月は彼方に
プル式

心の中で咲いた透明な花に
蜜蜂は飛んでこない
雄しべと雌しべは
実を結ぶ事なく
ただ
静かに月夜に浮かぶ

どれだけ風が吹こうとも
どれだけ雨が降ろうとも
透明な花は決して折れない
ただ
心が折れるまでは
だけれども

折れた花はまた
新しいつぼみをつけ
新しい花を咲かせる
ただ
その影は少し薄く
秋のように淡い

幾度花が折れたのだろう
いつの間にかそれは
影すら見せず
ただ
冬の曇り空の様に
冷たく凍てついてしまった

蜜蜂はもう
姿さえ見せず
雨も
風も
無く
月は
消えた

透明な花には
蜜蜂は飛んでこない
雄しべと
雌しべは
ただ
実る事のない
その実を想う


自由詩 月は彼方に Copyright プル式 2006-12-09 11:35:24
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