アルマジロは存外、臆病です。

こっちが遠くにいると

やけにたくましいふりをして

立ち上がったりするくせに

こっちが近づくと

慌てて丸まって

固い背中ばかり目立ちます ....
まずはこちらのショーケースをご覧ください。

数多くの思想が並んでいます。

お好きなものをお買い上げください。

お一人様2点まででお願いします。


そしてこちらの棚をご覧くださ ....
サンマがぐんぐん泳いでいます。

サンマが群れを成してぐんぐん泳いでいます。

サンマは海を泳ぎます。

サンマは海を遠くの方から

反対側の遠くの方まで泳いで

そうやって一生を ....
老人は考えています。

自分はルールの結晶なのだと

老人は考えています。


老人は考えています。

自分は自分のルールの結晶なのだと

老人は考えています。


何十年 ....
宇宙は極上に澄んでいます。

美しい漆黒に漂う、

つやつやした青色の星は

エイリアンの観光名所になっています。

月から地球を見るのが

最も美しいそうです。


宇宙は ....
あいするなんて、
けっきょくくるしいだけでしょ。
あいされることだって。

ななさいのおんなのこが
ませたことをいいながら、げこうしています。

くるしいことを
あえてもとめるなんてば ....
ひとつ告白しますが

私はキツネです。

この頭脳は

随処で都合よく化けて人を欺くように

精緻にプログラムされています。


ひとつ明らかにしますが

あなたはタヌキです ....
ミカンが泣いています。

かごに山ほどいた仲間が一つずつ

確実になくなって

心中すら約束した最後の仲間も

突然、消えてしまいました。

失ってから分かることは

あまりに ....
うちのちかくのかわには

かっぱがすんでいます。


かっぱはきゅうりがすきなので

ぼくはうちのはたけから

まいにちにさんぼん、かっぱにきゅうりをとどけました。

かっぱはか ....
中国に住む僕のおじいちゃんは

ボロボロだけどしっかりとした舟を漕いで

川を下るのが仕事です。


さすがに漕ぐのがすごく上手で

コースどりも強かで

僕も一度乗せてもらった ....
じめんにあながあいています。

それをおとこのこがのぞいています。

ふかいふかいあなです。

おとこのこのあたまくらいのあなです。

みみをすますと

ひゅうううとおとがします。 ....
さぼてん さぼてん こうやのさぼてん

いっぽんきりのこうやのさぼてん

とげはじゆうをまもるため。

とげはそんげんをたもつため。

こどくやせつなさをここうとよみかえて

きみ ....
いっこのへいぼんなたまねぎが

うそいつわりのないほんとうの

じぶんのすがたをそのめでたしかめようと

おそるおそる、いちまいかわをめくります。

そうして、すこしみがるになってみて ....
てれびをみるきょうだいのよこに

みたらしだんごが

いっぽんあって

いっぽんには

さんこささっていて

きょうだいはひとつずつたべて

のこりのいっこをふたりでうかがって ....
まちぜんたいをみおろせる、

たかいやまにすむ くまは

だれにもばかにされないくらい

おおきなくまになりたくて

やまのものをつぎからつぎへ

たべつづけていきました。

 ....
こうそうまんしょんの

さいじょうかいにすむおんなのこは

よるになると まどから

かならずつきをみます。


つきをずっとみていると

からだごとすいこまれそうになります。
 ....
果物屋のおばちゃんは

リンゴでピラミッドを作って

バナナにそれを眺めさせて

スイカでバナナのための日影を作ります。


どこよりも甘いグレープフルーツを

毎日同じ男の子が ....
午前10時の光が

この星の

この国の

この街角の

小さな女の子を照らしています。


午前10時の風が

この星の

この空の下の

このおもちゃ屋さんの
 ....
明解な文法で

あなたが残した言葉より

文法にすらならない衝動で

あなたが放った言葉の方が

私の胸を揺さぶっていました。


あなたが

ほっぺに砂糖をつけて、なお
 ....
ちきゅうが

うちゅうにうかんで

なんかいもなんかいも

まわっているうちに

あおいろが

にごってきて

あかいろが

まざってきて

はいいろが

まきつい ....
むかし、むかし

はくあきの、あるひ

てぃらのさうるすが

だいれんあいと

だいしつれんをわすれてしまおうと

むかしとんぼをおいかけて

きをなんぼんもなぎたおしているう ....
そうやってであいました。

かぜのあとをたどってきたみたいに。


そうやってであいました。

はじめてほっとするように。


そうやってであいました。

ことばがうつくしくな ....
ギンギンに陽が照りつける中

えんえんと続く海岸線の途中で

すやすやと眠って、ふと起きると

てくてくと翼を傷めたカモメがやってきて

そわそわとして寂しそうで

カラカラに喉が ....
大きな花火があがります。

小さな花火もあがります。

中くらいの花火もあがります。


きらびやかな色という色が

夜空を照らすのではなくて

夜空を背景にして

星の合間 ....
じっとしているかかしさん。

かんがえごとをしていると

だれかがいっていたけれど

それじゃしごとにならないと

ほんにんだっておもっている。



じっとしているかかしさん ....
新しい風を引き連れて
花粉が宙を舞っている。

その軌道は非学術的でも
その姿は強烈な意思を内包している。

無愛想なハチとクロスして
花粉が宙を舞っている。

その生き方は決然とし ....
昨日、うちに迷い込んだ、

丸い目をした子猫が

夜の空の右側と

夜の空の左側を

不思議そうに交互に眺めていました。

空は相変わらず広いから

多少のものは描くことができ ....
わたしはどうしていきてるの?

おんなのこがおかあさんにききます。

わたしはどうしてうまれたの?

おんなのこがおかあさんにききます。

おかあさんはゆうはんのよういをしています。
 ....
ありふれた演算子でも

洗練された定理でも

複雑な感情を記述することはできない。


明解な文法でも

思案尽くした形容詞でも

あなたの核心に接近することはできない。

 ....
おじいちゃんは手を振った。

おじいちゃんは笑っていた。

また来いよ、と言った。

また行ったら

おじいちゃんは白黒の写真になっていた。

写真のおじいちゃんは笑っていた。
 ....
ブルース瀬戸内(211)
タイトル カテゴリ Point 日付
アルマジロの月自由詩6*05/11/28 23:58
アイデンティティーショップ自由詩805/11/4 7:56
銀河系のサンマ自由詩4+*05/11/1 23:45
輪郭線のために自由詩5*05/10/28 0:01
細胞宇宙[group]自由詩405/10/18 7:32
しんえんにふれて自由詩4*05/10/9 0:46
キツネの自問自由詩5*05/10/6 19:20
ミカンの誇り自由詩4*05/10/1 14:28
かっぱ自由詩5*05/9/29 7:36
おじいちゃんと劉備自由詩11*05/9/27 7:24
ぶらっくほーる自由詩3*05/9/23 10:44
さぼてんのつじつま自由詩3*05/9/16 1:38
たまねぎのふじょうり自由詩5*05/9/15 1:36
だんご れすきゅー自由詩5*05/9/11 14:14
くまのゆめ自由詩3*05/9/8 23:22
へやのおくに自由詩8*05/9/7 8:02
ピラミッドの匠自由詩3*05/8/23 23:01
かざぐるま自由詩4*05/8/15 18:59
せれぶれいしょん自由詩505/8/12 8:33
ひーろーのかお自由詩3*05/7/29 7:37
てぃらのさうるす自由詩5*05/7/15 7:44
かぜがかぜであるくらい自由詩4*05/7/13 7:24
カモメの形を残して自由詩2*05/6/23 0:25
花火自由詩7*05/6/21 22:17
かかしのじゅなん自由詩3*05/6/14 1:39
新しい風を引き連れて自由詩3*05/6/11 1:34
コラージュの間に自由詩6*05/6/8 0:18
どおなつのあな自由詩3*05/5/31 7:54
空中分解[group]自由詩3*05/5/30 7:44
空が晴れて自由詩3*05/5/27 0:28

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