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ちりぢりになる私達の細胞たちは
約束を破ったことを後悔しながら
元の、自分たちの家族の待つ家に帰るのだ

家を守る犬神の
祀られた神棚の
榊に込められた思いは
安住の切なる希望

私 ....
からだという
枷をひきずりながら
とぼとぼと囚人が
やってきた

まどろみのなかで
わたしはうしなわれ
再生してゆく
あかんぼうのように
泣き叫ぶことが
できるだろうか

砂浜 ....
凍る
水の表面で
足先から
凍ってゆく
満ち欠けの
潮騒のように
訪れては
去ってゆく
感情に
感覚が
乗っ取られる
肩の上に
降り積もる
雪は
道にできた轍を
消そうと ....
夢の中から亡霊が現れ
説教をされた
生きていた頃と変わらず
エゴイスティックに罵倒された
その瞬間は
あなたが死んだことを忘れていた

骨は沈黙して
思い出は思い出にならず
今の私に ....
雪の降る日には
わたしの手は凍えてしまい
擦り合わせても
擦り合わせても
ちっともあたたかくなりません

デパートで500円で買った手袋をして
いっしょうけんめい擦り合わせ
じっと火を ....
ぼく、生理がはじまった
おちんちんから血が出るから
ひにょうき科の先生に診てもらったら
おめでとう、と言われた

いやっほい

と、ぼくは宙返りをして
さっそく父さん母さんに報告した
 ....
穏やかな夏の青い空に
幼い頃聞かされた赤く染められた天地が
嘘のように
頭を刈った少年たちの
淡い掛け声が響いた

誰もが歩む死への行進
だけど殺し合いは御免だ
「兄弟仲よに分けないか ....
眠れずに
    話し続けて窓から見えた白い月
集合場所は明かされぬ森の中
    獣達は眠らない
獣のような人間も眠らない
    人間もまた獣のように目を光らせる

夜にメスを入れる ....
 青い顔をした老人は路地裏を杖をついて歩いていた。どこからか漏れてきた白い蒸気が路地全体を雨上がりの草叢のように湿らせている。
 白と茶のまだら猫が前を駆け抜けていった。人の気配はない。この辺りにも ....
瞬間見えた隙間に
飛び込んで
五線譜に記された過去と未来を
現在に引き戻す
柔らかな肉の感触が
夢の中で甦る
もう少し先を見たかったのに
覚醒は強制だ

飛ぶ鳥がいなくなっても
空 ....
逃げ惑う足首に
絡みつく春の鬱
転ばないように地面を
踏みしめているのに
白い鬱が生えてくる

小さな芽が双葉を広げようと
隣で眠る鬱に声を掛けた

まだ孤独であるうちに
秘密の儀 ....
ひとつの幽霊となって
ある日の透明をかえりみる
止まない雨に
裂けない雲に
青空の贖罪を聞く

糸を編む蚕の
たゆまない運動の
底の磨り減った靴の
歩いてきた時間を告げる

再会 ....
いっこの点
ぐいるぐいる
切断面
にぃぃつやと
喉仏を動かして
ありったけを
跨ぐ

道と道が交差する
信号機は
滑舌よく
大人たちは
お囃子に合わせて
黒い眼を回しだす
 ....
二番目の器の中で
笑っている子供たち
悠久の久しさは 星と星の小径のように
細く 遠い
それでもきっと声は届く
道を横切れば
そこは尖端
けれども進む
未開の道標を踏みしめ

膨ら ....
僕は月だから
太陽がないと輝けない
けれども
どうして世界は回っているのだろう
ならば
蛇行する時計に日射しを与えよう

黙殺するな、今
黙殺すれば、過去
限りなく未来を{ルビ労=ね ....
ひらゆらと青いてふが飛んでいる

重なるように紫のてふも飛んでいる

白いのも黄色いのも黒いのも飛んでいる

昏い夜空に交わらないように

自分たちの屈折率を守っている

腐心 乱 ....
8mmフィルムに映し出された青い空を
精液で汚して
町の中をまわる電車に
逃げ込みました
逃げ込んだ先は年老いた少年の
末期でした

野良犬は小便を垂らして
猫たちは決して譲らず
許 ....
   凪が終わる時

授業が終わると道人は真っ先に教室を出た。いつもは軽音楽部の部室で、友人達ととりとめのない話をして、ベランダから演劇部の発声練習を眺めながら、本間裕子の姿を追いかけるのだが、今 ....
いっしょうけんめい人生に絶望して
暖房の効いた部屋で

死にたい

と記してみる

死ねばいいのに

と答える

死にたくない

と泣く
泣くふりをする
涙も出ないのに
 ....
僕らはまた戦争に負けた
いつまでも生きていられると思っているのかい?
君は拒み続ける
でも僕はあきらめないよ
だって時間は過ぎ去っていくんだもの

僕は忘れる
大事なことを忘れる
昨日 ....
たとえば君が
太陽や月でなくとも
シリウスようなきらめきで
夜空に祝福を与えてくれる

たとえば君が
笑顔を失ったとしても
僕がお道化になって
気付かれないように
君の元へ駈けつけよ ....
永遠を求めるな
子供達よ
それは麻薬だ

永遠を追い駆けろ
中毒者タチよ
たとえ幻覚だとしても
お前達には見えているのだろう
雲が割れた
眩しい

手をかざした

光が
真っ白い
その石はまるで子宮のように
あの日 交わったときから
じっと守り続けた
ゆだるような潮風からも
氷点下の吹雪からも
じっと路傍で待ち続けた
ただじっと砕かれる日を
穿たれる時を
自らが ....
この町の夜は静かなもので
特に冬の夜は衝動に駆られて
大きな音を立てて改造車で走る
少年少女もいない
その代わり目には見えない何かが
充満していて、それに触れられると
その部分だけ鳥肌が立 ....
気が付くと音が止んでいた
いつもより時間が経つのが
早い気がする
雨はもう上がっていて
日はまだ差さないけれど
射し込む予感はあった
燃やされる堆積物に
湿った身体をそっと寄せる
釣り ....
   

 八月、台風九号は二十二名の命を奪い、太平洋の北洋上で一陣の風となった。嵩の増した泥の粒子を束ねた濁流が財田川を下っていた。よく水神として龍や蛇が奉られるのがわかる気がした。うねる濁流は ....
トビが啼かずにまるく飛んでいる
白い朝の港の防波堤は
カラスの群れで
黒く染まっていた

ひゆん ひゆん ひゆん
と息をしている
ひゆん ひゆん ひゆん
と啼いている
ひゆん ひゆん ....
ゆがんだ世界とうまくやっていくために
ひずんだ言葉に沈潜してゆく
絶望という名の回虫が腸の中で
成長している
季節はずれのハエが
安楽椅子で眠っている
年老いた神様の口元に
止まっている ....
授業が終わると、真っ先に教室を出る
いつもなら軽音楽部の部室で
とりとめのない話をして
演劇部の発声練習を聞きながら
ひとりの娘の姿を追いかけるのだけれども

夏休みの間、炎天下の中ひたす ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
たとえそれが逆行しているとしても- within自由詩217-2-26
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8mmの空に- within自由詩8*10-1-9
凪が終わる時- within散文(批評 ...5*09-12-28
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10年代へ- within自由詩11*09-12-11
クロスロード- within自由詩12*09-12-9
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祈り- within自由詩7*09-10-12
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