ハードル
三田九郎

なんだ

どうしたんだ

僕は時間なんかに流されちゃいない

ただの一度だって 流されたことはない

僕は 確かにここに こうして いて

じっと ずっと 僕であり続けている

流されていったことなど一度もない

わからないことをわかったように済ませ

知ったふうなすまし顔などできはしない

ハードルが 次々 眼前に迫り来る

飛び越え方、教えてもらったことなかったな

月曜が来る

月曜の夜明けが 朝が 昼が来る

火曜が 水曜が 木曜が来る

時間が勝手に 押し寄せてくる

七時になり 十一時 十五時 二十二時に

そのハードルにぶつかり

ぶつかり ぶつかり

時には打ち破り 打ち倒され

生きた時間の分だけ 傷を負い 負わせた

時間が勝手に押し寄せてくるんだ

そして勝手に去ってゆく

未来とか過去とか 勝手な呼び名で

賛美したり 美化したり させて

時間はただ 押しかけてきて

知らん顔で過ぎ 世界を惑わす

流されたことなど 僕はない

じっと ずっと 僕は僕で

経ち続けた分だけ 傷を負い

傷の分だけ 死のほうへ 追いやられていく

ままならないことが多すぎる

こうしているうちにも

ハードルはどんどん

僕をめがけて駆け込んでくる

ただ 確かに僕は こうして いて

ここからは ほんの少しも 流されはしまい

時の流れと 切り結んでいく


自由詩 ハードル Copyright 三田九郎 2013-02-11 06:20:18
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