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近くて遠い
海底の故郷に別れを告げ
電車に乗って
少しずつ遠ざかる
私の体は群れをなし
回遊魚となって
思いめぐる寒流の
水面に浮かんだ
そこは近くも遠くもない
今の私の終着駅 ....
半そでの季節になると
肌の匂いが懐かしく
やがてそれは
真夏の音に掻き消されて
懐かしさはまるで
現実とは言えないほど
曖昧な記憶になる

半そでの肌を
すっと
初夏の風が通るた ....
来年の今頃も
聞こえている唄
うたう命を
知ることもなく
野たれ死んだわたしの
希望のように
これからはじまることは
まるで懐かしい
出来事のように
知っているかのようだ
今わたし ....
雑踏のオーケストラが
鳴り止んだ夜の街で
耳をすませば
バイオリンの泣く音
チェロの慰める声
そのふたつ届く
どこか遠くで
自分のふりをして
誰かの代わりに
誰かが生きている
今日 ....
景色が歩いている
わたしではなく
まるで時のように
目をつむれば
色をうしなって
古い景色が歩いてくる
錯覚していた
わたしはこの世界を
歩いてなどいなかったのだ
海の隙間から寝間着の紳士が上陸する
レディファーストを欠かさない紳士は
すでに同伴の淑女を裸にして太陽にさらしている
用意周到に船で密輸された薬品のことを知っているので
紳士は安心して夜を待つ ....
ゴミはゴミ箱に捨ててくださいと彼は言う
イメージと詳細にしか興味がない彼は
ある日からゴミ箱の中に住むようになった
今日もゴミ箱の中はイメージと詳細でいっぱい
そのことに彼はとても満足している ....
引けば開く扉は押します開かぬよう

開かずの間あの鍵はもう壊れてます

ねえあなたこの車窓の絵は買えないの

蜂の顔同級生の小林さん

生活感だけを散らかし夏の庭

引けば開く扉と ....
朝原 凪人さんの小川 葉さんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
終着駅- 小川 葉自由詩608-6-12
半そで- 小川 葉自由詩5*08-6-9
冬になれば野たれ死ぬだけのキリギリス- 小川 葉自由詩207-10-21
雑踏- 小川 葉自由詩407-10-16
錯覚- 小川 葉自由詩707-9-8
仮面- 小川 葉自由詩4*07-6-16
不可視- 小川 葉自由詩607-5-25
夏の扉- 小川 葉俳句4*07-5-12

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