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となりのまちから
ひとえき切符を買うより
ぶらぶら歩いて行こうと思ったのが
何かの間違い
閑静な住宅街を歩いていると
だんだん道が狭くなってゆき
家も密集してくる
もとの道を戻ろ ....
まだ曇り空
少し前に雨が降って地面は濡れている
綺麗に洗われた石畳の道を歩き
色艶溢れて髷結う人々が行き交いそうな
長い石段をゆっくり登っていると
小さな蛙がよこから
....
女って 大好きだ
女を喩えるなら
血の滴るような野薔薇の朱
生真面目な緑に身を固めた
この暗い原野の世界を点々と彩る
秘められた また明かされた 情熱の色
その両目は 傷つきや ....
垂直な光のピンで留められて
横たわる朝は散乱した昨夜の屍だった
まだ誰もいないスーパーの駐車場で
ぬるい風が砂埃を吹き上げている
一匹の小さな蛾が
逆らいながら飛んで行く
....
もう少しだけ私の人さし指が長かったら
彼女と繋がっていただろうにと
どちらからかかけたのかわからないが
久しぶりだねと携帯電話で話している
今何をしているの
今まで何をし ....
風鈴が鳴る
気のせい
エアコンで冷やされた身体は
動かすたびに耳のうしろあたりで
ごおりごおりと
暗闇で白クマがふりかえったような
私も同時に身体をうしろにねじると ....
何かを言おうとしたまま
羽蟻に覆われて行く 月
寝苦しい夜の何処からか
微かに 悪寒が流れ
顔を隠した二人の忘却が
そっと 水浴びをする
乳房のように膨らんだ闇
白い 流 ....
場末の神話から時間と空間を引っ張り出して
自分の居場所を作ってはみたたものの
他に追随するものはなく、いつも独りぽっちで、
もちろん光りは射さない
自分のフィールド ....
また、夏が
また、あの光景が見えて来る
田圃の畦道を
母と一緒に歩いている
手を繋いで歩いていく
畦道の陽射しは強く
麦わら帽子の隙間から
頭髪の汗をさす
揺らめく道端
青い稲
....
こわれたラジオの部品とか
いろんなガラクタくっ付けて
こさえたぼくの宇宙船
飛ばないことは百も承知さ
けれども心は飛んで行く
誰も知らない惑星へ
わたしたちは飽きもせず
あちらこちら ....
{画像=120729111956.jpg}
夏の朝は
牡蠣殻がプッと息を吐き
bulletが恋しい季節です
秋には死んでいるだろう
冬には死んでいるだろう
夏の朝は
牡蠣 ....
それほどまだ情報が発達していない時代
町の駅前ショップ
一枚がとても高く
気軽に買えたものじゃなかったけれど
流行りものには流されたくなくて
出来るだけ自分の感性を信じて
小一時間そして二 ....
メジルシが多過ぎる街を
さまよい続ける男は
メヂカラが強過ぎる小悪魔に
あっさり魅入られて
メクバリし過ぎた日々を
少しずつ取り崩しながら
メベリし過ぎたときめきを
愚かにも取り戻そ ....
この珍味は何で出来ているかは正確にはわからないらしい
デパートなどに行くと稀に売られており
かなり値段も高く私もこれまでに一度食べたきりだが
とにかくすっぱい
首がもげるかと思うほどのけぞ ....
さっきまでここにいたのに
だれもいない
冷たい空気が流れて気持ちが良い
スイカが一切れ置かれていて
がぶりと一口
すうっと目の前がうすれる
だれもいない
とっ ....
体をねじる
吐き出すどこまでも
体をのばす
念じるいつまでも
内側からほとばしる
飛び散る私は幾つにもなり
解き放たれたよ
ほら
愛していると言わないで
そいつは僕を窒息させる
愛していると言わないで
がんじがらめにされてしまう
いつも いつも
あなたを気にしちゃいられない
いつも いつも
笑ってば ....
氷がとけて
カラカラまわる
扇風機の羽がとんでいく
いくつもいくつもとんでいく
レモンイエローそそぐよ光
玉粒の汗が夏の匂い
浴衣姿が綺麗だねと
寿司屋の前で ....
(…ああ、これは海鳴り……)
ずっと遠い夢を見ている。
なにが正しいのか分からないままでいる。
「僕はいつも傷ついているんだよ」と言う。
それは嘘ではないと思う。
....
読みつかれて ふと
雨音に包まれて
物思いに耽る蛙と
草むらに潜む
文庫の中は
土砂降りの文字
連なり意味成し物語り
意識下に滲み濾過されて
何を読みたいわけでもなく
....
うすっぺらな私はとにかく
なんでもいいから
そこらじゅうに溢れ落ちている言葉を拾う
うすっぺらな
紙に書かれているセリフを
ぺろりと舌に乗せて
呑み込む
うすっぺらな
スクリー ....
鉛筆を研いでる間に書きたい事を忘れてしまう
(何もしなかった日)
Tシャツを脱いで
じっと目を閉じる
葉葉がそよぎ
緑の光が身体を撫でる
汗がだんだんひいてきて
風がとても気持ち良い
葉葉の音に私の皮膚は
ぴくぴく脈動し
....
文鎮が
ふうわり ふわりと宙に浮き
驚く書生の顔前を ナマコのように漂って
原稿用紙が舞い上がり
驚く書生の目の前で 舞子みたいに踊りだし
万年筆が身悶えし 書生の指を逃れ出て
ぽ ....
雨が降る真夜中
傘をさしながら
鈍く光るアスファルトの上
自転車をこぐ
少し力を入れて坂を上り橋を渡っていく
下をのぞくと川は濁り荒々しさに
背筋がざわつく
....
むっくりと太った柴犬がのしのしやってくる
なんかその照りぐあいは
焼きたてのチョココロネのようで
ぎゅっと抱きしめたら
頭からぽろりととれて
チョコクリームがどっさりでてきそうだ
チョ ....
楽しそうに笑っていれば楽しくなる
哀しそうに泣いていれば哀しくなる
薄っぺらな安っぽい
電飾で着飾ったフラダンスショー
ハリボテの楽園で目をつぶれば
夕暮れ浜辺で一緒にフラダンス
....
赤いサンダルと
傷だらけの膝小僧
くくく っと
笑いをこらえた君の影が
僕の靴をはらりとかわした
日曜日の太陽は
すぐに傾いてしまうから
それぞれの
背中に淋しさを背負ったまま ....
あなたと手を繋ぐ夢をみた
幸せな気分で目が覚めたけど
逆夢だと思い至ると
泣きたいような
笑いたいような
(青空だという事に気がつく朝に)
....
道路を歩いていると
クワガタが一匹転がっていた
手のひらに乗せて眺めると
綺麗な姿は無駄がなく音もなく
生きているのか死んでいるのかわからないので
こつこつ指先で叩いてみると
ギザギザ ....
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