パウンドは「アルタフォルト」で、中世プロバンス、アルタフォルトの城主ベルトラン・ド・ボラン卿の誠に血の気の多い性格を実に生き生きと描写しているが、私が興味を持ったのは、ボラン卿の逆鱗に触れる事なく、無 .... 真珠貝の甘さに
開かれた窓の憂愁に
悶える扉の上の紋章に
眠る珊瑚虫のように目覚めることなく、
ひとり泡立つ水辺へと水辺へと
舌先を伸ばし裏返る響きの高所から
堕ち続ける連弾の
眠りを眠 ....
待ち続ける者にして、探し続ける者は、
悲鳴の中で飢えて、
目くるめく逆光の音韻の中で、
彼らのための晩餐を支度する。
彼ら。・・・彼らとは旅する者。と、旅に同伴する者。
気流のような骨と多様 ....
死が個々の匂いを失って、
腐乱という可視光線の屈折が、ただ
広々としたコンクリートの壁にその染み
ともならず、うつり行く走馬灯の懐かしみにも馴染めず
哀れにも雨曝しの自己の内部へ突っ込む。
 ....
狡猾なる者、悲鳴の中で飢えて、
目くるめく暗黒の音韻の中で、
彼らのための晩餐を支度する。
パンという名の単純な個体と
葡萄酒という結果としての液体。
泡立つのは、抑えきれぬ羨望に満ちた旅の ....
ジミニー・クリケットは歌うよ
When you wish・・・・
ジミニー・クリケットは歌うよ
願えばかなうと

ジミニー・クリケットは歌う
光の射さぬ縁の下で
眠るだんご虫のかたわらで ....

その都市は極めて奇妙な特徴を持っている
すべての建築物は窓を持たず、扉すらない
従ってその都市を俯瞰すると
一見広大な墓地を見るようである

しかしどの建築物も天を衝く高層ビルだから
 ....
繰り返し 
繰り返される夢
祖父という見た事の無いもの
二度と見る事の無いもの
無いものへの信仰
不知への限りない接近と離脱
長押(なげし)に上がった肖像の夢
不知への限りない接近と離脱 ....
詩は完璧なものではあってはならない。
詩は完成してはならない。

不完全であることが前提であり、
自明なことなのだ。

詩の言語とは書き手の脳内の何事かであるから、
書き手の外部へは決し ....
五月雨にうずくまる真昼
五月雨が集まらない

また丸い空洞から埋まってゆく失望がある。
静けさを避けて 腫瘍のように広がる声
巻き上げたほこりすら元の地に返す声

すべてに人の顔を描かず ....
斑鳩の飛ばぬ夕べがあり
甍の高いこの寺は崩れる
僧どもは眼病に侵され
いまだ訪れぬ仏達を信じ得ぬ

在り得ぬ時代の熱い聖地で
禁断は男や女の喜ぶ寝床
夜は過去の阿闍梨を招くのだ
彼の行 ....
その都市には生の共鳴はないが、
死の残響はあまたある。
墓地はまさに
高層ビル群と相似形のように
墓石が林立し
ビル群の前面に拡がっている。
つまり高層ビルを背景とし、
そのミニチュアが ....
いつとも知れない遠い過去に、
激しい戦争があったという。
その都市は戦場になったという。
ところがいかなる理由で戦争が起こり、
どういう経緯で戦争が終結したのか、
その都市の不可知性は徹底し ....
その都市は極めて奇妙な特徴を持っている
すべての建築物は窓を持たず、扉すらない
従ってその都市を俯瞰すると
一見広大な墓地を見るようである

しかしどの建築物も天を衝く高層ビルだから
道路 ....
まず死を見に行く
コントロール出来る死をいただく
痴呆症の祖母から
工事現場でつまづく
湿地帯とくねる道に隠される祖母
工事現場でつまづく
痴呆症の祖母から
コントロール出来る死をいただ ....
カマドウマは笑う バスルームに人はいない
カマドウマは糞をする バスルームに水音が響く
カマドウマは眠り、目を覚まし呟く
わたしは哲学者だ と

キッチンの片隅のカマドウマは妊娠している
 ....
死にきれぬ兵に吸呑みもたらされ


青空をこんなに青いと倒れおり


ここよりは争わぬ国春の虹
目を凝らす。
無数の死体が見える。
目を凝らす。
無数の家が燃えている。
目を凝らす。
子供たちが泣き叫んでいる。
目を凝らす。
母たちは血を流している。
目を凝らす。
父たちの腕に ....
子供という子供の
誕生の胡散臭さ
ったらない
しばらく田園風景を走れば
必ず男どもに会うが
あのバカバカしさったら
ない
それだから孕むのだ
微笑むランナーは
凝り固まった睾丸の確認 ....

不死身の愛
についてランナーは
語る
速度の愛に
ついてランナー
は語る
語るそばから逃げる

の激しい攻撃で
肉の痛みに耐えながら
零す
一滴の水分は
涙か あるいは ....
スポーツのような真昼
停止すべき者へ慰みを贈った
健康的な半裸の男
shalimarの臭いは坂の途中で会う女
足をぬぐう女
育児書を引き裂く女
過去の頂点を崩す女
それらすべてを筋肉質の ....
時雨が足元にうずくまる真昼
また丸い空洞の空間から埋まってゆく観念がある。
静けさを避けて 腫瘍のように広がる言葉
巻き上げたほこりすら元の地に返す言葉
すべてに人の顔を描かずにはいられない画 ....
夏のあとさきもなく滝が落ちる。

滝の水流が私の口元までほとほととおとないて

落ちる。

冷めるものは冷めるだろう。

私の行く手を遮るのは過去ではない。

地虫のような羽を持つ ....
切り株は年輪をあらわにごろりと傾く。
森は風の音もなく 葉が降り続く。
朽ちることを拒むものはここにはいらない。
いつまでもあり続けようとすれば
真っ逆さまに高い梢から堕ちるだろう。
ありと ....
24時を撃て!
5分前ではいけない
5分過ぎてはいけない

ピアノソロが始まって
その時刻
最高に高まるはずが
いつも不満だ
音に文句は言いたかないが
24時の音は何とかしてくれ
 ....
眠っていやしない   

酔ってはいるけれど   
聞いている 君のはなしの続きだね

星が降って来ては 炭酸水のように
消えてゆく話しや
星のとんがりが 山に刺さった話
聞い ....
クリスマスの準備に忙しいのは、   
雪だるまだって、同じ事です。   
飾り付けのための樅の木、プレゼント、   
おいしい食べ物やおいしいお菓子。
だから雪だるまはこっそり脚を伸ばして?  ....
ひゅうひゅうとうなる電線に
歳月の涙をひっかけ
贈り物を待っている貧しき子供ら。
聖誕祭の晩はひときわ北風がつめたかった。
だが見よ
子供らの頭上にほしぼしはこんなにも輝く。
その中の一つ ....
私自身の
昆布〆を食べる
という日常
の先にある血のついた手
交尾の記憶も生しいままに
後悔をしながら
新茶の香りを楽しむとき
にわかに起こる
彼方のなだれ
氷山の崩壊と
吹雪の中 ....
噛まれるもの
その深い肌触りに
凍るもの
締め出される
忘れ物
ほのぼのとした
わたしの風景
繰り返される山並み
わたしには山並みしかない
という幼い
決意
どこまでも続く
青 ....
非在の虹(170)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
鳥獣虫魚文書グループ16/1/18
ランナー文書グループ15/9/30
家族譜文書グループ09/6/27
歳時記文書グループ09/6/15
(仮題のままの数編と決定された一編)ある都へ文書グループ09/5/3
投稿作品
吟遊詩人自由詩121/6/5 0:23
真珠貝の甘さに自由詩220/2/29 14:52
旅の震源ⅱ自由詩120/2/27 21:45
逢うべき者は誰自由詩620/2/21 20:08
旅の震源自由詩020/2/20 21:56
コオロギ自由詩019/4/6 16:12
その都市自由詩019/3/23 16:40
書かれた-祖父自由詩419/3/5 20:47
詩のことで考えて散文(批評 ...118/11/7 7:47
五月雨自由詩318/6/17 14:47
斑鳩自由詩016/10/15 8:42
その都市 3自由詩016/9/4 18:56
その都市 2自由詩116/9/4 18:53
その都市 1自由詩116/4/23 7:05
書かれた-祖母自由詩016/3/6 23:13
カマドウマ[group]自由詩016/1/18 22:11
【HSM参加作品】争わぬ国俳句1*15/10/2 19:34
【HSM参加作品】見えるもの自由詩6*15/9/30 22:15
妊娠するランナー[group]自由詩115/9/29 20:36
愛するランナー[group]自由詩115/9/29 20:34
ランナーは笑う[group]自由詩015/9/29 20:31
時雨自由詩215/9/16 17:04
深夜に自由詩115/9/7 23:05
さとき森 自由詩213/8/5 10:29
二十四時を撃て自由詩211/12/14 17:22
In the starbright bar自由詩211/12/14 6:35
雪だるまのクリスマス自由詩011/12/13 10:52
降誕祭の不思議自由詩011/12/5 15:04
晩春自由詩311/12/4 8:40
幼年自由詩6*11/11/30 18:01

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