うすい眠りに包まれて
探っている
五月の風を手招いて萌える木々
光の纏いで取り戻す
ざわめきの形象は
淡く爪先立ち
まどろみに波紋を呼び起こす
山と山との重なりに
隠された遥かなる道程 ....
石の中から掴みだし
ほとばしる火の
洗礼により
おまえ打たれ
錬られ砥がれ
握られた人と共にあって

土を切り開き
木を切り倒し
人を切り裂いて
国を興しまた滅ぼし
繁栄と文化
 ....
ぽろぽろあまだれ
跳ね蛙スローモーション
滲む文様から浮かんだ島
鳥に紛れ白髪女ひとり
永い束ねを千切る声震わせて
ふたつみつの影を漉く
ひと筆の青さもない
そら背負ってうみは来る
  ....
もみの木のてっぺんで何してやがる
季節外れの煤けたお星様って訳じゃあるまいし
カラスのくせに風見の真似か なに
風は見るものじゃない 乗るものだって?
違いない 世のなか乗ったもん勝ちよ
だ ....
二匹のマルチーズと男が一人
春の錯覚を辿りやって来る
姿はゆらぐが後ろめたい足跡は一切なく
コンビニ袋のなかに桂馬を隠している
策士だが出世はできない
文脈の中に時は在って無いようなもの
 ....
見えなかったものが見える
ふくらんで
ふくらんでほどけ
ふわり ひらく
ゐろかおりかたちあまく
風に光にとけて
そらを渡るもの
ほそい弦で触れながら
匂やかな{ルビ詩=うた}の足跡をた ....
若い頃は良かった
なんて言わない
思わない
今が一番
いつだって
これからだって

とかなんとか言ってみても

こんな春のいい陽気に
年頃の娘たちが
きれいな足を惜しげもなくさら ....
失う口形を魔の辺りに視て尚も孕むかシ
トワに問う意味に倦み編みあぐね拗ねる
ウタの蒼さ麻袋に包み墓に供え貫かれた
裸の螺の水仙うねりのネを張り伸ばし蝕
される音韻のシズク触覚でハジク悼むこ
 ....
蛇はひと口咬んで
あとは丸呑み
四の五の言わず呑み込んで
ゆっくりと消化する

蜘蛛は牙でひと刺し
注射して中身を溶かす
あとはハンモックで横になり
ゆっくりストロー

蛆は胃液を ....
測れない
計れない
量れない
ものをはかろうと
脳は身をよじるが
生まれたのは不肖の子ばかり
どれ一つ それ一つでは
役に立たないものたちを
手妻よろしくこき使い
広げてきた
安心 ....
生神の鍬に
ぬっくり耕され
おれは畑になった
ねじ切られた灌木の陰茎に
スズランテープが引っかかって
女の声みたいに風がふざけている
ムクドリ毛虫食え
ミミズ食うな
おれはミミズの糞を ....
《ひどい! わたしの蕾に粉砂糖したの
姉さんでしょう
《あなたがはしゃぎ過ぎなの
わたしはまだ帰り仕度の最中よ
《ああうるさい こんな早くから蝉はよして
まだうたた寝したいじゃない
《駄目 ....
2016年3月21の吹雪
   対
マイルス・デイビス
 「Bye Bye Blackbird」


      コーヒーの湯気と
      古いポートレート
      中心を射抜 ....
近づくこと
遠ざかること
 
 暗い 
    音節の 
  蝶番

止まることを拒む

海の裾のドレープ
駆けあがる白い泡

絶えまなく
描き直され
     拒みながら ....
予約時間に早すぎて
十数年ぶりに弘南堂書店へ往く
見慣れたブックオフとは違う
天井近くまで積まれた学術的古書に
おまえの目は泳いでいる
楽しい散策 わたしには
安い棚から掘り出した一冊は
 ....
籠から溢れそうな
熟れた果実の
すこし傷んだ
あまい匂い
視線は蠅
めまい/匂い/めまい
スケッチしながら
溺れている
出口のない部屋
ぬるい潮が満ちて
鋭い線が
削り盗り
移 ....
土手の手つかずの雪が老いて
カラスがなにやら啄んでいる

穏やかな冷気に衣服の戸惑い

惜しめば儚く望めば遠く声は
なにも残さないただ揺らした

言葉が追う死者を追うように

セー ....
どろうみから
 タって 
   ミせて
      あなたはあなたを
ミて
  イたり
     ニたり
        《シ》ナいから
        《シ》して《シ》舞う
カのふ ....
風が突っ走って往く
いつか追い越して往った風たちが また
地吹雪は踊る 白いベールを靡かせて
渦巻いては解かれ素早くさらわれる
終わりなく交わされる遠吠え 
異言の霊歌 あるいはレクイエム
 ....
また舞う 雪に
    Sidoro-Modoro
         ふたり とろけ
    ながれる 春 の
           跳ね る 
       日差し は
  音 ノヨウニ ....
無い背筋を伸ばし
まな板の上にぬっと立つ 
おまえの
下段から冷たく射るような
視線――まったく読めやしない
包丁を握り
ジリジリと
間合いを詰める
――突然
ながい触腕(しょくわん ....
見つけられないものを探している
とっくに失くした何かを
例えば棚で眠っている本に挟まって
頭を覗かせる封筒
歳月に黄ばみ
だが秘められた部分は青白く
ほのかに
呼吸して
机の上で宛名を ....
光と冷気が青い燃料だった
破れた財布から千円札を出して
印鑑ケースとノートを買う
郵便局には月に一度往く
記憶喪失の犬みたいに
今も雪原から突き出している
枯れ果てた雑草を見ていた
夏の ....
ここに旗はない
風に弄られ立ち竦むのは
他の何者でもない
東も西も南も北も
微笑んでなんかいない
ただ巡る風の音が
埋まらない空白を告げている


ここに旗はない
足跡は辿らない
 ....
くるりと足を上げ
飛沫もあげずに潜って往く
小石のように すーっと
光がゆらゆら届く辺り
うたたね だから
すぐにまた浮上できる辺り


食事の後 うっかり
文字や何かに集中しようと ....
さて 生きようと思うのだ
遠く山並みは雪雲でかすみ 
いま街は晴れている
人通りの少ない週末の朝 
わたしは浅瀬の魚のよう
ぼんやりと光を纏い静止する
異国の歌が暫し寄り添い また 
去 ....
公園の雪やまを
手作りのコメ袋そりですべる
子どもたち 
一年生か 幼稚園か
寒いも楽しい
声がひびく
日差しにきらめいて
晴れ間の青にとけてゆく


眺める距離は時間
心は容易 ....
吐く息で散り 
舞う 雪の朝に
傷口のファスナーは下ろしたまま
眼差す問いが鷲づかみにした
瞑る心臓 跳ねる魚
口いっぱいに頬張って
ダシテ マタ クリカエシテ
僕は確実にろうそくより青 ....
希望を乗せて放り上げられた球は
回転しながら
高く 上がり
ゆっ くりと
静・止 
  落・下  す    る


引力に負けてあえなく
抱かれてしまう
理想・思想・夢想
小さな ....
風が大河のように重い土地で
腰を落とし 捻じれて育った
樹は 首を傾げ 雲を聞いている
節くれだった片目で
ヒレンジャクたちのお喋りに
口をはさむでもなく
遥かな海や
見渡す限りの黄金の ....
ただのみきや(994)
タイトル カテゴリ Point 日付
混濁自由詩10*16/5/4 18:30
自由詩8*16/5/1 0:07
あめふらし自由詩9*16/4/27 21:57
風談義自由詩13*16/4/23 21:28
春陰茎自由詩5*16/4/20 20:25
春小景自由詩12*16/4/16 20:32
青春時代自由詩17*16/4/13 20:55
書くか・ソレデモ自由詩7*16/4/10 0:51
はかないで自由詩11*16/4/6 20:42
ブルーライトに照らされて自由詩11*16/4/2 23:14
土人自由詩12*16/3/30 22:03
四季姉妹自由詩10*16/3/26 19:48
jazzと珈琲と火事と詩自由詩10*16/3/23 19:51
目交い/そして自由詩14*16/3/19 19:16
北大病院にて自由詩17*16/3/16 22:23
空白の果実自由詩12*16/3/12 22:07
春葬列自由詩19*16/3/9 20:45
どろうみ自由詩12*16/3/5 19:29
冬風人自由詩16*16/3/2 21:54
白裂――WHITELOTUS自由詩13*16/2/27 20:28
活イカ自由詩19*16/2/24 19:18
ファントムペイン自由詩17*16/2/20 17:52
前触れ自由詩15*16/2/17 19:37
ここに旗はない自由詩17*16/2/13 19:06
うたたね自由詩14*16/2/10 16:58
生きようと思うのだ自由詩17*16/2/7 0:05
ぬくもり自由詩11*16/2/3 18:01
抱かれて抱いて自由詩19*16/1/30 21:23
肉脈の惑星自由詩17*16/1/27 21:18
冬眼鏡自由詩18*16/1/23 19:23

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