Cry For The Moon 2「交流、あるいは火星の人類学者」
佐々宝砂

告白すれば、私は詩人同士の交流に限らず交流とゆーヤツが極端に苦手だ。自分の詩に感想をもらっても、どうレスしたらいいかわかんないし、私生活について質問されたり私生活について語られたりしても、あまり興味が湧かなくて困惑する。私は人間としてなんか欠けてるのかもしれない。オリバー・サックスいうところの「火星の人類学者」のように、私は、ネット上で出逢ったり交流したり別れたりするひとたちを、理解しがたいが理解したいと思いながら、醒めた目で観察している。とはいえ私にも詩人同士の交流は必要であり、だからこそ、私はここでこんなものを書いている。必要なのはわかってるが、うまく飲み込めないので、「苦手」とゆーことになる。


以前、金襴の会(蘭の会のチャット)で話していて、驚いたことがある。蘭の会には守秘義務があるので詳しいことは言えないのだが、具体名をあげず曖昧にぼかして説明すれば、「批評や感想は作者に向けられるものだと思っていた」ひとがいて、私はそれにびっくらこいたのだった。そうか、そう考えるヒトもいるものなのか。やっぱり交流はしてみるものだ。

私は、批評というものは主に批評の読者に向けられているものだと考えている。作者のためだけに書かれた感想は、それが非常にきちんと考えられたものであるとしても、批評ではないように思う。批評の読者=詩の作者とゆーのではつまらんし広がりがない。……とモノカキとしての私は思うのだが、一個人としての私は、批評であろうとなかろうと自分に向けられた言葉を無視できない。また、親しい友人が詩の作者である場合には、気楽に「あの詩よかったよー」「今度は××の詩書いてよー」などと話しかけたりもする。それはそれなりに楽しい。交流苦手な「火星の人類学者」である私でさえそう思うのだから、交流大好き「かまってちゃん」が、自分に向けられた言葉を無視するわけがない。批評であろうとなかろうと、自分に向けられた言葉が多ければ多いほど、喜ぶに違いない。それはそれでかまわない、と考える私はあくまで「火星の人類学者」である。

詩と詩の感想を介した交流は、いまのところ、以前に比べれば、まあまあ、バランスがとれているような気がする。以前はぜんぜんバランスがとれていなかった。巣の中で餌を催促する雛のピーチクパーチクみたいに、ネットというちっちゃくて大きな枠のなか「感想下さい批評下さい」の大合唱がきかれた。詩を書く人はたくさんいて、感想を書く人は少なかった。いまもまあ、そうなんだけれど、前ほど「感想くれー」がきかれなくなったような気がするのだ。ちょっとはものごとが変化しているような。

バランスとれてる方が、「かまってちゃん」が大人しくなるので、私にはありがたい。かまったりかまわれたりは、双方合意のうえでやってくれ、私を混ぜないでくれえ。頼むよ、ホント。何度も書くが、私はかまわれるのもかまうのも、あまり得意ではない。私をかまいたいひとは、少々距離をおいてかまってください。ここ現代詩フォーラムは、ほどほどの距離感があって、いいかんじだけど、距離感がつかめなくてベタベタするおバカって、ホントにガキよねー。アタシはもっとオトナがいいんだ。でもサ、でもサ、距離感がありすぎるドアホってのも悩ましいのよねえ、あのアホ男ったら今どっかを放浪しててサ、ココ読んでないと思うのね、だから、ココでこんなこと書いてもしかたないんだけどサ、ってゆーか読みそうにないから書くんだけどサ、ね、実は、あんまりほっとかれても哀しいのだ。ねえ、「火星の人類学者」だって、たまにはかまってほしいのよん、人間嫌いの孤高の三流怪奇詩人(?)にだって淋しい夜はあるのよ〜。ホントにもう、なんでアイツあんなにドアホのトホホなのよ? 据え膳も据えすぎると饐えるぞ〜。……ってアタシ、何書いてんの? 結局また、「Cry For The Moon」する羽目になっちゃうのよアタシ、あ〜あ、どうしてこんなに「ないものねだり」しちゃうのかしら、きっとものスッゴク崇高な理想を追い求めてるからなのよ、きっとそうなのよ〜!


失礼。執筆者佐々宝砂が取り乱したため、少々ノイズが混じりました。簡潔に結論を述べて、この小文を終わらせていただきます。

「詩と詩の感想を介した交流は、ネット詩の発展のためには不可欠で重要だが、批評ではない」



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散文(批評随筆小説等) Cry For The Moon 2「交流、あるいは火星の人類学者」 Copyright 佐々宝砂 2003-07-27 00:56:00
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