黒い花束 Copyright 本木はじめ 2005-06-12 20:04:38
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