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遠い砂漠から汽笛が聞こえる
旅人は足跡を創造する
風が砂と 錆びた金属の骨を運び
空気の帯びる熱の温度が上がる
一歩踏み出すと砂が落ちてくる
目の前にある白い黄金の丘
その向こ ....
こんなものだっただろうか
月を見上げて、
綺麗だな、と想った
それでお終い
朝日が上った
眩しいから目を逸らした
それだけ
ノートに這う寝ぼけたみみずとか ....
思い出した
思い出してしまった
宵の寒空
その底に沈む空気を吸って
木枯らし
髪は乱れ
呼吸は出来ない
内臓を風が通り抜ける感覚
僅かに揺れる身体
静けさ ....
寝ても覚めても
迸る感情
君の事を想いつつ
朝日が昇る
まだ形状の定まらない
流体の太陽
金床に流し込み
躊躇の槌で打ちつける
超高温の金属は
赫灼と輝き
理性 ....
夜の帳が下りると
夜の幕が上がる
汚れたコンクリートで形を為す
ビル群は薄れて消えて
夜の開演
舞台は暗転
その存在さえ確かでない
小さな秘密を
夜はそっと抱く
昼の世界は微 ....
冷たい風の音だけが聞こえる
悲しい夜の寒さだけを感じる
月に向かって飛ぶ機体は
陸に全てを置き去りにした
街の遠い灯りが見える
知らない街の時計塔を見る
左に沈んで曲線を遺し
....
鈴虫や蟋蟀
名も知らぬ羽虫の伴奏の中
誰かの家から
音階を昇降する
提琴の音色
同じく振動を音にする
小さな先輩達と響かせる
夜闇のエチュード
回転する時間軸
一年を周期にして
終わらない伝統と
どこか懐かしく
帰りたくなる場所で流れる
特殊な時間
僕らはもはやデジタルだから
たまに還りたくなる
暖かい土に
回転する ....
夜風に揺れる柳は指揮棒
無数の電灯や家の灯りを観客に
雲の幕に覆われた月が
月光という合奏と共に現れる夜
デクレッシェンドして
新月になり
クレッシェンドの頂点で
今宵は満月を迎 ....
寝過ごして起きた車内
まだ回転数の低い頭が
知らない駅名を朧気に聴いて
薄暗いホームに飛び降りた
誰もいない地下鉄のホーム
走り去った電車は
暗い暗いトンネルに吸い込まれて消え ....
定まってない
定まってない
いつもゆらゆらと
目眩のように浮いている
進んでるのやら
戻ってるのやら
何で僕って生きてるの?
と言って、ゆわり
何で雨が降ってる ....
四角い君が
手を触れないでも
美しい音色を出す君が
とっても気になるんだよ
いつか会いたいな
テルミンさん
蒼い夜を仰ぐ
氷点下の月面は寒いだろう
息をするだけで
小さく鋭い氷柱を飲むような極寒
月の海はどれも凍りつき
孤独死をするのにはうってつけだ
氷点下の月面はきっと美しいだろう
....
昨日と同じ時間に起きて
昨日と同じ電車に駆け込んで
昨日と同じ坂を登り
昨日と同じ教室に入る
昨日と同じく昼ご飯を食べて
昨日と同じ友達と
昨日よりも楽しく笑って過ごす
それが今 ....
実験室に一人
倒れていた
痺れて一寸も動かない
もう何も感じない部屋
血管内を毒が駆け巡る
血反吐を吐いてもなお
痛みも恐怖も感じない
生きている自覚の薄れ
そ ....
私と
君と
あの子との
三つの管弦の関係は
軋るけど甘い泥沼
世界の終わり、地響きのような
敵意丸出し、唸り声のような
鋸が生む、摩擦音のような
低い低い低い音楽
暗い暗 ....
僕がもしも男なら
私がもしも女なら
君に抱き締めて欲しかった
そして殺して欲しいんだ
もしも私が億万長者なら、ね
殺し屋を雇って殺してもらうの
とびきり腕の良い人を雇って……
....
コンピュータが動かない
こんなやつ使えない
〈接続されていません〉
何に?
〈なんらかの関わりに〉
〈ネットワークに繋いで下さい〉
黙れ
寝とけ
〈接続されていません〉
〈接続さ ....
君と僕とが
気になる人同士だったのは
いつの事だっただろう
人は自分の幸福が分からない
人は我慢が出来ない
欲しいものは欲しい
君が欲しかった
君の心が欲しかった
コーヒーが飲 ....
つまらない事でも
人は死にたくなるものだ
どうしようもなく死にたくなって
家を飛び出した深夜
空が墨汁でも零したのか
夜がどこまでも黒い
1と0に点滅する電灯を辿って
い ....
人のこころは
陽炎に揺らめく砂漠に置かれた
少しだけ水の入った
壊れやすい硝子のコップ
君の言葉で水は満ちる
放っておけばすぐ乾く
君の言葉が
君の愛が
僕を満たし潤し ....
雲から作られた
真っ白なキャンバスに
君は向き合った
夜をチューブに詰め込んで
君は黒い絵を描いた
星を砕いて水で溶かして
黒い絵に瞬く光を浮かばせた
望遠鏡で君の絵を見 ....
解剖してみよう
お前は何だ?どんなだ?一体誰だ?
自惚れるなよ
お前はお前の全てを知らないどころか
お前は我々に作られた
自分が自分を作るとでも
お前は思っているのか?
お前は、 ....
この世界の何と寂しい事か
僕の安寧は
黒い棺の中にしかない
さぁ、剣を刺してみよ
棺の中の僕は
横たわる僕は
血は流しても
息絶える事は無い
なぜなら
死人が二度
死ぬ事など無 ....
覚えてるかい?
いや、そんな筈がないか
僕と君とは他人同士
何の接点も無く
いわば二つの点
そこに直線が引かれることは無い
惹かれることはあっても
覚えてるかい?
覚え ....
ベッドに寝転び
CDプレイヤーに
夜寝る時の為のCDを
カチッと嵌めて
再生ボタンを長押し
ピーという微かな音がしたら
部屋の灯りを落とす
枕の下に
CDプレイヤーを入 ....
虹の無い空を埋めるのは
淡々とした白と重々しい黒
君がいないなら、世界なんてモノクロだ
白黒テレビ、砂嵐
無意味で単調でつまんない
でも悪くない
色の無い世界、1と0
....
打ち上げ花火の
音だけが微かに聞こえる
幻聴ではないはず
僕は行けなかった
内心、君が行くなら行きたかった
けれど行けなかった花火大会
音だけが聞こえ
花火も君も何一つ見 ....
黄昏のような明け方、夜の今際
悲しみに暮れる夕焼けの如き早朝は
空の青と昇る陽の赤が
混ざり合い織り成す紫
また明日、と言って君に背を向けた
その明日が今日だ
染まる雲の柔らか ....
はい、あなたの症状は?
えっと、えーっと、えっと…
言葉にしようとするならば
片っ端から消えていく
うーん、ではどうして欲しいですか?
えっと、えーっと、えっと… ....
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