「趣味は何ですか?」と訊かれて、「詩を書くこと」と答えるのは難しい。なんだかものすごく恥ずかしいし、そもそもたぶん、詩を書くことは趣味なんかじゃないと思っているからだと思う、心のどこかで。

  ....
君がなにかTVの話をしている

脳に注がれる曖昧でぬるい声色

もっともらしいことを言うので

もっともらしく首肯してみせる

君の紅茶がおいしいのは不変だ

いつもの紅茶が口腔を ....
なんにもないのが嫌で

空疎な行為を義務化する

一文字

次にまた一文字しるし

空白をうずめて いく


自分を生き埋めにして

いく みたいだ

苦しいけど 中毒的 ....
眼鏡変えたんだね

え、あ、うん、

戸惑いを読み解かれてしまいそう

恐怖、羞恥、快感が

音を立てて入り混じっていく

アップル、

オレンジ、

マンゴーも入れてみま ....
泣きたくたって泣かない

笑いたくもないのに笑う

言いたくもないことを言い

言いたいことは言わずにいる

その哀しみから逃れるために

僕らは今夜、旅に出る

言葉なんかい ....
遠い遠いあの月を

強引に引き寄せて

無理にでも抱き寄せて

眠りの深い底まで

落ちていってしまいたい

待っているんだ

あの闇のもっと先に
人生の角度に違和感を覚える

最近、研ぎが足りないようだ

前進しようにも

ずぶ
  ずぶ

埋もれていく

ベクトルが下向いちゃってるんだ

進んでますけど下降してます
 ....
いつも同じにしてるのに

甘い日と

苦い日

傘を持っていっても

いかなくても

はずれそうな空

 一杯だって

 同じ珈琲はないんです

しても

しなくて ....
酒を飲むのと

書くのとは少し似ている

ひとりでこうして書いていると

波立つ胸が落ち着いていく

秋の夜風の優しさに

油断すると涙こぼるる

誰にも知られることのない
 ....
改札

を過ぎると薄暗い穴に吸い込まれる

二秒又は三秒

そして薄紅の膜に包まれ

僕は精神の一部を失って

吐き出され

通勤の群れに侵食され

溶け入る

ああい ....
もう1回だけちゃんと生きてみよう

ちゃんともくそもあるもんか

雨浴びる白いあじさい

追い抜く黒いスクーター

誰かが今日も死んでいく

そのうち僕が死んでも

生きてても ....
瞳を閉じて

耳を塞いで

夜の海に漕ぎ出した

月光を浴びる両の手

持ち合わせの錆びたナイフ

ためらいをなぞる海面の揺らぎ

切っ先の甘いきらめき

冷気で象られた静 ....
青空の下

陽射しとそよ風は私を抱き

いつもの道に紅葉を敷き詰め ふと

背中を押した

失意も微笑みも同居したわたしを

おいで と呼ぶものたち

退院日、昼下がり

 ....
スクランブル交差点

気流に乗って

目が 耳が

わたしの身体が

ばらばらになっていく

わたしだったものが

あらゆる方位に

遠ざかっていく

赤信号

残 ....
巻き髪から星がこぼれ落ちた

すれ違い、振り返り、立ち止まる人

路上に触れては跳ね、また落ちる

光の粒が飛び散って舞い上がる

地と中空に

広がって、広がって、

広がる ....
風を浴び

空を見上げ

擦り切れたシャツのほころび


海は凪いで

光の粒

さらさらと歩いてくる


中学の帰り道

君の部屋のカーテンは揺れ

膨らんでは遠 ....
くらくらする

聞こえるものと聞こえないものの境界線が溶けてって

くらくらするんだよ くらくら

くらくら くらくらするああもう

君の愛の台詞の裏に ああもう

へば ....
くもだ

くもっていた

吸い込んで

吐き出した からっぽ

くもだ

逃げ出した

世界はふたつに割れ

青白い裸が

無防備な

あなたそのものが

広が ....
無地のキャンバス塗りたくる

台詞吐き出し続けてる

時代遅れの汽車は遠く

未練がましくたなびいている

あの排煙は何のつもり

セピア色の破れたアルバム

寒空に下手くそギ ....
パソコンの画面に向かって詩を書いている。

書いては消すとりとめのない時間。

マグカップに何度も手を伸ばし、口をつける。

今夜はいつにもましてまとまりそうにない。

言葉の選択に躊 ....
偽りのやさしさを振りまいてきた

悲しみも知らないし

よりそうこともできないくせに

見せかけの安い言葉を並べてた

ずっとずっと本当にずっと

抱いていて欲しかった  ....
左からも右からも何も来ない

横断歩道の向こうに少年がいて

赤信号を渡るのをあきらめた

息を弾ませて駆けてきた女は

二、三歩踏み込んだ後

向こう側の少年に気づいて足を止め
 ....
電話で起こされ

昨日落としたものを取りに行った

拾得物預かり所のおじさんを誘い出して落とし穴に落とした

僕の眼前に差し出された山積みの拾得物

同じ境遇の者達と出会い

彼ら ....
幸せになりたいだけなのに

石ころが邪魔をする

右ひじに擦り傷

夜明け前、路上に寝転ぶ

幸せって何だろう

欠けてる月と目が合って

そんなもんさと言われた
眠れない

ロウソク点けて

私を溶かして

ガラスを破る猫の叫び

欲情

明日、もし晴れたら

真っ先に駆け寄って

乱暴に抱いて

溶けたロウが地面に延びて

 ....
おはよう

おはよ

オルゴール壊れた

あの音色は二度と戻らない

今日、何すんの

何もしないの

だって暑いんだもん

真夏の海岸を少年が駆けてく

アクセルを踏 ....
田んぼを抜けて向かってくる

郵便配達の排気音

二階の窓から眺めてた

少年の胸の高鳴り

昨日、アルバムを三冊捨てた

振り返るには濃密すぎて

淡すぎる過去

見知ら ....
鏡の中の私が抱きしめてあげるってささやいてる

孤独は闇の深まりとともに沈んでいく

私しか見えない闇の苦々しさに吐き気を覚える

ちっぽけな自我が膨らんで膨らんで世界のすべてみたいな顔を ....
ポートレートを眺めてた

拳銃を組み立てる少年のまなざしには魂が宿ってた

雀がベランダにやってきて鳴いた

コーヒーが美味くなった

違法伐採者の瞳は輝いてた

彼の生計にエコな ....
呼吸するみたいに愛してるとかしてないとか言われても

表情の愚かさが味覚に残っていて忘れらんない

惜しいシュートが何度も何度も何度も映し出されてた

でもあの瞬間の落胆はあの瞬間に ....
三田九郎(151)
タイトル カテゴリ Point 日付
詩を書くということ散文(批評 ...612/9/20 23:09
落日自由詩112/9/14 21:01
M自由詩112/9/13 23:09
眼鏡とブックカバー自由詩212/9/11 21:48
逃避行自由詩2*12/9/10 23:20
ダイブ自由詩212/9/10 22:49
ためらい自由詩2*12/9/10 0:08
自由詩5*12/9/8 10:11
再生自由詩2*12/9/7 22:52
街灯自由詩2*12/9/7 22:24
不細工自由詩111/6/26 19:59
ミッドナイトブルー自由詩010/12/14 21:38
おいで自由詩210/12/3 23:23
渋谷無色自由詩210/12/2 22:51
スターライトガール自由詩110/11/22 22:21
丘の上自由詩110/11/19 22:54
くらくら自由詩010/11/13 8:23
遠望自由詩210/11/13 6:58
返歌自由詩010/11/5 21:25
timeless自由詩010/9/25 10:20
孤猫自由詩110/9/21 23:26
ためらいの理由自由詩010/9/11 19:31
自由詩010/8/8 5:30
満ち欠け自由詩010/8/5 3:32
ぎらり自由詩1*10/7/18 4:08
ストロベリー自由詩4*10/7/17 8:24
逃走自由詩110/6/29 22:16
月下美人自由詩2*10/6/18 1:54
ポートレート自由詩010/6/12 11:21
RED自由詩1+*10/5/28 22:22

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