青信号の横断歩道を渡っている

僕は歩くのが遅いけど

青だから気にせず歩く

と 車がこちら側に曲がってきて

僕のために止まる

とたん 気持ちに冷や汗が湧き

悪いことを ....
君の知っている僕が
僕のすべてであるはずがない

僕の知っている君が
君のすべてであるはずがない

人が数え切れる程度の多面体であるわけがないし
ましてや表と裏だけで構成されているはずが ....
死にてえなあ
僕のその言葉には 覚悟も
真実味もない
ただため息のように
死にてえなあ
と 声には出さずに
繰り返し言う
これといったきっかけも
はっきりとしたわけもなく
だから決意 ....
書く 書く 書く 書く

なんであれ実際に書いている人を尊敬する

書くという行為を実践している人に畏敬の念を抱く

難しいとか意味不明とか 簡単すぎるとか下らないとか

あるいは軽薄 ....
ひさかたぶりに日を浴びた
しわがれた藁半紙の香り
言葉が輪郭を失いそうだ
雨音が遠くに延びる

鏡を見ていると危うくなる
手のひらで骨格に触れてみる
わたしはこの形状で
外縁で保たれて ....
その風貌がすでに詩人だ
その背中が
横顔が
吐息が詩人だ
なんの付き合いも
口さえきいたこともなく
それでも彼の
たたずまいが
みてくれが
そうでしかないと
ひとりごちているのだ
そろそろいい歳なので
生意気になるべきだ
自分が自分になるための
いさかいはとことん受け取るべきだ
世界の一員である前に
自分自身であるべきだ
生意気でなければ
こんな男に価値はない
 ....
走った 走った
走った
久しぶりに

からだが重い
足が前に出ない
遅い 遅い
苦しい
苦しい 苦しい

苦しい!
でも
走る 走る
もう少し

もう少し
あそこまで
 ....
割り切れることも
腑に落ちることも
そんなにないよね
おう兄ちゃん
姉ちゃん
横から悪いが
割り切るとか
納得とか
そういうんじゃねえんだよ
飲み込むしかねえってことさ
こんなふう ....
でもよ
でもよ
いつもの店で
でもよが口癖のおじさんが また
でもよ とつぶやく
おじさんの
でもよ は
たまに逆接で
ほとんどが順接だ
あることを言うために
ほんの少しのためらい ....
子規は三十五で死に
二万句を書き
どれもが粒ぞろいだったという
病苦を記した散文を読むと
いたたまれなく 苦しく そして
生きる には濃度が 密度があり
濃淡があると思い知る
僕の思案は ....
何も問わず
静かにそばにいて
開くといろいろ語りかけ
連れて出してくれる
風邪のときも
不機嫌なときも
どんないでたちで
こころずまいでいるか
何ひとつ問うことなく
僕がどうでも
 ....
なんだ

どうしたんだ

僕は時間なんかに流されちゃいない

ただの一度だって 流されたことはない

僕は 確かにここに こうして いて

じっと ずっと 僕であり続けている

 ....
冬枯れの頼りない細木

足下を行き交う命

土くれの闇から水脈は空へと伸び

諦めかけたものから いまいちど

清らかなものが生まれいずる 予感

雲ひとつない空 薄く延びた青
 ....
一 「詩人」について

 柴田トヨさんの訃報があってすぐ、NHKの朝のニュースで加島祥造さんを見た。こういう人達が「詩人」とくくられてしまうのには、正直、違和感がある。相田みつをさんもそう。宗教的 ....
気泡が足下から
ひとつ またひとつ

空は青く 高く
吐息は湯気に消え

あれも
これも
思うに任せず

思案は
湯船に溶け

答えなんか出ないまま
日付だけが変わっていく ....
ねえ
 ねえ
詩を書く人って
どんな人?

いろいろでしょ
酒飲む人って
どんな人?
てのと同じ みたいな

お酒飲む人
たくさんいるけど
詩を書く人って
いないよね?

 ....
トヨさんが死んだ

あの

トヨさんが死んだ

よろこびも

かなしみも

気持ちが波にさらわれる日々

こんな時間を

百年も永らえ

言葉を紡ぎ

僕たちに残し ....
わたし

その器から

人間があふれ出す

あとになっては

思い出せもしないことで

ふいに気持ちが弾け

嗚咽する夜がある

灰色の日常に染められ

瞳も心も淀んだ ....
ほめられたくって
書いたってしかたない

ほんとは少しは
ほめられもしたいけど

自分はこんなふうだった
そう 残したい

長く生きるかもしれないし
そうじゃないかもしれない

 ....
冬の夜

街灯から離れた暗がり

こんなにも遠かったんだ

喜びも悲しみもちりばめた星空

カルガモが音もなく泳ぎ

湖面に浮かんだ月が揺れる

語り合うことも

言い合う ....
いいことも

わるいことも

関係なしに

うつくしい

ため息さえも

いとおしく

白くかがやく

冬の青空
万引き犯が警備員に連れて行かれた
すれちがいざま目が合った

過ちを犯した者に
注がれるさげすみ

愚か者の目と
僕の目

この瞳にさげすみは混じっていたか
そんな資格は僕にはない
絶望

この気持ちには

そう名づけるほかないのか

ざく ざく

目覚める者もまだだろう

夜明け前の残雪を踏みしめ

ざく ざく

終わり

その言葉が

何度 ....
ありがとうございます
すいません、じじいなもんで、見えねえや

喫茶店で
七十前後の男が小銭を落とし、
床に数枚転がった

僕は眼鏡をかけ、
床を見渡して百円玉を一枚見つけ、
男と男 ....
もういくつ寝る
もういくつ起きる
あとなんどほほえみ
あとなんど涙こぼるる
とりたてて
言うこともない一日も
にどと来ない一日
ひさかたぶりのふるさとの
整備された寂しい通り
ときは ....
僕という生命体に
物質が凝縮されているうちに
言いたいことを言ってしまえ
恥じらいと
体裁を
かなぐりすてて
奥底から飛び出す ことば
ぜいたくものの代わり
顰蹙なら買い占めてしまえ
 ....
うまれた刹那
自覚なし
消えゆく刹那も
わかりやしない
いつも誰かが
何かにつけて
いみ
を勝手に
手渡すけれど
始まりも
終わりも
ほんとは曖昧
滲んでる
りくつ
へりく ....
日の出前
生命以前の静寂
ただ刻々
事実だけが降り積もり
上滑りしていく感情
淀んだ意識のまま
時間をやりくりし
このような自分だ
と凝視する朝
いちゃもんを
自分で自分に
つけ ....
まちじゅう
きらきら
こぼれる
ことば

ぶきよう
きよう
とりどり
あかり

すきも
きらいも
ほしふる
こよい

えみも
なみだも
きらきら
こぼれ

ゆき ....
三田九郎(151)
タイトル カテゴリ Point 日付
ちんたら自由詩1+13/3/3 23:59
奇跡自由詩513/3/3 23:42
ギラリ自由詩113/3/1 22:35
書く自由詩113/3/1 22:19
輪郭自由詩813/3/1 21:28
詩人自由詩0*13/2/25 23:22
種火自由詩513/2/25 22:26
走った自由詩2*13/2/18 7:10
おちょこ自由詩213/2/17 21:53
でもよ自由詩6*13/2/16 6:12
駄作自由詩4*13/2/16 6:02
自由詩5*13/2/12 21:51
ハードル自由詩013/2/11 6:20
レジャーシート自由詩113/2/11 5:54
動機散文(批評 ...113/2/9 6:19
銭湯自由詩4*13/1/26 19:31
仮面詩人自由詩2*13/1/24 23:46
トヨさん自由詩913/1/24 23:22
自由詩5*13/1/24 23:02
宣言自由詩4*13/1/22 23:04
冬の夜のベンチで自由詩3*13/1/22 22:40
かがやき自由詩7*13/1/20 8:03
愚か者自由詩2*13/1/19 10:52
再び自由詩213/1/19 10:09
友情自由詩2*13/1/12 20:54
砂利道自由詩4*12/12/29 22:17
巣立ち自由詩312/12/23 4:15
自由詩412/12/22 21:08
いちゃもん自由詩7*12/12/22 6:20
サンタフル自由詩2*12/12/21 22:29

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