張りつめた白いより糸の上で 踊るピエロ
たくさんのクラブを 放り上げたり 掴んだり
しながら踊るピエロ
ぜんまい仕掛けで
突然動きが早回しになったり
逆回転になったり
退屈はしない ....
雨粒を指先で弾くと
光が砕けた
それは夜を背景に
風の中に散っていった
相席した男がふかす
煙草の煙を呑むと
しなびた思いが伝わってきた
今のこの悲しさも
明日には忘れているの ....
顔が見えない君の姿が雨の中 走り過ぎていくよ
ドアを閉ざして立ち並ぶ高層ビルの間を なにも構わないで
豹のように身体しならせて 行き交う獲物達をすり抜けて
先が見えない不確実 ....
あるところに
色を嫌うレンズがあった
それが愛したのは形
そして光と影の
バランスだけ
そのレンズを通して見ると
総ての花が おしゃべりをやめた
春の日差しの ....
誰にも届かない言葉を綴ろう
僕は 夜の井戸に吊るされた{ルビ剣=つるぎ}
永遠の愛を探し求める 一匹の蛾
その羽は古い靴下のように 穴だらけで
沈むことのない夕陽の その逆光に透けて
....
かっこつけるなよ
近道が知りたいだけだろ
かっこつけるなよ
身体が欲しいだけだろ
楽して生きていたいんだ
泥をかぶるのは御免だ
ババを引くなんていやだ
若いままでいたいんだ
責 ....
汗ばんだシャツを投げ込む洗濯機 脱ぎ捨てるのは一日の労
祭りの日 ここは見知らぬ街になる
女って 大好きだ
女を喩えるなら
血の滴るような野薔薇の朱
生真面目な緑に身を固めた
この暗い原野の世界を点々と彩る
秘められた また明かされた 情熱の色
その両目は 傷つきや ....
私たちの身体を、何に喩えようか
それは、壺のようなものだ
そして私たちの心は、そこに収められた光
神は陶工となって、今日も壺つくりに精を出す
午後の陽射しが差し込む、埃っぽい作業場の一 ....
愛していると言わないで
そいつは僕を窒息させる
愛していると言わないで
がんじがらめにされてしまう
いつも いつも
あなたを気にしちゃいられない
いつも いつも
笑ってば ....
少年は飛んで行った
アスファルトの空に向かって
自由が欲しかった この世は生ける監獄
少年が泣き叫んだ時
世界は耳をふさいだ 目を閉ざした
口をつぐんだ そして今
彼が手の届かないとこ ....
文鎮が
ふうわり ふわりと宙に浮き
驚く書生の顔前を ナマコのように漂って
原稿用紙が舞い上がり
驚く書生の目の前で 舞子みたいに踊りだし
万年筆が身悶えし 書生の指を逃れ出て
ぽ ....
文字が空から降ってくる
あられみたいに降ってくる
だけど地面は乾いたままで
溶けることなく積み重なる
文字、文字、文字、文字…
文字が空から降ってくる
僕らの周りに降ってくる
それは ....
生きる理由を探して 世界を見回してみても
目に映るのは 影ばかり
闇の中に暮らし続けてきた君の目は
眩しすぎる光を浴びて めくらも同然
穴倉から這い出して
看板に書かれたルールを読もうと ....
おぼろ月夜の 帰り道
家の鍵束を頭上に放って 銀のきらめきを掴みとる
幸せってやつも こんな風に掴み取れればいいのに
冷ややかな街灯が そんな姿をあざ笑う
屑同然の値札が付けられた 役立たずの ....
誰かを 好きになってみたいね
この心を 奪われてみたい
皮肉なことだが
失うことに 飢えている
寂しいから、じゃなくて
そそられるから、じゃなくて
好きだからという理由で 誰かを追 ....
笑えない世の中だ
煙を吹く原発
横転する旅行バス
国営の犯罪者用ホテルに泊まるため
行きずりの他人を切り刻む失業者
約束をほごにして 胸を張る政治家
不眠に悩む中学生に 身体を売る女子高生 ....
君は 優しすぎる
笑いすぎる
身体をくの字に折って 土砂降りの雨の中で
ラリッたシャムネコのように 笑い転げて
まるで その細い身体を濡らすのが
冷たい水の滴で ....
この世は居心地が悪い
芝居小屋に立ちつくす
招かれざる大根役者のように
俺は どう振舞えばいいのかわからない
君はまるで薔薇だな
庭の生け垣に生い茂り
いつでも水や肥料に恵まれて
....
苦悩の女神が
僕の手を引いて
眠れぬ夜に連れ出した
花は閉じ 草は項垂れ
月は雲の毛布に潜り込んで 高い鼾をかいていた
ブナ林を背にして 裏庭に立つと
女神は両腕を広げ 僕はその中 ....
原発を止めたって
心臓が止まるわけじゃない
嫌ならやめちまえ
生きるのはそもそも
楽な仕事ではなかった
昔から そうさ
原発を止めたって
世界が終るわけじゃない
ただ生 ....
ベロニカ
君を裸にしよう
そのシャツのボタンをはずして
ブラのホックもとって
紙吹雪の様にまき散らしてくれ
この四畳半のアパートに
そのスカートを下ろして
ソックスも脱いで
倒 ....
冗談を言えるようになりたい
枝を打ち鳴らす風のように
人を笑わせる人になりたい
愛を歌えるようになりたい
地を焼き尽くす野火のように
人の心を燃やす人になりたい
ネズミになりたい
....
空は自由への道標
太古の昔から それはあった
あらゆる生命の頭上に 広がっていた
海は故郷への{ルビ誘=いざな}い
太古の昔から やはり それはあった
あらゆる生命の周りに 満ち満ちてい ....
例えば もし
厚く垂れこめた 雲の谷間から
神が手を伸ばして 僕を拾い上げてくれたとしたら
砂埃の舞う 峠道に転がる
何の変哲もない 小石の一つを拾うように
例えば もし
厚く塗り ....
つらいかというと
そうでもない
{ルビ楽=らく}かというと
そんなことはない
不思議な感覚だ
君と喧嘩した後は
いつも 気持ちが宙づりになったような
下に広がっているのは 蒼く薄 ....
ああ 俺の態度は冷たかったかもしれない
だけど しかたがないだろ
君の愛が 本物だったなんて 分かるはずもなかった
そこいらじゅうに まがい物の宝石が光ってるんだ
騙されることに 誰もが慣 ....
月に腰かけ 太陽を{ルビ的=まと}にして
流星のダーツを投げる
唯の退屈しのぎだが すこしばかり はた迷惑な気晴らしかも
俺のエゴはでっかくなりすぎて 地球の中には納まりきらなくなってしまった
....
男が立ちはだかった時
お前に立ちはだかった時
そいつは もう死んでいた
お前が生き続ける限り
それは不変の法則だった
ビリー
お前は撃った
沈黙を破るため
そして人はお前を 英 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9
0.28sec.