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透明なものがたりがあった
ひとあし、ふたあし、訪ねていくように
波が岸辺に打ち寄せて
貝殻を拾って、耳に寄せても
波音は聴こえない
わたしの耳には
あなたの潮騒ばかりが渦巻いている ....
目が覚めて
ぼくはそのことを新たに自覚し直すと
やらなくてはならないこととして
すべてのあなたを
丁寧に土に埋めた
庭の木の
葉群が揺れる音以外には
何も聞こえないかのような
よく ....
四角い君が
手を触れないでも
美しい音色を出す君が
とっても気になるんだよ
いつか会いたいな
テルミンさん
夏祭りの帰り
土産もない手を
ボッケに突っ込み
田舎道を歩いていた
暗い山影と
遠ざかる喧噪
鈴虫の声と
小川の水音が
草葉の陰から
呟くように
....
蒼い夜を仰ぐ
氷点下の月面は寒いだろう
息をするだけで
小さく鋭い氷柱を飲むような極寒
月の海はどれも凍りつき
孤独死をするのにはうってつけだ
氷点下の月面はきっと美しいだろう
....
携帯メールの送り先が
特定の3つに変わった。
欠けていった鉛筆たちは
ころころ
机から床に転げ落ちて
旅をはじめた。
*
交わらない
平行線も
やがて海 ....
昨日と同じ時間に起きて
昨日と同じ電車に駆け込んで
昨日と同じ坂を登り
昨日と同じ教室に入る
昨日と同じく昼ご飯を食べて
昨日と同じ友達と
昨日よりも楽しく笑って過ごす
それが今 ....
実験室に一人
倒れていた
痺れて一寸も動かない
もう何も感じない部屋
血管内を毒が駆け巡る
血反吐を吐いてもなお
痛みも恐怖も感じない
生きている自覚の薄れ
そ ....
ワイン3本空けて新緑と残雪の境
さそりはいい虫じゃないよ
少年が立ち上がり主張する
だけれど姉さんは落ち着き払って
さそりが星になったときのお話をする
だからさそりはいい虫
空焦がす大花火
さそりは年中燃えている ....
盂蘭盆会
大きな篝火 お寺の境内照らします
小さな迎え火 辻のうらうら灯します
あれは送り火、 花火が散ります。遊ぶ子らの指の先
真昼の流し踊りの賑わいに子供たちはお囃 ....
どこまでもきらびやかで
まぶしい灯りの下
見えないものは
どこまでも見えないままでいる
通りすぎる車という車の硝子を
緑色に塗りつぶしている
何をされても
何 ....
私と
君と
あの子との
三つの管弦の関係は
軋るけど甘い泥沼
世界の終わり、地響きのような
敵意丸出し、唸り声のような
鋸が生む、摩擦音のような
低い低い低い音楽
暗い暗 ....
さようならスペイン
壁に描いたコスタ・デ・ソルの海岸を
忘れないで
ふたしかさ。
たしかなふたしかさを持つ
それが彼のこころ。
みえるようで
みえない。
いつも家族が集まる夕飯時に
そっと背中を通って
硝子窓を覗く
それが彼の部屋 ....
誰もいない
風がいつも吹いている
そして 風が そうおもうときに
寂しく肩を 通り抜ける
そして ページをめくる
いつも 誰もいないから 本を読んでいる
僕がそこにいる
薄 ....
僕がもしも男なら
私がもしも女なら
君に抱き締めて欲しかった
そして殺して欲しいんだ
もしも私が億万長者なら、ね
殺し屋を雇って殺してもらうの
とびきり腕の良い人を雇って……
....
二人称だった、ぼくは今日。涼しく朝には吹いた。それを感じた。風を。歩いて、まだわからない。なんのために?思うとそうだ。風を。猫はまだあそこで寝てる。ソーダ、記憶。島の。歩いて鉄条網、看板を、ぼくはわか ....
君が笑顔で食事している
僕は 朝飯は吐気がして食べる気がしない
友達が結婚したと聞いた時 僕はおめでとうも言えなかった
さらに 子供まで出来たと 思わず すごいねと苦笑いした
....
あなたの目はガラスのよう
誰も受け付けないのね 私だってダメ?
憎いやつ こっち向いて
でも そのガラスの目の奥 入り込もうと
近寄れば いつの間にか割れてる どうして
....
貴方はどうか 覚えておいて
確かにここに居たことを
貴方はどうか 忘れないで
確かな日々があったことを
貴方はどうか 打ち捨てないで
確かに触れた温もりを
貴方はどうか 留めて ....
コンピュータが動かない
こんなやつ使えない
〈接続されていません〉
何に?
〈なんらかの関わりに〉
〈ネットワークに繋いで下さい〉
黙れ
寝とけ
〈接続されていません〉
〈接続さ ....
君と僕とが
気になる人同士だったのは
いつの事だっただろう
人は自分の幸福が分からない
人は我慢が出来ない
欲しいものは欲しい
君が欲しかった
君の心が欲しかった
コーヒーが飲 ....
縁切り神社に俺の名前を書いた絵馬
<ザ・ロング・アンド・ワインディング・ポエトリィ>
言葉はいつも
戸惑いながらやって来る
曲がりくねった道を通って
日常の生温い闇をすり抜けて
言葉はいつも
恥じらいながら ....
つまらない事でも
人は死にたくなるものだ
どうしようもなく死にたくなって
家を飛び出した深夜
空が墨汁でも零したのか
夜がどこまでも黒い
1と0に点滅する電灯を辿って
い ....
風の無い朝
動いていたのは人間だけ
緑も空も犬も
静に息を潜め
耳を済ましているというのに
浮き足だって
僕らは何処に向かっているのだろう
人のこころは
陽炎に揺らめく砂漠に置かれた
少しだけ水の入った
壊れやすい硝子のコップ
君の言葉で水は満ちる
放っておけばすぐ乾く
君の言葉が
君の愛が
僕を満たし潤し ....
一日中、
こわれた雨樋をみていた
網戸にささって死んだ虫をみていた
あなたがこのよにいきているなら
わたしがしぬことはぜったいにない
わたしたちのなかで 言葉 ....
大雨洪水注意報
彼女に涙を流させてはいけない
そのあとですごく経費がかかるから
落雷警報
電気ショックで何かが復旧するとは想わない方がいい
普通のひとは死ぬ
落石注意
気がついた ....
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