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らんららん 出張中の男の洗濯をしようと乙女心を持参しアパートへ向かったら
まさに今 女にまたがろうとしている男と遭遇
鍵をかけていても私は合鍵を持っているのだから男の防衛策意味なし
セコムしてな ....
それがほしいのだという
網の籠を背負って
捕まえて入れるのだという
静かな息に
舞い上がり漂ったのち
重さを感じて落ちてくる頃に
掴むのだという
小走りに途切れて
靴音の後ろか ....
林のなかのどこからか降る
ぼやけた影の重なりが
手首にふたつ震えている
青と緑の輪はまわる
音は少女の手にむずがゆく
降りつづける影をゆらす
鱗の血が
花の血が
笑 ....
起きたら
三島由紀夫だった
下唇を噛んだら血が出て
三島由紀夫の血はこんな味なのか とか
白くて小さめの歯は けっこう硬いのだ とか
会ったことないのに懐かしむ
せっかくだから ....
根っこ の傘
に ツカマリ
しゃぼん
いえロー
ちゅ
トレイン
はかねずみ とり
かかってる 奴に
驚くもんか
とどめ のさし方
にやり ちゅ
に
....
カタコンブ片
地下墓地の奥に見つかった
女体がひとつ
乾き切ったほむらの形相で
蕩けた口の大きさで
己の生死を問うている
造物主に
世紀を越える時
女もこどもも兵士も一様 ....
ししゃもはいいねぇ
そういって親方は
お弁当を頬張り
しわくちゃの目尻が
太陽でいっぱいになる
不機嫌な運転手の硬い毛髪の臭いに堪え
埃塗れの道を走り続けて永い時間が過ぎ
険しい人の顔が溢れ活気ある村落に着く
下半身に溜る不快な重量は増大してくる
乾季のただ中に晴れ上がった大インドの
....
よるはわたしをまたず迫ってくる
気がつくとあたりはくらく
わたしは電気をつけずにふとんにくるまる
ひるとよるの境目が
きいきいと鳴くおとでめをあけると
よるが目の前に立っている
わたし ....
お前は
ビタミンを含みながら落ちていく
お前のばか
嬉しいばか
お前は
ビタミンの味も知らないで
そんなに若くして
ビタミンを含みながら落ちていく
お前のばか
お前のばか ....
自転車置き場で
空を見上げるのがいい
そこに風でも吹いてくれれば
なおいい
そんなとき
携帯電話の電池でも切れていて
何か大事なことや
大した事じゃないことや
君にとっては ....
それははちみつのいろ
きんいろにかがやくアスファルト
カーブの手前
かげのように
染みがきえない
きえないでいる
からすの世界はあかむらさきで
いいものだけ光ってる
たとえ ....
24歳 買い物にゆく
湿った月のような太陽の光の中
ラヂオ体操の帰りに見た
雨上がりのあさがお
そこに行ってしまった
8歳のはずの世界
今にも零れそうに
鮮やかなアサガオはゆ ....
捨て金魚をした
近所に川がなかったので
人の多い駅前に捨ててみた
金魚だってわかってもらうために
「大学と手毬です 可愛がってください」とでっかく書いた
気になって一日に何回も駅 ....
(range life vol.5)
罰月跋日東京都新宿区
某清水橋交差点の午前5:00
(うつくしく、けなげなる、ぐうぜんの、はじまり)
私とリキ ....
朝
目覚めましたらそれはそれは
パパもママも窓の外を歩く人も皆
片方の手に小さな人が絡み付いていまして
乳白色の柔らかそうな人が絡み付いていました
五月に入ったばかりだったので ....
裏庭のトマトをもぐようにわたしはわたしになまえを
いくつもつける
(たとえばフランチェスカ、など)
そこにいるわたしテーブルのうえのわたし
わたしがすでにいないところにいるわたし
テーブルの ....
(※くり返し)(※くり返し)(※くり返し)(※くり返し)
(※くり返し)(※くり返し)(※くり返し)(※くり返し)
(※くり返し)(※くり返し)(※くり返し)(※くり返し)
(※くり返し)(※く ....
彼女はびしょびしょに濡れた服を着て
この服いいでしょ
といった
ぼくは濡れてるから着替えた方がいいって
いったけど
彼女はそのうち乾くから平気だよと
まったく気にしていなかった
....
わたし
ごくつぶしの耳鳴り芳一と
反転した橋の下
こうもりみたいな夜を過ごす
森の、もっと森の方
ただのニレだったという屍が
糸を引いて地面に伏せるまでの時 ....
地下鉄で
あなたは手首だけの幽霊と手をつないでいる。
もうさびしくないね、よかった。
あなたを慰めるためだけにこの世界に生えているてのひら。
それはまるで、
薔薇のよう。
みどり児は
あけの河に流されて
流れ着くのは石の岸
そこをみずからぬけ
葦の原へおちつく
すでに住まう
年よりの蛇とあそぶ
おどりあそばせ
つゆふる夜半には
犬三匹をおま ....
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