影を、焚べてしまいたい、なんて思いながら、
森で、火を囲んで、物語を聴いた。
そのとき、焚べられた影が今、街をうろついている。
私を火刑に処そうとして。
あの焚木はとっくにない。語部もいない。 ....
どこにでも車を停められたらいいのにだいたいいつも都合良くはいかない。
心に留まった場所を通り過ぎてから、写真の構図を探すことになる。
(
  はじめは岩礁の方へ行きたかったけど逆方向へ向かった。 ....
ここは、森であることを、許されてはいない。
しかし、森でなかったことはない。

森について、何も知らない。
しかし、森のすべては、予め知らされている。

森を、思いだすことは、できない。
 ....
町並みに森の匂いがした。
公園を三つ。階段を二つ。知っているパン屋の匂い。スーパー。雑貨屋。ともだちの家。
学校を見下ろす長い坂道を下った。
社を通り過ぎて、実家を通り過ぎて、足は、足を、通り過 ....
ごく薄い光が、土を透過していく。
草原の体が揺れ、水が、根や枝を広げている。

街はなにか約束を結んだ後のように沈黙している。

明るい方角を向くと、線路の北側は水圏。
草原の向こう、渓谷 ....
壁に掛かった
インクジェットの白黒写真
オレンジの間接照明
ゆれる黒い
液体に乗って
通り過ぎていった知らない人たち
照り返す瞬間ごとに
こまかく失明した
方角のひとつひとつが
積も ....
まるで空みたいに
高台から見える海が
広かったからだとおもう
一帯をただ遺跡と呼んで
疑わなかった

石を通う風や
名前を知らない植物たち
目瞬きのたびにreloadするかたちを
追 ....
傷まないミルクのあふれる
断面を
あなたは菫といい
蛇といい
わたしは腕としるした
このまま
星の時刻を待とうか
誰も知らない海岸だから
月あかりを覆いかくして
いっせいにはためく
葉影のひとつひとつ
はためきのひとつひとつが
たったひとつの音で滅する
みもふたもない音楽を
おくりつらねているから
風のひとつひとつ
月あ ....
籠目の指の隙間は這って
悲しい図形を縫う

母の口を突いて静けさを破った眠り際の歌は
影を洗う影のために
目を閉じることはあなたを閉じこめること
あたたかな瞼は部屋をつくり
光線の残りはゆきかい
あかるさはあかるさのまま重力となって
珊瑚の舟が滑りだす
/*しめっていく衣服*/ チョークの粉が
ふっているみたい
冬空の
明滅を追っていると
何も見えなくなりそうで
息を継ぐ 絡めた
指の
冷たさと 倦みの
国境に 立っていようと
間違えを探しては
間違え
 ....
しくしく



大地が歌う

これは
よい
さよなら だから
しずかに


らくだの一群が
ゆったりとした足どりで歩いている
少し重くなった砂は瞬く間に乾いて
黒雲は遠くに行ってしまった
明るく熱い砂は
さらさらと緩い風に運ばれ
風に乗ってあるものは遠く ....
部屋に入って
電気はつけない

ダンボールの影にくつわむし
クロゼットの闇にこおろぎ
ほうりっぱなしの服にすずむし
冷蔵庫でたまねぎが芽吹く

ベランダに
線を抜かれた機械たち
明 ....
黙って 丘を 落下するように
眼をまわして
緑に飲まれていった
蚯蚓の口 蚯蚓の心臓

つやめく嘘は
夜の水飲場
たくさんの手を
切断しました

象の肌を透けて
通りすぎていった ....
送電塔の下のスフィンクス
草むらの中にペットボトル
少し目を 離した隙に
そこにあった意味
そっと動かして
首をかしげては
石のほほえみをなげかけた

うずくまる女の子
ゆっくりと流 ....
本をたたんで
ペンにキャップをつける
はさみをひらいて
つけねで指のあいだをぐりぐりとする
くつ下をつかんで
ゴミ箱に向かって
投げる

たばこを吸う
たばこを消す
少し眠りたいけ ....
雨をくぐる
ぼくはゆっくりあっちのほうへ
大音量の歌は最小限の寝返りで
あたらしいノートのちいさな日付はささやかに
送ってしまったメールを
残ってしまった花火を
けぶってしまった青空を
 ....
なきがらにそえる花を探しつづけて
旅人は死んだ
私は旅人を摘んでなきがらにそえると
花を探しにいく
携帯電話の液晶画面で
生長するサンスベリア
ぐらぐらと揺れながら伸び
薄白い筋が
増えていく

(ちょっと、待ってよ
どうしても?どうして?)
九月の歌は季節外れ
酔いにまかせて
奪い合った双眼鏡

女の子は男の子に
男の子は女の子に
囁きは煙とベース音に混じって
そってたわんだ天幕を覆っている
覆っている
覆っている
科学者の卒業式
幽霊の入学式
みんな同じ服装で
帰った

彼は落とし穴を掘って
自ら落ちてみせた
私も帰った

彼はさくらに埋もれて
後は知らない
花のように 電気のように
一回転したぶらんこのように

嘶く牛蛙
はずかしい空に散る
赤い子ひとり
こがれては
ひとつ
半分と
羊の曲をうたっています
おなじすなをさわっている
別の数を言うから
涙がでるだけ
目を見て。 それか
目を閉じて。
見渡す限りの砂場で
雨が降って
いたとしても
同じところにいる、
それだけで
掘ったり  ....
できない計算が済んで
さっき
クーラーの部屋から
階段を降り
寒さが通り過ぎた町並みを
通り過ぎていった
どこにも行きたくない風が
止まりたくない
止めてほしくなくて
離れていく
 ....
夜の池に
落ちた星達が沈みゆく

あこがれは
しろい石となり

ざりがに達の
洞くつとなる
夏に拾った蝉のぬけがらは甘く脆く
シャーベット踏みつけて 赤い
かとり(36)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
文書グループ08/7/26
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