すべてのおすすめ
垣根の灌木の枝は
年じゅう好き勝手にのびるので
つい気を抜くと
目も当てられない状態になる
裁断ばさみで
枝を切り落としながら
つい考え事をして
ざっくり切ってしまうと
枝のあいま ....
きみのりんかくをぬいあげていく
オルガンの重さが
ひかりににていて
急に
まぶたがいらなくなる
砂糖の
あじをわかりたくて
紅茶ばかりのんでいる、午後
猫が行った
声に体 ....
空はいつからか
うそをつくことを忘れたようだ
また 冬に近づいた
寄せ集めた言葉で
とりあえず冬を迎える準備をした
....
赤くなった紅葉を
散歩のお土産にくれたのは
あまりにも小さな手に思えたからなのでしょうか
わたしはそれを栞にしました
いつかわたしを未来へ繋いでくれる{ルビ娘=こ}へ
贈ろうとした名です ....
ものがたりをしよう
こんな淋しい夜更けには
ものがたりをしよう
青いペアグラスは粉々にくだけ
私の心は深く傷ついた
銀のスプーンを強く噛んで
一人ドアを閉じ貝になる
永遠などない ....
青と緑の区別がつかない
私達は 東の国の出身です
昇らない太陽を見つめている
私達は 寒い国の出身です
満ちない月を夢見ている
私は どこかの国の出身です
暗闇から這い上がった男が一人
妙に明るい空間の中記憶の埋め立て工事作業を始める
繰り返す日々の果てに幸せと温もりに縁はないと知った
動き始めた日々の末にあるのも絶望と悟ってた
「諦めた ....
来年の今頃も
聞こえている唄
うたう命を
知ることもなく
野たれ死んだわたしの
希望のように
これからはじまることは
まるで懐かしい
出来事のように
知っているかのようだ
今わたし ....
盛りに
胸像の彼女は太陽の中に沈んで溶けた
彼は銅像のように停止して笑ってみせた
また、冷えて固まっていく季節だ
薄い皮膚から
光沢が失せて
にび色の空の
凍結する{ルビ質=たち}の ....
公園の水のほとりで
老人が自爆している
ソフトクリーム胸に突き刺しながら
芥子色のニット帽が
つぶれて落ちている
喘ぐ声は、聞こえない
だ ....
空 オレンジのカーテン
倒れこむように暮れてく街
夜に馴染もうとする
窓の三日月が悲しいな
目が回りそう
くるくる回る世界の色に
変わらなきゃその色に
寂しさたとえれ ....
雑踏のオーケストラが
鳴り止んだ夜の街で
耳をすませば
バイオリンの泣く音
チェロの慰める声
そのふたつ届く
どこか遠くで
自分のふりをして
誰かの代わりに
誰かが生きている
今日 ....
・
駐車場で暮らす人と知り合いになった
駐車場の
車一台分に四角く区切られたスペースに
うまくお布団を敷いて
机を置いて
入れ替わり立ち替わりする車のヘッドライトを灯りにし
雨が降れ ....
日の当たる柵の上に座っている
町に何匹ものこがねむしは
踏み潰れて
鉄の車輪の
切りつける音は輪を描いている
灰とか
羽を
風が吹いたらめくり上げて
ひとつ眠って
目を覚ます頃には
....
景色が歩いている
わたしではなく
まるで時のように
目をつむれば
色をうしなって
古い景色が歩いてくる
錯覚していた
わたしはこの世界を
歩いてなどいなかったのだ
風が砂塵を巻き上げて
ラクダのお目目に砂入れた
ラクダの大きなお目目から
一滴涙が落ちてった
涙で潤んだ砂たちは
みんなそろって
夢を見た
大きな白い花咲かす
遠い未来の夢を見た
....
かすかな声でなぞる
あれは面影
うらの林のすきまからみえた
私の亡霊
沈むことのできない舟
いっそうの複音
静かな{ルビ水面=みなも}をもっている
{ルビ自恃=じじ}{ルビ矜恃=きょ ....
真夏に日車は、咲いている
雷鳴の空を裂く。
轟音で目を覚ます
一輪車に稲光りが青白く反射する
一瞬で葉陰の殻は黒焦げになり
焼けた臭いに鼻をひる
傘の骨はしろがね色で
{ルビ死灰 ....
今日と明日の夜の谷間に
微かだが
感じるあなたのため息
ソプラノ歌手よりも
こころに染みる
透き通ったそのひとの言葉
最上の音楽に聞こえる
胸のふくらみがさらに大きくなり
木管の寂 ....
は
じ
ま
り
は
ひと振れ
蝉の声かな
とおい町外れの
森林から
あたかも
きみとは
まったく
かかわりあいが
ないっていう
そんなふうに鳴いて
そのまま ....
・
わたしの住む町にはトンネルがある
トンネルはぽっかり口を開いて
雨の日にも晴れの日にもただ
怠惰そうに横たわっている
トンネルってなんだか産道みたいだ
トンネルを通り抜けるとい ....
この夜に砂糖とミルク少々を入れて
掻き混ぜて飲み干すんだ
――君 何処へ行きたいか云ってくれ給え
ラズベリィの憂愁に
しなやかさの極みの鋭さを閃かせ
僕らを駆動する
僕らが駆動する
{ル ....
胃の洗浄をするために
階段を上ったり下りたりしていた
蜂蜜のソーダ割りをひっかけていた
シュワワワワーと
それは収束の音だった
落ち着きのないフルート
君はツタの絡まる音を聞いたか
....
だからたとえば犬のように
白黒でしかものが見えていなかったとしても
濃淡の薄れゆくところ
色彩の変わるところが
あたらしく欲求がなりかわるところで
ぼくが輪郭と呼んでいた ....
夜の底に潜む
白く荒い呼吸の流れ
予想外の眩暈と共に
私は落ちていきます
停滞したまま動けない意識と
静けさの砂嵐の中で
乱れている小片の明り
それは現実でなく事実です
私は落ちて ....
こどもの頃棄てたはずの手が
壁の中で指をならしている
むかし山の小川に浮かべた舟が
朝のトイレの水面をはしっている
出会った人も別れた日々を憶えずにはいられない日々
雀たちの六月 ....
剣、と
よぶのを避けたくて
声はひとつの
武装と知った
ちいさな胸を
軋ませてゆく重みが
町だとするならば
すべての指が
ともされる
祈りのなかを風は、
振り返 ....
・
女子高生のルーズソックスの中には
何が入っているのだろう
はるか昔
恐竜が生きていて
まだわたしが女子高生だったころ
何度もルーズソックスを履こうと試みたが
あの絶妙なふくら ....
建築物の皮膚が
剥がれていく隙間に
君の片目が見えたら
棘を映しこんでいるから
真っ白になるまで燃やそう
それは緑色で 右か左か
どちらの目なのかわからない内にも
....
何を植えるかなんて
考えもなしに
掘りおこした
庭のすみ
やわらかい土の頂きに
雀が降りて
ころころと、まろび遊ぶから
つい、嬉しく振り返って
あの人の面影を探してしまう
幸 ....
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