すべてのおすすめ
流れる 高い所から 低い所へ
流れる 流れる 目から 頬へ
流れる 重力に逆らえない
流れる 水流
楽しい時 嬉しい時 川を踊るように
流れる 流れる
悲しい時 一粒の雨 一粒の泪
流れ ....
こうえんのすなばであそんでたら
しらないおじいちゃんが
ちかづいてきて
おじょうちゃん
おじいちゃんのちんちんみてくれたら
おかねあげるといったから
じゃあにまんごせんえんちょうだいって
....
目覚ましの音が鳴ったら
脊髄からの命令でボタンを押す
腕をフトンに引っ込めたら
脳が朝に在るあたしを認識する
薬は早期覚醒を抑える
暗闇でのしかかってくる壁は消えた
もう少しの辛抱 ....
思い過ごしと錯覚が
視線の先に入り混じる
景色はとても美しいのに
人の思いが何処にあるかなんて
良い言葉の中にも
悪い噂の中にも見つからない
結論を ....
郊外の田は収穫のあと放置され、新しくイヌビエがすでに生い茂り、晩秋の季節特有の屈強なアメリカセンダングサが雨に打たれている。
ときおり雨足は強くなるが、大雨になることはなかった。
雨はすべての世界 ....
「あたし太って見えるのは
ピル飲んでるからなのよ
もともとじゃないのよ」
川崎のソープ嬢楓さんは
そう言いながら
怒ったような顔で
僕のニョッキに泡をつけた
その日は
心身とも ....
母が買い物から帰ってくる
わたしは床で死んでいる
そんなところで死んだらだめと母が言う
なんだか気恥ずかしくなって起き上がり
葬式はいつになるの などと話している
そうこうしているうちに親戚 ....
きみの定位置
母さんのあぐらの上
(名付けて母さん座椅子)
父ちゃんが帰ってくれば
父ちゃんの腹の上
(名付けて父ちゃんベッド)
ばあちゃんちに行けば
ばあちゃんの後ろ
(名付けてばあ ....
詩人の沈黙とは
何処に在るのか
其れは分かり易く
分かり難ゐ処
真昼の月で無く
其の向こうの星で在る事
肘が腫れた
誰かに肘鉄砲を
食らわしたわけでもないのだが
発熱したのでさすがに怖くなって
病院へ行った
かなり炎症してますね
頬杖をつくのが癖なので
おそらく妄想を巡らせてい ....
魂を語り合いましょうと
いいながら
詩人は逝ったのでした
今朝
わたしはみつけた
ゴミステーションの柵に
いくつも並んだ雫
それは
ぶらさがって
落ちまいと揺れていた
冬の夜が ....
3億円くらいあれば 死ぬまで金に
困らず暮らせるけど
金持ちはその金で石を買って喜んでいる
俺が一生で使う金よりも
その石の方が価値があるなんて
自分の一生って...
ひとを好きになって
はずかしかった
目も口も鼻も手足も
はずかしかった
話すことも黙ることも
さわってもさわられても
泣きたかった
赤くて青くて
欲しかった
あふれるまぎわの気持 ....
熱を帯びた扁桃を
通過する
酸味をふくんだえきたいは
ほどよく冷えて
生きていることが
すみずみまで広がっていく
――体温計の中の赤いめもりが行ったり来たり
ひとふさ
ひとふさに
大 ....
駐車場にやっとたどりつき車を止める
前が見えないほどの雪が降る朝
ライトをつけての通勤
白い雪の中に ぼんやりと光が見える
そういえば昔に ライトを消し忘れて
車のバッテリーをあげた事が ....
ここに私がいないことを誰も知らない。
嘘は何一つないけれど
ここには本当の事がない。
パジャマで過ごす一日も
痴漢に耐える満員電車の一時間も
恋人とのえげつない二時間も
....
しろい紙に 向き合い
しろい箱を 造り
しろい心を 持ち歩く
あるとき それは逝った病室
あるとき それは骨壺
海沿いを走る電車を降りると
そこはまるで見知らぬ ふるさと ....
あなたの無言は
あなたの背骨を通って
わたしの角膜を刺激する
まな板の上で切り刻まれる玉葱が
まるであなたのようで
思わず手を止める
せめて責め ....
どこであろうと
浜は潮臭く沼は生臭いのだと知った。
ならば。よろしい。
塩水湖をぐるりとめぐるいかにも寂しい鉄道の
無人駅のそばに男は暮らした。
男はいつも自室でひとり酒を呑 ....
とりたてて喜ぶほどでもない
あたりまえのことを渇望する
今日は昨日よりも調子がいい
そんな錯覚でも気分がよくなる
まわりの誰と比べても
あたしなんて可愛いもんだ
錯覚か幻想だけでも ....
つめたい風が
頬に突きささるように
真っすぐで
それは
あまりに
迷いのない有り様で
わたしには逆らう手立てがない
気まぐれ風味に
夜空をみあげれば
きら星が澄み ....
子供の前で大人のふりをした
洗濯物の前で大人のふりをした
鏡の前で大人のふりをした
悲しみの前で大人のふりをした
ママ友の前で大人のふりをした
雪の前で大人のふりをした
....
赤信号で立ち止まったとき
うしろから歩いてきた人がすうっと追い越していって
そのままむこうへ渡ってしまった
その自然な様子に呆然とする
自分もその人と同じようにして渡ってしまいたいのに
いつ ....
紙の前には座りたくない
鍵盤の前にいたい
昼ひなか私は没頭する
緊迫する
高揚する
せわしなく
抑揚の激しい旋律を
いつか
さりげなく
やさしく
奏でることができたら
....
夜中に窓枠がぴしりと鳴る
夢のなかから呼び戻されて
枕元をさぐった手に触れるものがあり
それは感触で人の耳だとわかる
よく見えないがそれはたしかに二切れの耳で
ゴムのおもちゃのようにも思える ....
「無理です。」
こんな言葉を最近よく聞く
そういうとき僕はいつも同じことを言う
「本当? やってみないと分からないんじゃない?」
「失敗してもいいじゃない。」
皆、真面目に一 ....
地球が生まれてから何億年も経っているのに
まだ青いなんて他の惑星はきっと地球より
年寄りなんだね
鏡を覗くと知らない人が映っている
引きつった頬はまるで人さらいのようだ
人さらいの口から人さらいの牙がにゅうっと伸びてきて
葡萄の彫りのある鏡を突き破りそうになる
あわてて毛布をかぶせて
奥 ....
その朝、町のひとたちは
台風のような雷のような泣き声で目がさめた。
山にかこまれたちいさな港町、
その外れにある病院の一室で
フーガが産声をあげたのだった。
フーガは泣き虫だった。
ど ....
なにごとにも正直でありたい
その気持ちに真正面から向き合うと
わたしはまず真っ先に
姉の子供が不美人であることを
告白しなければならなくなる
矛盾や横暴を背負う
小学生 ....
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