苦しみと悲しみふたつ慣れすぎて触れるときまであなたを知らず
骨と骨あたらぬようにかたち変え心と肉の汗ばむ出会い
苦しみとよろこび混じるあなた ....
誰かが歩いたその道は
とても綺麗で心地よく
一つ一つが細やかな
心を配る安らぎに
できればじっと止まりたい
誰かが歩いたその道が
通行止めと閉じられる
一人一人が大切な
心の中の入 ....
白く湧き出る夜霧が彩色の光度を埋める、
途切れた余白だけが、
寂しく横たわり、わたしを乗せている。
染め急ぐ硬いみちが流れるなかで、
滑るように乳白の色をやわらかく溶かして、
わたしは、あた ....
、、、、、、、、、、、、、世界が半分で折りたたんで悲しんでいる
、、、、、、、、、、、、、悲しみのはじまりははじまりはおわり
、、、、、、、、、、、、、涙を流すほどの悲しみはない
....
暮れた空の上に
団子がお着替え
始まりを告げる
ぺったん とったん
きづちで打つ頬のかけらが
月明かりに照らされて
くっつくのは
雲の切れ端と少女であり
のぞく合間から差す
....
街 山 海
陽炎の街
輝く緑の山
エメラルドグリーンの海
真夏の真っ只中に置き去り
後ろのポケットから夢が零れ落ちる
開けた空に飛行機雲
空に国境がで ....
浜辺に群がる人波が
ひとしきりうねって退いたあと
待ち兼ねていたように
波音は膨らみ
熱を孕んだ砂の足跡も風に消されて
浜は打ち上げられた藻屑の褥(しとね)になる
風が
湿り始め ....
自転車の私と
白い軽自動車の先生が会ったのは
広い水田の中の十字路
偶然にもかごには
できてきたばかりの詩集
それはコピー誌で手作りで
でも 作品を集めてお金をだしあって
イラストを ....
偽物のような朝日に照らされてスローモーションで抜けおちる髪
みずたちは迷路に惑わず進みゆく辿りつくもの溢れでるもの
窓越しに電線のたるむ一点を凝視する裸婦をデッサンするきみ
....
生きるものにとって
その生の躍動が大きく羽ばたく頃
森の中にそっと足を踏み入れる
静かな朝
光が遮られた場所には
シダの葉が青々と続き
時よりの木漏れ日は
地面の土を黒々と照らす
....
まどろんだまま
深く吸った息で
体中に雨が透る
窓辺においた手紙が
濡れているのは雨のせい
滲んだ青いインクの
消えかけた名前を呼んで
雨の一粒一粒が
体の中で弾ける
ソ ....
暑い日だ
こんな日は
私にパラソルの女が
寄つて来る
女が来ると
私もパラソルの陰につつまれる
―日盛りに
ぼんやり立つてゐると
日射病になるわよ―
....
夜よ深まれ
闇はもっともっと深くまで
暗く、黒く
私の胸に小さな灯り
ゆるりとめぐる闇となり
深く、深く
包み込む暖かさや
優しさなどいらない
そんなものはいらない
ほし ....
マスカット ブルー レモン
suisuiおよぐ
シアン マゼンタ イエロゥ
{引用=
....
{ルビ御月様=おんつきさま}が
どれほど 偉大か、
気が付いたのは
絶望の重みに
耐えられなく
なった 夜道
十字路にある
自動販売機の
灯 だけが
ユメを見せてくれた
夜
そ ....
買い手のつかぬまま
何年か空き地だったお隣に
店舗兼アパートが建った
店舗といっても
コインランドリーのせいか
雨の日以外は閑散としている
アパートもまだ空いたままで
梅雨明けのあとは
....
嵐の去った夏の空は
純粋な空が広がり
地上には青い風が流れる
暑い気温でも空を見れば涼しい
雨の通った夏の道は
透明な雫が続き
地上には青い風が流れる
汗が落ちても雫を見れば清々しい ....
霧雨が運ぶは遠い音ばかり
我が水の薄さに萎える羽虫かな
触れるたび遠去かる音日々の音
ゆらぐ道ゆらぐ光の水の声
水もとめ{ルビ背=せ ....
僕らは空気を育てた
空気を育て空気と遊んだ
外を連れて歩くと
人はそれを風と呼んだ
空気は僕らを食べて育った
食べられて僕らは
その大きなお腹のようなところで
何度も生まれかわった
何 ....
人間は汚れている。身も心も。
人の世のニュースを写すテレビ画面の中で。
私の姿を映す鏡の中で。
全ての日常は、色褪せていた。
*
一人旅の道を歩いていた。
信濃追分の風 ....
一.
なんだかね
スーパーに行ったんだ
この街は夏でも冷房とかあんまり無くて
でもそのスーパーにはあって
涼しくて
何買うわけでもないけどね
近くの中華料理屋の中国人たちがいつもどお ....
引っ越したアパートは
薬屋の二階だった
辺りには小さな商店しかなかったが
近くに大きな川が流れていて
君の心を支えながら
よく土手を歩いた
神社には大きな桜の樹があって
薄紅の季節を ....
日焼けした かき氷屋の主人の
肩から流れ落ちる汗が
石床に着地すると
閉じ込められたアンモナイト等が
ゆっくりと 泳ぎ出す
冷たい水しぶきを追いかけ
飛び回る子犬の様子を伺いながら
....
海が仄かな火を抱いて流れる。
流れは、わたしの新しく柔らかな意匠を溶かして、
かわいた青い夏をひろげる。
みずを失くした海が流す、青い夏は、
白昼の街に横たわり、死者を語り、
練られた風 ....
水鏡の裏側からわたしは見ている
黄色い土壁と
くすんだ緑の屋根を
潅木の足元に散り落つ白薔薇を
誰かの足音は
水面に波紋を広げるのだが
雨のひと粒ほどに
まるく響きはしな ....
泥濘から足を抜く。
緩い泥は少し抵抗したが、
やがて諦めたのか、
足を放し、
ぶつぶつと何事かを呟いて、
流れていった。
辺りは何処も濡れていて、
何 ....
私はあなたから生まれたというのに
もうそんなことを忘れてしまって
自分だけの死を抱きしめていた
まるで沈むために港を離れた
あのポンコツな捕鯨船
たった一つの獲物を射るための{ルビ銛=もり} ....
「おばあちゃん元気にしていた?」
わたしの大好きなおばあちゃん
共稼ぎの両親はいつも家にいなくて
学校から走って家に帰ると
おばあちゃんが出迎えてくれて
手作りのおやつがとても美味しかった
....
「幸福」を鞄に入れて、旅に出よう。
昔日、背の高い杉木立の間を
見果てぬ明日へとまっすぐ伸びる
石畳の道
君と歩いたあの日のように
( 舞い踊る、白い蝶々を傍らに。
....
源さんは 踊る。
花見の席でも
酒の宴の席でも なく
茶会にて
正座から 一礼すると
すくっと 立ち上がり
おもむろに
踊り出す・・・
源さんは 踊りが 好いとらす
....
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