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小市民の怒りは高層ビルのうえ浮かびて月は夜を満たさむ

聖燭をみがき輝かしたる夜工人ヨセフを愛してやまず

カモメ飛び立てるを遠くながめをり意思なき男は飛べないカモメ
北へ行く電車の音を聴きしよる瞼の奥に郷里はありて

五月空美貌眩しく輝きて刃のごとくにわれをつきさす

夜風吹き揺るる蠅取紙の蠅われの孤独は夜に膨らむ
夏蝶が荒野をぬけて来し時に大地の眼はするどく開く

青年はミケランジェロに惹かれやすく告げし身深く一羽の鷹に

夏の夜に堕天使つひに優れたり星月夜すぐわれに近づき
青空にわれをおさめし帽子舞ふ故郷はいつもわれを拒まづ

街灯に蛾はなに求め集まれり夢なき高校生の分身

マッチの火点けて拡がる夕暮れに未来に逆らひ運河薔薇色
霧の村に石を投げれば切り開く明日の地平は放浪型に

五月空どこ見渡せどあを続き少年雲を翼にかえる

シーザーを刺して終わらむ野外劇星は夜空にあふれて消ゆる
去りがたき旧家にひそむ精霊も君もわが青春の影とす

穂草は種を密かに飛ばすイエスよりマリア若きをその罰として

満天の星は人の不幸ならむと決めつけ孤児はおのれなぐさむ
カーテンの裾の隙間に見ゆる風桜桃の実は食べ尽くしたり 世界の果て求め太平洋に出づ勝ちても悲しき少年の日は

鰯雲旧家の歴史も浅かりき表札静かに滅びを急ぎ

疑いなき眼によりおこなう間引き故両手の罪は水で流れむ
青年は蛮声あげる暗黙の絵画のような空にむかって

麦垂れるわが過ちを焦点にあたたかき闇充満してゆく

失うものなければ雲の峰仰ぎ草笛吹きつつ孤独を癒やす
わが春の分身とよびたき青き種子大地の暗み信じて沈む

いちめんの麦の青みのなかにいて思ひつげよとわが背押す風

上空の子燕のみが新しく街にはびこる意思なき者は
{ルビ門=かど}ごとにあふるる花を競ひ合ふ住宅街を光貫く

やはらかき茎裂けながら薔薇の芽のあたらしき肉色に生い{ルビ出=い}づ

腐りつつ笑ふ黄の花雨受けてプラスチツクの鉢膨張す

恨ま ....
木々の芽の{ルビ魚=うを}の頭のかたちして霞の谷に息ひそめゐる

この冬も人失はれ残雪の谷さやさやと木の芽張り初む

断崖に身をよぢりたる一樹あり芽のあをあをときのふを忘れず

約束てふ言 ....
うららかに風のかすめる真昼間を透きとほる茎ゆらゆら歩む

いつぱいにひろげし指にうららなる光を溜めてさよなら少年

仰向けの蛹にうららなる日射し二度の誕生ゆるされてをり

うららかな日の暮 ....
電車過ぎやがて月食はじまりぬ夜風静かにうぶ毛を揺らす

噴水も止まり後には静寂と夢なきわれの影はゆらめく

他郷での海岸にでて小鳥らにここも故郷と言ひてはばかる
鏡台を売るとき若き母うつり秋風にわが身を虐げる

怒りなる林檎投げつけ少年はジャーナリズムの正義疑ふ

叔父いつも偽善者ならむと決めつけて蒲公英踏みつけ青空仰ぐ
葉桜の枝下に濃き影のある人気の無さよ海の寂しさ 思ひ出の少なき恋を庇ひ庇ひ青き月夜の古き浜辺へ 春半ば存外心乾くらし不意に夜雨の音の聞こへて 頬つたう流れに小指吸われつつ鏡のなかの老いを見つめる



死にかけた小鳥を隠す藪はいま蕾の波に覆われており



窓たたく冬の名残りをふるわせて排水口をふさぐ髪の毛

 ....
花束を車内いっぱい敷き詰めて水没してゆく春の陽とひと



野の花や少年少女の髪揺れる風泥棒が口笛吹けば



集まればいつしかはなれてしまう春むかしどうきゅうせいと来た海
 ....
吹雪舞ふ街並暗くなりゆきて
車の尾灯赤く際立つ


娘の買いしロシヤ民謡の低き声に
ほれぼれと聞く灯を消す部屋に


隣家に毎日来る左官屋の
両肩に今日 サロンパスあり


ま ....
ひとりぼっちの教室から見上げるきみはどうしてそんなに青いの、




背高草。
飛び越え飛び越え高くなれ。
もっと誰よりきみよりも。


お腹が空い ....
君がゆび
我の背にそう
ゆびさきは
紅蓮の業火に
路をとくまで


君が肌
我にぞ白く
映りなむ
まなこにとどめむ
淡き面差し


さくら待つ
朧にかかる
しらつ ....
なじみ深き土地を去る日の迫りきて
一日短く覚ゆ昨日今日


何事も知らぬ猫といて この土地を
離るる事を息子は言ふており


感傷にひたるひととき青梅が
音たてて落つ庭石の上

 ....
この冬は冴えし日向に馴染みけり風のある日の昼は殊更 苦しげな寝息鎮めるタンジェント同心円が深夜に浮かび

付添って車輪擦るリノリウム湿気が包む待合二人

軒下で雨垂れ滲み街灯の向こう岸から鼻歌静か
麗らかな春の匂いはどこにある
梢の先の小さなつぼみ

清らかな春の光はどこにある
川に流れる小さな雫

ゆるやかな春の動きはどこにある
日なたで伸びる子猫のあくび

新しい春の心はど ....
風強くお前の街に吹く昼間白木蓮の揺れるのを見る

この街に急坂多く溜息の代わりに花を見上げれば春

裏道の黄色い壁の家の傍愛した人の影だけ長し
背にひたい押しあてているどこよりも海から遠い場所のざわめき



「お大事に」はさびしい言葉云いかけてやめた言葉を思う道行き



やや強き風が発ち口噤むとき岬のようだホームの端は
 ....
京都にて一人歩きの僕だった安い映画「別れの一本杉」

思い出のメロディーよ一刻一刻が大切なこの日この夜
 

授業が終わって隅っこで今日の給料を待つ絵の先生は

夕暮れも間近一人机に座し ....
石瀬琳々さんの短歌おすすめリスト(327)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
飛べないカモメ- 村木正成短歌2*07-5-6
蠅取紙- 村木正成短歌2*07-5-5
堕天使- 村木正成短歌5*07-5-4
運河薔薇色- 村木正成短歌4*07-5-3
五月空- 村木正成短歌4*07-5-2
満天の星- 村木正成短歌3*07-5-1
隙間- A-29短歌2*07-4-30
世界の果て- 村木正成短歌2*07-4-30
草笛- 村木正成短歌2*07-4-29
大地- 村木正成短歌6*07-4-28
幸福の廃墟- 渦巻二三 ...短歌207-4-27
木の芽立つ- 渦巻二三 ...短歌207-4-27
麗らかなきのふ- 渦巻二三 ...短歌207-4-27
月食- 村木正成短歌5*07-4-27
青空- 村木正成短歌5*07-4-26
遠の海- A-29短歌3*07-4-23
思い出- A-29短歌5*07-4-20
雨(二)- A-29短歌1*07-4-16
冬と終わり- 木立 悟短歌11*07-4-11
春形見- 本木はじ ...短歌1407-4-7
6P_「短歌2」より_〜塩田より京都へうつる時_昭和三十四年 ...- むさこ短歌16*07-4-4
「_草原の教室。_」- PULL.短歌6*07-3-30
春の寂光- 沙門短歌307-3-29
4P_「短歌2」より_〜塩田より京都へうつる時_昭和三十四年 ...- むさこ短歌11*07-3-28
風の日向- A-29短歌3*07-3-26
雨の情景- 及川三貴短歌4*07-3-20
初春の歌- ぽえむ君短歌16*07-3-20
白木蓮- 黒田康之短歌407-3-18
海から遠い- ソマリ短歌1707-3-5
弥生一日- 生田 稔短歌3*07-3-1

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