暖かい話
プル式

ピアニカみたいな切ない言葉を
水遊びの様にきらきらと紡ぎ
気ままに踊るダンスみたいに
つかみ所のない夢を本気で追いかけ
無邪気に笑って泣く貴方が住んでいるのは
とても貧しい小さな家でした。

ゆっくり歩いて足元を眺めて
足早に過ぎる季節にため息をつき
歌声の様にきれいな言葉で
月明かりに浮かぶ虹の話をつぶやき
泣きそうな顔で大好きだよと言ったのは
優しい眼差しで抱きしめる貴女でした。

静かな町の真ん中で花の帽子を
囁きかける様にそっと拾い集め
春先の日向ぼっこみたいに
柔らかく暖かな気持ちで氷を溶かし
ひび割れた大地に水を撒いてくれたのは
小さな小さな紅葉を伸ばす幼い君でした。

世界は少しだけ傾き
日は沈み夜がきます
暖かな家族のお話は
また別の機会にでも
世界はもう薄暗くて
暖かな話には
寒すぎますから。


自由詩 暖かい話 Copyright プル式 2006-06-30 04:13:05
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