生はもしかしたら
性を撹拌したもので
あるかもしれない
性はもしかしたら
死を凝縮したもので
あるかもしれない
ぼくらは馬鹿だったのか知れない
違反デモに参加し火炎瓶を投げつけた機動隊に捕まったら
徹底的に暴行され治安を乱したものとして前科だって残る
でもぼくもぼくの仲間もそんなことを
一度も考えてみた ....
強い雨がからだを叩く
吹く風はずっと向かい風
傘なんてまったく役には立たない
だからさっき橋の上から
激流に放り捨てた
その茶色の濁った水が目指すのは
どの水も同じ所
きみよ俺だ ....
暫々どんなのろまな亀でも
兎に勝利できることがあると
愚かな昔話『兎と亀』は語っているが
あれは亀に向かっての昔話ではない
どんなときも油断をしてはならないと
兎に向けての昔話である
いか ....
ひとはだれでも忘れられていく
忘れないでと言われても
忘れないと誓っても
最初はその顔も憶えていたのに
少しずつ歳月が流れると
時の鑢に削られていくように
顔立ちは輪郭だけになり
....
よくぼくは言われたよ
過激な発言ばかりしてないで
普通のことだけを話せよと
よくぼくは言われる
山あり谷ばかりの生き方じゃなく
普通の暮らし方を覚えろと
じゃあそう言うひとたちにぼ ....
夜の街から朝の街へ
区切りをつけずに酒三昧
朝の街へと出掛けてみれば
誰もが皺も寄らないスーツ姿
僕はよれよれスーツで
満員電車と反対のがら空き方向
毎夜毎夜じゃないけれど
....
古里を失ってしまった人間は
だれにも悟られない様にしているが
ただこの世をさまよっているだけだ
もっとはっきり言うならば
たったひとりで徘徊しているだけだと
己自身は ....
戦争に於いて
捕虜の虐待を禁じる
ジュネーブ条約も
非人道的な兵器使用を禁じた
ハーグ陸戦条約などが
存在するが
それは裏側で
戦争を肯定するものであって
ぼくにはどう考えても ....
ゆっくりと列車が動きだした
この列車に乗るのはこれ1回限り
明確に行く先は知らないけれど
到着駅が近づいたときに
列車は分岐器で方向を変え
そのときにどの駅が到着駅かが
推測で ....
ぼくはあなたの死に目に逢わなかった
嫌 死に目に逢いたくはなかった
戦争を懐かしみ笑って話するあなたを
もう死んだのにいまもあなたを憎んでいる
今更あなたの冥福など祈る気持ちは
....
言えなかった言葉が余りに多過ぎて
溢れようとする言葉で喉が詰まる
失わなかった愚かさが余りに多過ぎて
嘔吐を覚えるほどに胃がせり上がってくる
落としてきたのものが余りに多過ぎて
どの ....
ぼくは何処にいくにも
カメラは持っていかない
どうしても映しておきたいなら
眼をレンズにして心のシャッターを切る
もしそれがいつか忘れるものなら
撮る価値のなかったものだと云うこと
....
ぼくの時は老いてしまった
ぼくの時は錆ついてしまった
ぼくの時は過去になってしまった
ぼくの時は昔話になってしまった
ぼくの時はもうそれを知ってしまった
ぼくの時は近 ....
歩け!走れ!動け!
人類が計量できない程の
夥しい血を流して
辿り着いた国家体制は
独裁主義・共産主義・社会主義・資本主義の
僅か四つしかない
しかし独裁主義はまず長続きはせず
共産主義が滅びる様を見 ....
生あるものすべてに
訪れる【死】
それは公平であるかの様に想える
だが去し方は
安楽もあり
突然もあり
残酷もあり
凄惨もあり
その【死】は
ひとそれぞれ
故に【死】は不公 ....
なにも動いていないなかにいる
なにかはび動だにしないようにみせかけても
動いているはずなのに
なにもおとをだしていないなかにいる
静じゃくとはしぜんなどが静かなことで
あるだけで無おんで ....
ぼくは昔 転がる石だった
ぼくを握った手の熱さを
ぼくを投げたその手の強さも
まだ忘れていない
でもいまのぼくはただの石だ
転がった所にただいるだけの
単なる石になってしまった
....
きみはひとの途を
きみはひとの絆を
きみはひとの義を
いつも見下す目線で見ている
だからだろうね
きみはいつも憤懣を抱える
きみはいつも逆鱗を覚える
きみはいつも偽善を責める
....
ひとが声を出さずに
絶叫するときは
そのまま連れ去られるか
逃れられるか分からなくとも
死神にやさしく抱擁されたときだ
やさしく抱擁する死神ほど
凄惨なこの世の別れ ....
ひとは別にペンを持たなくても
そのひとだけの生は小説である
ひとは別に筆を持たなくても
そのひとだけの生は絵画である
それは確かに歳月の流れのなかで
忘れられてゆくものかも知れないけ ....
あなたは少なくとも33年
いやバードとのセッションからとするなら
44年の音楽生活のなかでただの一度として
後ろを振り返られることはなかった
それは凡人であるぼくには
絶対にできないこと ....
ぼくはずっと はっぴい・えんどを好まず
結末の解決を観るひとたちに委ねた
ヨーロッパ映画を多く観てきたけれど
それは斜に構えようとしていた愚かさであり
実は はっぴい・えんどをもっとも求め ....
TVドラマなどでは
まず画面に映されなかった
ブラウン管TV
いまは
薄型液晶TVは牢名主かの様に
ふんぞり返って画面に映される
これは差別だろうと
ブラウン管TVたちは
廃品 ....
オーディオの世界は異性や酒や賭博とは
較べ物にならない程 のめり込めばのめみ込めほど
留まることのない私財を投入してしまう
そのひとたちはオーディオを製品と呼ばず作品と呼ぶ
そう呼ぶひとの ....
ある用事があって久しぶりに
母校の大学の図書館を訪れた帰り坂
どこかから何かを燻らしている様な
芳しいとも苦っぽいとも想える
懐かしいような想い出したくない様な
薫りが否応もなくぼく ....
確かに歳はとったよ
正直に言うなら老いたのかも知れない
からだは正直に歳月を投影する
そりゃ60年も酷使してきたんだ
無理をすれば音も挙げる
死にかけたことだってある
でもぼくの精 ....
もっと眼(まなこ)は開けておけ
正義が見えなくなる
しかしよく眼を開けたままでも
本当の正義が見えることはほとんどない
それはいつも虫けらのようにひとを
殺すためにでっち上げた贋物の ....
運命って残酷だよな
俺のダチは雨上がりに
バイクに乗っててさ
高速の小さな水溜まりに
スリップしてバイクはフェンスに
激突してダチは投げ出されて
下の道路に飛ばされて
丁度来たトラッ ....
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