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フラッシュバックのまま
季節を渡れるなら

あなたとの待ち合わせに
ふるえた

あの駅前広場に
あの頃
夏は飛沫だった

太陽の光も
プールの水しぶきも
弾けるサイダーも

無意味に思えるほど眩しく輝く飛沫だった

バスに乗って
あの頃に帰ろう

せめて

記憶を辿っ ....
三十年前
嫁入り道具として
持ってきた物の中で
二番目に
大切な物たち
誰かの置いた                                                                  
みちしるべ
傾くピアノの黄昏に
透明なオレンジの
一滴が
空に
しみてゆく


そうして
トタン屋根の宇宙では
魚たちが
泳ぎはじめるのだ





どうか
明日も小鳥たちが
 ....
{引用=

『たん純にさ、

 考えすぎなのかもよ。

 しん呼きゅうしてさ、

 だれかのうでに甘えてみるのも、

 たまにはいいんじゃないの?


 あんがい近いところに ....
海に還る
手続きはいらない

横たわり
網膜を青で満たしたら
循環する感情を
濾過する

やがて
余分な手足は
抜け落ちて
流線型になる

心配するな
そのころには
陸な ....
{引用=
いいえ、あれは太陽ではなく
古びたシャンデリアの明かり


起立、
今日という善き日から逃げ出して
梟の首を廻す
大海原ではマストが立ち始め
皆が合図を待っている
黒い波 ....
タイトル通りですかね。 いまだ冬の
凍える朝にも
こぼれる陽光の一筋に
穏やかなる日和を思い
目を細める

匂い召しませ
息つく春を
月がでているよ
青と夜の間にいるんだよ
赤は明日のじゅんび
巡るように運ぶじゅんび
そんな目でみるなよ

おいしく食べるからさ
新年
水槽に光の文字が泳ぐ
声に反応して
ランダムに現れるそれらを
熱心に掬う子どもたち
たまに
とてつもなく大きな言葉が
揺れているとも知らずに
こんなにも明るい空
なのに、とどかない

貼り付けの咎人なら
執行される二本の槍

私の枷を知っている
私の枷は知っている
あなたの寂しさ
あなたの強さ

洗濯物がまわっている
終わりを告げる声は無く
始まりを告げる声も無い

泣くのは
人だけではないだろうに

それでも再び
巡りくると疑わず
走れるさ
雪の重みに挫いても
蕗の塔の芽を食べて

君の影は
今宵も
心の奥深くに染みを創る

けれど

足元に絡む挫折や
喉元で唸る鳴咽も
蹴散らして、いける

あぁ
 ....
その指先から
放たれた熱に
目眩して
浮遊する

私もまた
ひとつの
季節なのだと

いずれは
白く
凍ってしまう

冬枯れの木のように
電車を待っていると
どこからか風鈴の音が聞こえてきた

チリリン
海は楽しかったな
今年は二回も行ったっけ

チリリン
花火きれいだったな
毎年見てた場所また行けるかな

チリリ ....
なだらかな野辺に{ルビ錨=いかり}をおろせば
緑色の秋がふりそそぐ

やわらかな雲の群れを辿れば
まぶたは風にまどろむ

じっとしていなければ
追いつけない季節

木漏れ日を新呼吸し ....
ほうらご覧よ
あんなに見事な

ゆるりゆるりと
銀の鱗を光らせて
水面に映る魚のよう

ゆるりゆるりと
眺めていたら
水の底から
見上げてるのは
こちらのほう

銀の鱗の魚に ....
ごめん
あと五分だけ。。
なんてセリフ
想像したこともないよね

君の寝顔
無敵の寝顔
ねこになったきみとぼく

木漏れ日ゆれる

ねむの木の下で

二匹ころんと横になる



長い尻尾が自慢の

きみはしましまトラ猫で

大きな耳が自慢の

ぼくは三色三毛猫で

仲良く顔を並べて

昼 ....
夏を飛び越えてゆく
あの雲を焼く

それは炎ではなく
蝉の声だったりするのだ

蝉よ焼き尽せ
雲を鳴き尽せ
青々と
広がる蓮葉には
明け方の雨の
ひとつぶ、ふたつぶ
みつぶ、よつぶが
それは見事な玉を作り
ころころと
風にゆれながら
まるで生まれたての
宝石のよう

真っすぐのびた
 ....
この花に


この色に


何度 なぐさめられただろう
僕らはまだ幼かったので
瞼を閉じれば それで良かった

やたら暑かった夏に 背中で別れを告げ
昨日と明日の狭間で 浅い夢をみるまで

蚊取り線香が目に染みて
瞼を閉じれば 全てが無だった
ひとやすみ はながみまもる 僕たち
頼りなくも
この小さな灯りで
明日の方向くらいわかる
いつだって
踏み出す一歩は
小さなものでしかない

続く指針が
結果的に幅を描いて

そっと広がる
ランドスケープ
透明は恐ろしい
隠すことを拒むから

透明はずるい
隠さないふりをして
その深みに秘密

透明が重なってできた
その暗闇に
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