「冬へ」
波の立つ浜で声を待っている　強くなる匂い　「わたしはここよ」



「神話　?」
母眠る　零る血吸いし地下茎に　乙女は実りてそのときを待つ



「花を宿す」
管の中　泡の花々生まれては　わたしに秘密を囁き消える



「ロンド」
花は開いたよ　準備は出来たよ　蜜で誘うの　ねえ、来て来て来て



「部屋を折りたたんでしまう」
黄昏の寒空の下　飴舐める　かなしい事がたくさんあった



「氷道」
純潔を捨ててしまえば鬼になる女になって生きるの私

純潔を捨ててしまえ、鬼になれ、女になって生きるわ私



「歌がわたしの目をひらく」
それはうた　めざめてのぞむ　ただひとつ　かみさまわたし、うたっていたい



「座敷牡丹」
黒髪は鋲で畳に留めてある　喚く人形　乙女の抜け殻



「献身」
わたくしを亡くしたあなたのその顔が楽しみなんです。だから赦すの。



「蘇生」
輪廻する乙女生まれて老いて道辿る　赤と花とに導かれてゆく



「ill」
病める子が閉じこもる部屋　午前二時　打ち寄せる波は脳の中から



「世界の終わる日」
水葬の小船が沖へ走り出す　さよなら乙女　さよなら世界



「惑星」
宙を見る死産のこいと寄り添って泣いてしまうから宙ばかりみる



「アルドレイドとオルドラン」
抽象の双子のきょうだい手を取って棺を壊して太陽を呼ぶ

これらは今まで発表してきた詩を短歌という形にしてみようという試みです。
短歌にする過程で自分の書いたものを読み解くことで、自身の再発見ができるかも、とか
書いたもののその前や後を想像する事で、作品を深く読めるかも、とか
一度短歌という形に凝縮してみることで、その短歌から新しい世界が見えるかも、とか
などと考えました。
平たく言うと、短歌の練習と作品の紹介をしちゃおうという、そんなリサイクルとリユース企画です。

参考作品

「冬へ」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56236
「神話　?」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56332
「花を宿す」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56447
「ロンド」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56630
「部屋を折りたたんでしまう」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56757
「氷道」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56876
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56986http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56986
「座敷牡丹」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=57106
「献身」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=57225
「蘇生」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=57338
「ill」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=57386
「世界の終わる日」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=57671
「惑星」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=57862
「アルドレイドとオルドラン」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=58334

ミゼット（１〜１０）http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=90135
ミゼット（１１〜１６）http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=94512