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子供の頃世界は
今より青かったとおもう
あめふり
電車に乗って目を閉じる
水の匂い
目を開けると
世界は青くて
子供に戻れる気がした。
太陽が沈み世界が透明になる頃
アルコールランプを消した
吸い出される琥珀は僕の記憶
人目を憚る様に
そっと吸い出されていく
吐き出す息は世界にあわせ
透明に消えていく
僕は酷 ....
ちゃぽんと音がするので
ふり向くと
道端にいわしが跳ねていた
どうしてこんな所で跳ねているのか
と問うて見たら
どうもこうも無い
そんな事を聞くなぞ人間も野蛮になったものだ
....
ゆっくりと足元に転げ落ちた
フォークのカランという音
君はすぐにそれを拾い上げ
照れ隠しのようにしゃべりだす
あのね、あのときね、それでね、それからね
それから、それから
君に会うたび ....
魚になって泳いでみたら
ちいさなあの子がすくってくれた
あんまり優しくするもんだから
優しくガラスにキスをした。
小鳥になってちゅんちゅんしたら
おっきなあの手で優しく抱いた
あんまり ....
明日は少し優しくなりたくて
右手に小さな飴を握り締めた
飴が溶け出して
指と指とをくっつけてしまった
僕は優しくなれるだろうか
空には小さく魚が泳いでいった
あの筋雲は何処に行くのだろ ....
あなたがその手の中に包んでいる
小さな小さな光が
私に大きな勇気をくれたから
ありがとうを伝えたいの
あなたは私の見えない物を見て
少し笑いながら手を伸ばすから
私はただ
どうしたの ....
心の中で咲いた透明な花に
蜜蜂は飛んでこない
雄しべと雌しべは
実を結ぶ事なく
ただ
静かに月夜に浮かぶ
どれだけ風が吹こうとも
どれだけ雨が降ろうとも
透明な花は決して折れない
....
ちゃぷり、と
月は青空のお風呂に浸かり
朝陽に白く霞んだ
今日も随分と
夜を照らしたものだと
そっと呟く
早く寝よう、と
いつも思っているのに
太陽と話し込んでしまう
長 ....
風は太陽を紡ぎ
優しい音で糸を張り
張り詰めた糸は
暖かな香で弾けて
{ルビ奏=かな}でる曲は優しく
そして暖かく響く
まるで生命の力を
{ルビ謳=うた}うように { ....
深いねずみ色の雲の上に
薄ネズの雲は所々に白く
さらに遠い高層雲は青く浮かぶ
月の虹は丸く
流れる雲が生き物で無いと示す
止まった呼吸がすっと吐き出され
僕はこの世に帰ってくる
....
電車を待っていると
どこからか風鈴の音が聞こえてきた
チリリン
海は楽しかったな
今年は二回も行ったっけ
チリリン
花火きれいだったな
毎年見てた場所また行けるかな
チリリ ....
遠くに見える軒先の明かりは
線香花火の様に見えました
それは小さく {ルビ朱=あか}く
瞬きをする度に{ルビ滲=にじ}んで
まるで線香花火の様でした
どこかで歌う声は{ルビ囁=ささや}き ....
透明な筆箱につめた夢は
いつも僕のポケットに入っていた
どこへでも持って行ったし
どこででも開く事が出来た
だのにいつの間に
筆箱を使わない年齢になったんだろう
気が付くと筆箱はどこに ....
透明な空にそっとストローを差し込んで
ちうっと吸ってみたらば
なんとも言えず暖かな味がして
僕は悲しくなった
空よお前はそんなにも
人恋しいのか
なんて思って
優しくなんてしてみ ....
散々泣いた夏の雲は美しくたち
もうじき夕暮れの風鈴の音色は
甘くて遠い気がして
少し懐かしい思い出は記憶からこぼれだし
涙色の青空に蝉の賑わいは
必ずしも必要ないのかも知れない
狂 ....
明け方の空は曇っているのに
あんまりにも透明なもので
まるで海の底のように感じました。
少し泳いでいくと
灰色の話を詰めて
銀色の魚が泳いでいくので
おはようと声をかけましたら
とて ....
白いドレスが綺麗でしょう
淡い世界に霞まない様に
紫陽花色の傘を咲かせて
君が笑うものですから
僕は蝸牛の様に煮え切らない速さで
ゆっくりと世界の湿度の中に溶け込んで
綺麗だなぁなどと ....
少しだけ遠い国のお話に
泣いた女という話が有りまして
それはどんな話しかと言いますと
詳しくは知らないのですが
タイトルが気になったので
そのうち読むかもしれませんが
きっと明るい話ではな ....
酔っ払ったみたいに踊る僕の手に
気が付いたら君の手があった
変な言い方だけどそんな感じ
おでこをくっつけて微笑みあった二人が
そのまま見つめあって
溶け出していく夏の夜の匂い
細波 ....
じいちゃんが夕涼みしてる
静かに 静かに 黙って 黙って
ぼんやりと煙草を吸いながら
縁側の無くなった都会の隅で
ガードレールに座って
車道を眺めながら
時折道端の排水溝辺りから
....
ピアニカみたいな切ない言葉を
水遊びの様にきらきらと紡ぎ
気ままに踊るダンスみたいに
つかみ所のない夢を本気で追いかけ
無邪気に笑って泣く貴方が住んでいるのは
とても貧しい小さな家でした。
....
誰も知らない顔をして
通り過ぎていく君の強さ
夏の制服の薄いシャツから伝わる
淡い匂い 淡い声 淡い想い
すべてが溶け込んだような
プールの塩素の匂い
もう過ぎてしまった七夕は ....
うち雨の日好っきゃねん
なんでなんでなん
だってな傘忘れたらおんなじ傘でくっつけるやん
あほな事ゆうてやんと傘持ってきなさい
ちぇっいけずやわぁ
すっきゃからええねん
....
雨にかすんだ街を見ながら
少し寂しくなったので
あなたの言葉を思い出しました。
水溜りの中に
小さな小さな雨色の町があって
その町では
どんな事でも虹色に綺麗なんだ
あなたはどん ....
薄青色の透明な空に
白い大きな鯨の尻尾
鯨は自由で気まぐれだから
日が昇りきる頃にはもう
どこかの国に泳いで行くんだ
でも優しい鯨のことだから
また会いに来てくれるだろう
僕の吐いた煙を ....
雪に埋もれた世界の中で
かすかに聞こえる水の音
「あれは世界の消える音」
そういう君は光の子
雪に埋もれる世界の中で
かすかに凍える人の音
「あれは世界の消える音 ....
雨音流れる窓辺には
おんもをじっと眺めてる
ぼうやの姿がいとおしく
ガラスの世界が閉じ込めた
人の想いが美しく。
雨音流れる窓辺には
涙のように帰らない
....
今日は楽しかったね
そういって振り返ると
君は改札の外
静かに手をふって
さようなら