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公衆便所の7階から飛び降りるとき
どっこいしょと
言ったか言わないかで揉めているのだ
(百万人に一人の確率で)
雷雲が発生し
キンモクセイがアッパーカッ ....
戦争のあとにはいつも
殺されなかった死体が転がっている
それが君の言うところの
正しさなのだろう
ぱたりと本を閉じる
車窓の外へと目を移せば
淡い色の田畑が広がっている
「次 ....
いつくしむ
いつくしむということを
忘れ去ってしまったならば
それは つながりのもつ距離が
不鮮明にとまどっているの
けれど立ち止るな
そこは業火の唸る 底無しの淵だ
それでも振りか ....
{引用=
一、やわらかいものたち
みなもの月が
やわらかそうで
みんなたのしく眺めていたね
そして
だれかが
つかまえようとして
バシャリと濡れてしまっていたね
....
日没に抱擁の石
喉に付き突け
思慕揺らぎて白い刻に寄せる
見知らぬヴィオロンよ
どんなに多くの遠い都会で
貴様の孤独な夜が私の夜に歎いただろう
堕弱な人生の一時的な季節
....
凍り重なる足跡を
ざわめきは歩む
うつろいは歩む
こぼれては散る火の
ほころびを縫う
まどろむまぶたを照らす金色
崖の高さだけ離れたところへ
越えて 越えて 波は放つ ....
玄関に乱雑に置かれた
靴の形や方角を見つめていた
声が掛かってやっと靴を脱ぐ
冷たい床の歩数を数え
贈り物を掴んだ手が他人の様に
中の輪郭を酷く失わせる
飲めないコーヒーを玩びながら
エ ....
つまさきが冷えるので
靴下を買おうと思って
鳥の格好をして表へ出た
別に態とではない
暖かそうな上着を着て
マフラーをきちきちに巻いたら
鳥の格好になってしまったのである
ためしに玄関マ ....
あるところに男と女がいて
であって 好きあって
子供ができて 家庭を持った
あるところにできた二人の家庭は
明るい家庭で
子供は二人
跳ねて 飛んで
子供の頃によ ....
シェリル
まぶしいな、区切られない場所は
名前を持つのかどうかも知らないような虫が
指先をつたってきて
それはぼくになにも響かなかったから
そっとしておいた
シ ....
その人はヒビコレ
彼に別れを告げられることのほうが
彼が死んでしまうことよりも
つらいといった
渋谷のヒビコレ
町でいちばんの
愛することばが流れてしまって
....
{引用=映写機の音がする}
彼は 人のいない小さな劇場の
古く湿った 客席に座り
白くぼぉっと光るスクリーンを見つめる
{引用=ただ、かたかたと廻 ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
さげすらん・ぺぐ(梅の木の下)
く・くつぐ・くどぅ(月夜の晩に)
めぎ、めぎ・ふ・らむ・れすとりし(おとめ、おとめが蝶になる)
ばすで・を・きぬく・ふあまれれ(ヴィオロン男が爪弾けば ....
常なるは
惶恍たる黛樹の双想
疾瞑せし
悦炎蒼々と
其三十二ヶ月を
覺すれば
翳曄の濡帶に
灼瀞の盃を秘し
真澄の心慈す
唯楽唯楽
故日忍び
傷心の碧惣
堪 ....
いまは更地になっている
高校の前から自転車で少しいったところの
あの荒廃した土地には
昔ジャスコが建っていた
しみったれた汚い店だったが
中にはフードコートもスーパーも
一応あ ....
細胞すべてが気づいてしまって
指の先から砂になる
寒さの合間で魚を逃がすと
私の鬼が ホウ と鳴く
息をするのは喉でない
呼吸をするのは肺でない
青い一つが ....
1.永遠の序章
(総論)
一人の少女が白い股から、鮮血を流してゆく、
夕暮れに、
今日も一つの真珠を、老女は丁寧に外してゆく。
それは来るべき季節への練習として、
周到に用意されて ....
水曜日
僕は喫茶店のテーブルに座って
哲学者のように沈黙していた
ミミ子に別れを告げられたのは
先週のことだった
ミミ子は犬が好きだった
犬を飼うのでイサオとは別れる
....
わたし、総理大臣のあくびについて観想を述べたいの。あくびの尖端はからっからに観想してますね。あくびはフルマラソンを観想できそうですね。あくびにはどんな観想曲が似合うかしら。
わたし、川に記録され ....
「月の光の成分をリバースエンジニアリングすることを禁ず。瓶詰めもまたこれを禁ず。ジャムにすることはもっともこれを禁ず」
夜をシミュレートしたいというのはすべての徹夜の願いではないでしょうか。で ....
ふれていたいと思った
あなたの熱、ふくれあがる言葉、イメージ
あなたの脳細胞がつむぎだした、あなたのこたえ
こたえになるまえの言葉たち
氾濫してゆくのが好きなの。
....
なんて朝だ
頭が取れて落ちそうだ
二日酔いの後じゃ
はらわたえぐられた青魚のように
水面に浮かんで
早く消えてしまうことを
望むばかりだ
パ ....
手と、手が
触れて
砂埃でかすれ切ったあらゆる地面が
夕刻へ
厳しげに交錯するあらゆる細枝が
夕刻へ
落書きごと枯れているベンチのあらゆる褐色が
夕刻へ
夕刻へ、と
....
セミの抜け殻を
たくさん集めて帰った
何となく
母にほめてもらえる気がした
母はパズルのピースが足りない
と探していた
父は受話器を握り
そこをなんとかお願いします
そう繰り返 ....
ロシータっていうおばあちゃんは
サンホアンで一番年取ってて
猫にやさしくて
工房の隣の彼女の家には
いつも猫がたくさんいて
使い物にならないボートが
とまっている
....
錯綜している視神経の
からまりあった編み目の間に
ちいさい魚が
かかっている
つめたいつめで
そっとつまんで
涙腺の中へ
放してやろう
水草があれば尚いいが
涙腺の底には
....
夜の雨の
斜線、斜線、斜線、
*
秋の真昼の真下
やわらかい一続きのわたしの輪郭は
ある一続きの輪郭の生きていることを
やわらかく深く知ってしまった、そして ....
1
ホームの後ろに錆びた茶色の線路があります。
線路の枕木は腐りかけ、
雑草が点々と生えています。
線路は使われなくなってどれくらいがたつのでしょう。
わたしは線路に耳を当て ....
怖かったんだろうね
風が死んでたりしたろうから
ビルヂングが アロガントに まばたきもせずに
夜空を おまえを 無視したりしてたろうから
今日 ....
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