街には詩人が溢れているらしい。
嘘だろ。
誰かの幻想がまことしやかに伝わった
だけだろう。
昔から、詩人は孤独と日陰を好むと聞いて
いた。
だから、例えばあのスクランブル交差点の
人 ....
なんでこんな日に
みんなイライラして
私もイライラして
それなのにbirthday
それが一番イライラする
せめてbirthdayじゃなかったら
こんなにも私はイライラしないで済んだはずな ....
ひとはみな
生きている
このいっしゅんを
生きている
けんめいに生きているから
ときどき
つかれてしまうけど
つかれたらいっかいやすも
いっしょにね
ひとはみな
おなじ ....
触れる
あなたと手が触れる
コレクションを手渡した
ほんの 一瞬
....
コンビニの袋をちりちりいわせながら歩いていた
夜風のなかに小便のような匂いがした
あたりを見回すとその匂いはツツジの群生からこぼれていた
それは甘くて涼しいヨシミの匂いにも似ていた
連休ユ ....
月が綺麗ね
あなた
三日月であろうと
半月であろうと
喩えば新月でも
夜空見上げて
語りかける
まるであなたが
横にいるかのように
月が綺麗ね
あなた
雲に隠 ....
きみんとこ、自動倉庫できるんだ、
ようやく工事物件の話をひとつ掴んだ
いまある自動倉庫を移設したいんだけど、きみやってみる、と現場のコガネイ係長が声をかけてくれたのだった
カタヤマの言い ....
人が人を求める理由は
人が人を食べないからだ
人は本当は人のことを
食べたくて 食べたくてたまらないのに
食べてはいけない決まりになったから
それ以来 人を求めることをやめられない
....
いっこの点
ぐいるぐいる
切断面
にぃぃつやと
喉仏を動かして
ありったけを
跨ぐ
道と道が交差する
信号機は
滑舌よく
大人たちは
お囃子に合わせて
黒い眼を回しだす
....
発光し続けて
磨耗するフィラメントの
舌打ちみたいな最期の音
疲れた寝床で
その音が何度も弾けた
落ちようとする
意識に
電流を流して起こすみたいに
じ ....
おばあちゃんの手は
ごつごつしてるしきたない
でも働きものの手だ
今だって仕事を忘れてない
くるくると
はきはきと
わたしのことを誰か知らない人の名前で呼ぶけれど
働きものの手は
....
みあげると
よぞらである
ほしひとつない
わたしのひふの
うちがわである
こどくがつづく
さばくをあるきつづける
わたしである
こえがとどく
あなたのよぞ ....
「何のために産まれて
何のために生きているのか、
わからない。」
母に言われて悲しかった。
「でも、私もおんなじだよ」
そう母に言ったら、
母も悲しいみたいだった。
埃まみれになって汚くなった薔薇に
陽の光がきらきらあたってきれいだね
スーパーでオレンジを買う。みずみずしいオレンジを手でほぐして、きれいにわって
あかるい、オレンジの
スロー ....
本当に死者がおばけになるのなら君はアダムになるしかないね
アッパーな曲でノってるあの娘から流れる涙の味が知りたい
みんないなくなればいいって二億年ほんとにいなくなって豪遊
....
虻が一匹
蛍光灯に
絡みつく
飛び回る
明滅する光に
狂乱しているのか
落ち着くことなく
重くなったり
軽くなったり
僕の周りの重力は
気まぐれに変わる
差し伸べられた眠りに ....
終わるくらいなら
あのこであった、あったあのこじゃない
あなたを貸して
あなたが作ったんだ、揺れてる私
風がくるよ、音が漏れるよ、窓を全部閉めて
私の妹はどこだ
こ ....
高架線の流れに押し戻されつつもドア際へ体を寄せれば
やがて天井桟敷の建物が左手に顕れる
夜勤明けの尻ポケットには馬券の束
そして耳に挟んだ赤鉛筆
「穴場に手を突っ込んだ勝負馬券は当然に ....
ぼくの心は
ひびの入った鏡
決して
正しく映らない
ぼくの気持ちは
バラのトゲ
ささくれがひどくて
誰も触れることが出来ない
前頭葉で警報が鳴る
ぼくは素早く武装 ....
ひだまりに さらされてゆく くちびると 動けずにいる ぼくの両足
雨上がり空を見上げる雨蛙 もっと降れよと月が綺麗と
やわらかな 日溜まり風は 暖かく 花はほころび うぐいすの声
{引用=
一年と半年住んでいる七畳の部屋から
331歩
その角を曲がる瞬間にはいつだって
轢かれることを夢みてる
交わることのない飛行機雲
沈丁花の押しつけがましい匂い
片耳 ....
「風が少し冷たいね」と笑いかけると
まだ早かったんだとふてくされた声
まあまあ、って君のポケットに忍び込む
合わせなくても同じ歩調と
規則正しい腕時計
まだ寝なくても良いの?と、
いたずら ....
友人のパペットは詩人です。
有能な助手である腹話術師は、実はシャーマンです。
もちろん彼は左利き。
そして真白いシーツの手術台にいつも乗せられて
セルロイドの顎をカタカタ鳴らして話しているのが ....
コオロギの 濁点のような生涯
悲しい肉色の
西洋ツツジを切らさずに
昏々昏々 赤子と眠る
お日様が
頬を撫でる
午後一時
隣の庭先に咲く
梅の花がほころび
花の裡に蜂がとまる
虫たちのざわめきが
夏に実を結ぶ
黙々と続けられてきた営みに
僕は言葉を失い
ただ注視すること ....
彼が祈ったのは、眩しさに無感が押し潰された日。
厳しく繋がれた巨大な孤独はついに皮膚を突き破る
茫然自失。しかし吸い込まれるほど鋭利で
歓喜にも似た覚醒感に両の拳が打ち震え、加速していく鮮烈は反 ....
なごり雪、春を待てずに十八で溶けたあなたのように儚い
空に墨を塗ったら
穴に住んでる鳥が鳴いた
「病気はどこにでもある
赤い熱は誰もが持ってる
だから苦しまなくていい」
やさしい言葉をかけたいけど
フェルト生地ばかり重ねて
尖った万 ....
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