何も無いのに
意識をつなぎたがって
真っ白な生地に
絵の具をかけ散らす
とめどない言語フラッシュ
突き止めようとしているのは
もともと正体のない自分
呼吸し
食事し ....
夢を 見た
青く暗い森を照らす
金色のランプ
彷徨い続けていると
やがて二次元の
紙の森になって
すべてが影絵になった
幼いころ
母が作ってくれた影絵
数十年ぶりに迷 ....
丘を越える夢を見たい
風吹く空に金色の
夕陽に溶ける夢を
穴の中にいる自分
暗がりでなおうつむいて
夢さえ見なくなって
どれだけ経っただろう
開けても閉じても目に
色彩 ....
深さを知っていれば
誰の心も
覗く必要はない
酒を飲んで
楽しくなって笑い合い
滑らかな表面の
心地いいあたりで互いに漂う
浅い関係の
なんという絶妙な距離
純粋 ....
時々
体の壊れる音がする
それとも
心の壊れる音か
耳鳴りは
永遠に続くかのような蝉時雨
悲しくはない
目を閉じれば
あの夏にいる
庭園には
緑とプールがありました
ぬったりとした
湿度が
緑もプールも
育んでいました
私は蛇になって
ゆっくりと水に潜り
濡れた体で
緑の上を這ってみました
....
窒息しそうなの
アンタを見てると
なんとでも
罵ってくれていい
今に痛い目に会うよ?
そう
私は痛い目に会いに行くの
何も感じないよりマシだからよ
抜け出せない脳裏の影
息を殺すMonster
暗い場所から
天の輝きを見上げてた
私の草原には
青い空と太陽があって
それはそれは美しい場所だけど
なぜか所々に井戸があって
....
夜が好きで
夜に生きてる
人が寝静まった空間が
なんともいえず落ち着く
ダメな人間だとよく言われるけど
ダメでいいと思うようになった
みんな
期待にこたえたいから
泣くんだ
自分の幸せを
願ってくれる人のために
苦しむんだ
誰も私の幸せを望んでなければ
私はこんなに苦しんだりしない
何が幸せかよくわからない夜がある
泣いて凍えて
来ない誰かを待っていたころ
こんなにつらいことはないと思ったけれど
それでも
そんなに誰かを愛して幸せだったのかもしれない
今年も春が来て
桜を見る
この桜は
いつか誰かと見た桜
私たち人の世を越えて
木はここにあり続ける
子供はやがて大人に
大人がやがて老人になっても
いつもこの美しい花び ....
父よ
あなたの思い出をなぞって
あなたの生まれた街を歩く
春の京都は
この世で一番切ない
枝垂れ桜がはらはらと散り
私はあなたの背中を思い出す
何気ない駅の写真がある
陽射しを受けた春のホーム
でも私は覚えている
どんな気持ちで
この写真を撮ったか
言葉に出来ない悲しみを
誰が知るだろう
いつも祈りながらこの駅で降り ....
朝が
気持ちいいことも
夜が
切ないことも
ぜんぶ知ってる
生きていると
知りたくないことも
知ってしまうものだ
いいなあと思うのは
いつもつまらない地味なもの
特別じゃないありふれたもの
あなたの声や
地面に映った夏の葉影や
洗濯されてぶら下がってるチェックのシャツや
音のない雪の夜
生き ....
宵闇 白い息
ナトリウムランプの
並木道
ぼんやり明るい
冬の道
人や車のはけた道を
猫の影だけが
ゆっくり横切る
いいなあ
ランプの精が
炎をジャッグルしながら
....
しんと凍る大気の中
思わず足を止めた
鮮やかな赤い実は
雪ウサギの目
誰が作ったのだろう
儚げで美しいものだな
いつか溶けることも知らずに
可愛らしく私を見つめている
尖った月を見上げて
寒さに首をすくめた
枯れた街路樹の枝のスキマから
冬の夜空が広がる
凍った街灯がぼんやり
あなたの影を映す
鋭い月を背負って
あなた怪物みたい
優し ....
優しさゆえに
幸せになれない気がした人は
優しさゆえに
「幸せやで」って笑う
足の爪に
塗っておいた海が
夏のどこかへちぎれて消えた
地図の上をなぞる指が
コーヒーの匂いをたどって
最果ての島に着く
ふと顔を上げれば
見慣れた街並み
寝過ごした朝のよ ....
愚痴を言う人を
心配はしない
吐き出してまわりを不快にしてでも
自分は楽になりたいという図々しさがある
むしろ心配なのは
愚痴を言わずに耐えてる人なんだ
魔法使いが
ドライバーを手にやってきて
雪原を走る夜汽車を止めました
壊れた換気扇の交換
最後に頑張って回る姿が
とても可哀相で
「よく頑張ったね」って二人で言いました
私た ....
温かい味噌汁を飲んで
おまえが泣く
何があったか
聞かないけど
私も台所で泣く
ご飯食べてけと
口うるさい母親に
気がすむなら味噌汁食べてやるよって
えらそうに言ってた ....
嘘よ
雨が優しいなんて
こんなに寂しい色見たことない
それとも私が凍っているから
こんなに雨が冷たいの?
傘を差して
沈黙の街を歩く
水の音しか聞こえない
会いたい人は ....
邪悪な自分が
恐ろしい
闇に埋もれた暮らしがイヤで
太陽の下に
憧れたのに
普通がいいって
普通を選び
普通だなって がっかりしてる
行きたい場所がある
フェンスの多分向こう
標識は黄色か赤
越えてはいけない場所だった
死んだトモダチが
みんなそこにいて
おまえもか
って笑ってる
警告はみんな受けた
でもみんな境界 ....
一等星か
人工衛星か
わからないから
嫌なんだ
この時代は
虚像が眩しすぎて
たどり着きたい未来を間違える
俺達は
まるで
月に向かって飛ぶ
命知らずの虫みたい
マッチを擦った
においが好き
懐かしいから
クリスマスのロウソク
ストーブ
父さんの煙草
子供の頃に
安心した匂いだ
尊いものを知る喜び
この世にある
数えきれないすべてのもの
命や自然や
歴史や宇宙や
誰かが誰かを想う小さな優しさまで
嘘をつけない人
じっと耐える人
誰かのために笑う人
....
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