嵐の夜
白と黒の町
{ルビ礫=つぶて}のなかの
廃屋をめぐるまわり道


螺旋階段に立つ人々
雨のなかの天使を見下ろしている
瞳から瞳へ落ちてゆく滴
水彩の ....
ある日見た空に
飛行機雲が白くひかれていて
それが矢印のように思えました

きっとそんなところにもきっかけはあって
感じたままを力の向きに
見上げるその
角度にも
だから


  ....
ぞくぞくするものだから
風邪をひいたように思ったのだけれど
なんだ
背中に離婚届が貼り付いていたのか
ついでだから
その上から婚姻届も貼ってしまおう
少し温かくなるかもしれない

それ ....
雨のなかの長い影から
無数の別れの手が振られる
雨のなかの長い鏡が
雨を映して立ちつくし
幽霊のようにかがやいている


川を歩み 立ちどまり
水紋を見つめつづける光が
 ....
待ち合わせに遅れそうな時
メールひとつで済ませてしまう
嘘っぱちの言い訳も
おたがいの顔が見えないから
罪の意識を感じずに誤魔化せる


どこへ行ったか
寂しがり屋の待ちぼうけ

 ....
{引用=光に向かい その光で自分たちの闇を照らす
   私たちの音楽だ すべては私たちの音楽だ
               by JEAN-LUC-GODARD『NOTREMUSIQUE』}
 ....
     天気雨を見つめる瞳の

     涙はとどく

     空の王座に
父に宛てて


父からの京都土産の{ルビ簪=かんざし}をさすこともなく歳を重ねて

破天荒。こんな娘に誰がした?苦笑しつつも宝だという

「もし人を殴るとしたら親指は内に握るな折れたら困 ....
夜闇の波に揺れて
わたしの海は広さをなくす


いったい何が不安なのかと
ひとつひとつ問いかけてくる波に
ひとつも答えることもなく


わたしはひとり揺れている


「あ」から ....
風のむせび泣く
夜のはしっこの
ほんの隙間に
こぢんまりと
丸くなって
眠ってしまえ

水銀の上下する
オブジェを見て
ころころと
声をたてて
笑えばいい

とじた
 ....
ほうほうと
夜を捜す声がする
ほう 一羽飛び
ほう 一羽飛び
またひとつ木は居なくなる
雨のなか
しっかりと手を握る子ら
緑の闇に
飛び去る羽音を見つめている


 ....
    数十枚もの翼を持った
    金色の生きもののことを考えるたびに
    自分の内から眠りが消えてゆく
    そしてそのあとに必ず
    奇妙な痛みがやって ....
足先の温みが一つ消える こんな夜は

君が 遠い目をするものだから 


私は 少し寂しくて

シャリ シャリ シャリと 梨を剥く


窓辺にもたれて 膿む月を

仰いで君は  ....
冷たい砂浜に、誰か
体で泣いている


空生まれの灰が沈んできて
波へ死んできて
折り畳まれてゆく、その灰の
海はノイズだ


今は、眼を閉じて
耳だけの ....
みず色の空に 浮かんだ
白い月

明けたばかりの朝
洗濯物を 干す

厚着をして でた外は
首もとから 冷えていく

夜を終えた 世界に
濡れた 竿から 雫が 落ちる

寒 ....
秋に
葉と葉が
まだ生き合っている
その音が、して
その影と影が、あって
その匂いまでが、生じていて


生じては離れてしまうそれらが
見つめ合っていると ....
夜の更ける頃
君の身体から
今までに聞いたことの無いような
音が聞こえてきた
安らかに君は君の中で
溺れているのかもしれなかった

+

縄跳びの回数を
数え間違えて
少女はずっ ....
学芸会でぼくは
ぼくのお母さんを演じた。
ぼくの演じたお母さんは絶賛された。

でっぷり太っているが清潔である。
石鹸の匂いはしないが朝ごはんの匂いがする。
ぼくの間違えた答案を間違え方が ....
りりるらら春に聴いてたメロディを小声で歌う秋空のした

過ぎ去りし振り返らない思い出の顔を忘れたことに気づいた

キッチンの隅で出番を待つ土鍋 吐く息白く浮かぶ冬まで

冷えてゆくほど澄ん ....
   
   冬の空に
   オリオンが南中する頃
   ベテルギウスは涙を零して
   名前が呼ばれるのを待っている


   冬の空の、暗い、
   まるで何も存在しないかのように ....
    ライラックの関節
    樹脂の花
    石鹸の羽
    咲き誇る



    手も足も
    沼のもの
    たたきつけられる煙


  ....
こっちは雨だよ
と、すこし憂欝そうな声
じゃあ明日はこっちも雨ね
と、窓から空を見上げる

それくらいの距離

おやすみ
と、ささやく声を
耳をくす ....
冬が来る予感してきたこの時期は年中行事か熱をだす吾

“この風邪が君に{ルビ感染=うつ}りませんように”お願いだからはやく帰って

突っ伏して私にすがり眠る君よくあるドラマのワンシーンだね
 ....
どうして夜遅くになると、街灯に
目を奪われたりするんだろう―

都市、男が細い路地からアパートに向かって
詩を暗唱している場面に出くわした。
  溝川の底がくっきりと見えたような、
しかも ....
いつになく無口な君の髪を梳く祈る言葉も思いつかずに ちぐはぐなまま
外より
ガラスばかりみて

自分の眼すら
写ってないんだ

だらしないと
陰で言われるよりも

だらり としている
時間が いらつく
なのに 

しかけに  ....
薄闇にとけてながれる君の名は幾度なぞれど逃れるばかり 化石を拾う
改札口は静かで
足跡ばかりが通り過ぎていく
ぼくはそこで案山子になっている

へのへのもへじ
通り過ぎてく人に
顔は何気にそう書かれてしまったけれど
何か無限のようなかなし ....
彼らのこの一瞬は 灯火は
わたしたちの何年分なのだろうなど
小難しいことは皆かんがえるふり


わたしはわたしで
手をはなさぬよう 
刹那を噛み締めるよう
必死でした



ひ ....
    左目の下に
    はばたきがある
    つねに つねに
    はばたいている
ルナクさんのおすすめリスト(4684)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
円原視座- 木立 悟自由詩1005-10-26
飛行機雲は消えても- ベンジャ ...自由詩10*05-10-26
風邪流行ってます- tonpekep自由詩28*05-10-25
花と源- 木立 悟自由詩305-10-25
待ちぼうけ- 恋月 ぴ ...自由詩30+*05-10-25
NOTREMUSIQUE- 本木はじ ...短歌1405-10-25
ノート(37Y.9・10)- 木立 悟未詩・独白205-10-24
家族歌- 一代 歩短歌8*05-10-24
夜闇の波- ベンジャ ...自由詩11+*05-10-24
追憶- 落合朱美自由詩9*05-10-23
銀に_緑に- 木立 悟自由詩805-10-23
ノート(31Y・11.23)- 木立 悟未詩・独白505-10-23
なし- しらいし ...自由詩15*05-10-23
架空のかもめ- A道化自由詩1405-10-23
ほされた_かご- 砂木自由詩9*05-10-23
アンサンブルの証明- A道化自由詩1005-10-23
小詩集「書置き」(八十一〜九十)- たもつ自由詩2105-10-23
お母さんのモンブラン- ZUZU自由詩705-10-23
秋7首- 一代 歩短歌6*05-10-22
十一月のオリオン- 嘉野千尋自由詩21*05-10-22
ノート(32Y・1.12)- 木立 悟未詩・独白405-10-22
距離- 落合朱美自由詩12*05-10-22
37.8℃- 一代 歩短歌6*05-10-22
すこやかな夜- プテラノ ...自由詩3*05-10-21
てのひら- 和歌こゆ ...短歌4*05-10-21
かぞえるなみ- 砂木自由詩8+*05-10-21
午前五時- 和歌こゆ ...短歌3*05-10-21
本を読んだ後に入り込んだ一瞬- tonpekep自由詩14*05-10-21
ほたる狩り- コトリ自由詩10*05-10-21
ノート(37Y・8.24)- 木立 悟未詩・独白305-10-21

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