どこにいるのだろう
時間を記録していた
たくさんの指は
どこへいってしまったのだろう
絵の具の味をした水が
一本の髪の毛から
くちびるへとくちびるへと
終わることなく落ち ....
道は水に覆われている
水には雪が映っている
雲も風も星もなく
空は粗く覆われている


灯は消え
曲がり角は軽くなる
貨物のない貨物列車に
持ち上げられては降ろされて ....
不安げに緑を歩む鳩の目がふと振り返り鴉になるとき



手のなかの鳥の器に降る震えこぼれゆくままこぼれゆくまま



いつわりの光の模様の窓をゆく姿を持たない鳥たちの列
 ....
流れ込むと同時に流れ出る
わたしにつながる別の結びめ
とても静かな爆発の
うごきのかたち
ちからのかたち
恐れでも喜びでも憧れでもなく
目に描き残された
ふたつのかたち ....
自転車をこぐと水車の音がする流れを馳せる冬と春の背



午後の陽の光と音のお手玉が言葉に変わる冬と春の手



こぼれゆく言葉は道にかがやいて見つめつづける冬と春の目 ....
風と鎖の音のむこうに
草木のまばらな原があり
銀と灰のはざまによせて
静かに蒼をしたためている


夜の生きものが見つめあい
互いの光を聴いている
遠く見知らぬ空にまで
 ....
ゆるい灰色の坂をのぼる
両側につづく
新しい建物たち
風に前かがみになり通りすぎ
雪にまばたきながらふり返る
さみしさには おそらく
終わりはないのだろう



雲の流 ....
途切れ途切れの夜の声
混じることのない冷たさと冷たさ
誰もいない川辺の土に
異なる光は降りおりる



鳥が一羽
世界を引き連れて歩いていた
目の奥に浮かぶひとつの雲に ....
橋の下に残された冬
橋の下に生まれた春
流れに映るふたつの顔は
やがて向きあい微笑んで
結んだ手に降る雪を見る
遠い遠い雲間の陽を見る
水を囲んで立つ光
向こう側の無い光
花をくわえたけだものたち
濡れた足跡に浮かぶむらさき


一瞬の音の通り道
色の点の沈む先
にじみほどける滴のひろがり
ひとつだけしかない ....
雪は雨の背を見て降り
雪の微笑みを見て昇る
つむぎ つむぎ
手わたす手のひら
むすび むすび
つながる手のひら


光に織られた光をまとい
午後の原を梳くように
踊りは ....
人工の丘を埋める鳥
どこか似ていて異なる羽音が
溝と水面に響いている


瞳から現われ 発ちつづけるもの
どこまでもどこまでも向かうもの
手のひらに生まれる光の群れ
丘の上の鳥 ....
この道は誰が奏でる笛なのかさみしいばかりかなしいばかり



雲のない空を見上げて歩きゆく光を知らぬ光の穂の道



はたはたと星をつかんだ曲がりかど野をわたる声ふりかえ ....
風は降る
粒は降る
重なり 離れる
鳥の像と鳥の影
円のなかに降りしきる円



雨どいの羽
空へ帰り
曇と返り血
はばたきの跡
ひらめく道の
切っ先の音

 ....
一歩一歩 咳こむ足で
わたしがどこまでも歩くので
夜はどこまでも感染し
朝には誰もいなくなる
朝には誰も
いなくなる


みんな歩いて いなくなる
歩きつづけて いなくな ....
十二月は
窓にいて
ためらいながら三月を見る


とらわれのわけを知る名前
葉と葉のはざまにある名前
遠い火の列
風を咲かせて
すぎてゆく列


知らない花 なびくよ ....
ひとしきり震えて
夢の端 ついえて
抜殻を
荒地を
喧騒はすぎてゆく


忘れられた瑪瑙
夜を率いて
ひとつだけ大きな
空のまるみを抱く



やわらかな星
 ....
ひとつかみ自由に
まわり道またいで
冬の髪ひとふさ
歌うように近づき
消え 現われ 消えつづける


夜のつなぎめ
凍える火から放たれて
ふるえる白
混ざらぬ白
冬山の ....
雪に立つ輪の空洞を
冷めた光が過ぎてゆく
無言と無音の歩みは終わり
道は網目の匂いに浮かぶ


さくさくと昇り
空の火の交点を覆う音
あたたかな臓腑の高鳴りが
雲のくぼみ ....
足跡は沈み
足音は飛び
すぐそばを歩む風から
三つの異なる色を受けとる


手と足を失くした煉瓦色の天使の
翼と頬に抱きしめられて
夜の蔦の鈴は鳴り
白と金に土を照らす ....
光が息を通りすぎ
ひとつの花
ひとつの羽に分かれてゆく


線だけの街に
雨がひとつ咲き
小さくふるえ 増えつづける


無音に打たれ ひざまづくとき
白い林の連なりを見 ....
荒れ野が荒れ野に流れ込み
丘の上の空へと打ち寄せている
冬に冬が接ぎ木され
咲く花は記憶の色をしている


脚から生まれた羽を育てて
小さな小さな双つの稲妻
夜の窓 ....
汽笛は尾を引き
遠いほうからかがやきになり
応えの兆しを耳にしながら
傷をまぶしく抱きしめている



水のかけらを見つめる間も
陰のまばたきは増えてゆく
とどろきは地 ....
夜から朝へと染まる荒れ野が
蒼と白にじっとしている
遠く刃物の音をたて
雲はひとつずつ過ぎてゆく


鉄が鉄を撫でている
蒼と白は寄りそって聴く
凍えてゆく声
あたたま ....
閉じた目のような傷口が
ある日ひらいて
目と目が合った

そしてすぐに
閉じてしまった


まなじりの端がひゅっと光り
猫と一緒に駆けていった
夜の車道を駆けていった
 ....
ひたいに浮かぶ舟の上から
手をのばし 指に触れていき
水紋は
遠くへ遠くへひろがってゆく


とても大きな朝があり
どこかへ低く消えてゆく
建物の陰に残る光
開け放たれ ....
ふわりと動くちからがある
雪にちらばる削られた木がある
布か機械かわからぬ四角を
抱きしめて眠るけものがいる
ふくろうの後ろ姿をした人が
朝の光に手をふっている



ふ ....
木々のはざまの灯をくぐり
遠い雨の声は届いて
うねりは低く道にほどけて
夜から夜へと紋をひろげる



冷たい翠が空につらなり
生きものはいないと告げている
灰のなかの白 ....
足もとの道は
ひとつの石に揺れ動き
前方へ前方へと傾いて
歩むものを運びつづける
土の無い道をすぎ
灯の無い道をすぎ
何も無い道をすぎても



指が生まれ
点が ....
細かな雪が
隙間なく降りそそいでいる
長く低い壁の向こうに
巨きな一本の老木があり
黒と銀にたたずんでいる



動きも音も雪のもので
老木は自身の他は持たぬまま
ただ ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
ノート(擦音)[group]自由詩305/4/7 18:29
ノート(夜走)[group]自由詩205/4/6 23:45
ノート(鳥)[group]短歌705/4/5 9:44
ノート(ふたつ)[group]自由詩105/4/5 0:33
冬と春短歌5*05/4/5 0:13
想音自由詩605/4/3 17:42
終わりなきもの自由詩105/3/31 10:28
未音自由詩205/3/30 21:06
ノート(流れ)[group]未詩・独白205/3/30 21:04
ノート(明滅季)[group]自由詩105/3/28 15:52
往季路自由詩305/3/27 15:55
曇の日自由詩205/3/23 10:23
ノート(道)[group]短歌805/3/21 9:37
飛音自由詩305/3/19 20:54
ノート(病)[group]未詩・独白505/3/18 17:38
去音自由詩405/3/16 17:39
再音自由詩205/3/14 17:19
小音自由詩205/3/11 17:15
包音自由詩105/3/7 21:57
翼と頬自由詩2*05/3/3 13:59
鏡の日自由詩405/3/1 12:57
連窓歌自由詩405/2/25 17:20
ひかり自由詩305/2/22 12:48
ひびき自由詩405/2/18 17:34
ノート(傷口)[group]未詩・独白2*05/2/17 23:46
ひたい自由詩505/2/14 22:07
ちから自由詩305/2/11 14:01
ノート(鏡夜)自由詩205/2/9 17:36
光鉄指自由詩105/2/7 17:29
粒光季自由詩505/2/4 13:38

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