すべてのおすすめ
あんたの「いつか」は
あたいの「いつか」ぐらい
「いつか」だよね
マリアは涙を流している
階級のなみだ
金属製の胸には革命の歯車が
コチコチと廻る
フリッツラングの見たニューヨークは
セピア色の未来
摩天楼には愚かな文明がのさばって
素朴な世界 ....
――なんの欠如を
怖れているのか
踊りたいから踊るのだ
何が悪いか阿呆ども
元来人は踊るもの
踊って歌って
笑って泣いて
怒れるものが人なのだ
鳴 ....
二月生まれの四人の合同誕生会をした
九歳と三十二歳と三十六と九十七歳
九歳は私の娘
九十七歳は私がアメリカに来た当初とてもお世話になった人
三十二歳は九十七歳を通じて知り合った子
三 ....
てのひらにね
魔法なんかないけどね
少しおもいやりの芽がある
指先にね
ひかりなんてでないけどね
君のきもちがつたえるものがある
白い紙をみつめるふたりの
想いが いっぽんの線に ....
それは 真夜中の出来事だった
白いシーツにくるまった
私の鼓膜をくすぐる
乾いた漣の音
胸騒ぎが
私を揺り起こした
その音が響いてくるのは
....
いつもパズルばかり置いてゆく
今宵は ただ雨のそばで 宿りながら 解くのを止める
機能性に想いを寄せた ふかふかの布団 春色にまだ染めれない
仰向けに呼吸を睡眠体制に 海に浮く
クラゲ ....
わたしと云う うつわの中に
血のほかのものが
そうめんながしのようにさらわれながら
どこかへとするする向かっている
芯のある雪の根もとで
眠っているかと思いきや
ハマグリの部屋 ....
雪に埋もれたまま青く影を落とし
家々は俯き黙祷する
気まぐれにも陽が歩み寄れば
眩い反射が盲目への道標
抱擁されるまま
冷え切った頬が温もり
辺りに耳が開かれるころ
頭の後方 梢 ....
古いデパートの舞台裏、
職員用通路の片隅に、
忘れられかけた物置がある。
狭く、薄暗いその部屋には、
用済みになった小道具が。
埃をかぶったハンガー、
古い ....
過去にとらわれた方は、遠い目をしてはります
未来にとらわれた方も、遠い目をしてはります
そして現在にとらわれた方は、白昼夢をみてはります
親はいないのか
捨てられたのか
たかいのか
ふかいのか
風がきつい
まぶしい
今日の空
ひとのかたちで
風に捨てられて
おまえは
なんていう名の雲か
太郎か、次郎か
花子か、雪 ....
あなたの胸に、耳をつける。
はらはらと
降りつもる、ゆき。
さいげんなく現れる、ぶあつい雪片。
あなたにふれた手のひらが、やはらかく折り重なり
何層にもなってゐる。
ぼくのも、知らないひと ....
0次元
面積を持たない点は哀しくて
あられのようにパラパラと降りそそぐだろう
なんのうえに
1次元
線虫となった哀しみはのたうちまわって
それでも面積を持てない
2次元
....
遮光カーテンの向こう側に目を細める
変形した足 破れた皮膚
珈琲一杯
二杯目で手帳を開いた
洗濯機の回る音はリズミカルでB5ノートの白銀を走るペンも軽い、
ペンの走る音は ....
1月の曇天は、この田舎町に
たくさんの雪うさぎを放ちます。
最近は、昔ほどは多くはないけど
それでも今年も雪うさぎが放たれました。
雪うさぎたちは、放たれた ....
固く結んだ歴史の果て
柔らかな風を含んで君は花開く
大輪ではないが機知にとんだ
しっかりした花だ
空からやって来る言葉を迎えるために
僕らは産褥をしつらえねばならない
....
首が回らないのに
辛気臭いが被さったら
最悪
食えないカビの温床
なんとか上げ上げで脱出したら
足を引っ張る奴の
便利屋にはならないよ
いますけど。
陽があたれば途絶える命
....
光が次の
季節を連れてくる
風はそれを
押し戻そうとする
雨が次の
季節を置いていく
人はそれを
なかなか見つけ出せない
ひと雨ごとに
行きつ戻りつしながら
季節は摺り足で ....
たまになら食べてもいいかも。と、軽い気持ちで言ったが最後、有名なわけでもアンニュイ雰囲気なわけでもないファミレスで、大して好きでもないナポリタンの大盛りをつつく羽目になってしまうように。詩作 ....
ま白にぬられた
ぬかるみに
私、
私は私を横たえる
差込む光も影も無い
360度ちょうどに
脈拍をならべ
赤はいつまでも
赤だった
たとえ色褪せても
嘘でも本当でも ....
画家はさかさまの
恋人たちを描いた
恋人たちは
地に足が着いていないから
ということで…
となりに黒ヤギがいた
絵をさかさまにした
地に ....
雪になれないミストの塊が降りてくる 桜の薄紅を水に溶き
私は筆の先端に任せ 続けている
墨のグラデーションを感覚に委ねる
発信源は心か魂か腹の底か 雪になりたっかたミストに尋ねる
陽だ ....
そのジャケットにはかもめが飛んでいた
水晶の静寂が永遠の砂から響いて
僕の胸ポケットの中には人生の請求書しかなかったのだけれど
静謐がほしかったそれ以上に孤独が
体のすべて ....
イヨマンテの夜をききながら
体をたぎらせ、心をたぎらせ、
床の中で小さく雄叫びをあげる
*YouTube イヨマンテの夜(伊藤久男)
http://www ....
担任の先生
支援学級の先生
児童心理学の先生
作業療法士の先生
言語療法士の先生
そうそうたる先生達に囲まれて
亀ちゃんについてのミーティング
亀ちゃんのテストの結果
チノウノハッ ....
君は透き通り始める
すべての色に
染まり終えたあとで
それは
詩の終わりでもある
私は君に
世界を見る
ガラス越しに出会う 朝のように
....
砂の上を歩く
右手には 打ち寄せる波
後ろから 追いかけてくる太陽
大きな神様が
水平線に腰を下ろし
風と光を使って 何かを洗っている
穏やかな水音
....
雨が降り出しそうだ
湿気が高くて汗が滲む
君は刺繍をしている
憑りつかれたように
黙々と針を動かしている
時計だけが
雄弁に時を刻んでいる午後
右肘の古傷が疼いている
僕に ....
日が長く レンズに艶が昇り そのように見える オレンジのマント
その海を揺らす 人間業のようにも見える オレンジのマント
王子様ですか 顎の筋肉の坂道に 憧れを乞う
そのマントは感じるに ....
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