抜き打ちに
昼が訪れて
僕は
誰にともなく
やあどうもというが
答えは空っぽの家に
自転車のブレーキの音が
キュウキー響くだけで
僕はためいきをひとつついた
昼はおとなしくしてい ....
時の住まう所は どこですか
チクタクと
なぜ 音がするのですか
暗くなれない地の中で
目覚めていない
ただ ひたすらなもの
天を知らなくても
地上を知らなくても
風を知らな ....
気配を感じて
虫の音が止む
一瞬
あなたが
嘘をつく前の
静寂に少し
似てる
(黙れ黙れ)
通り過ぎた茂みから
虫の音はまた響く
(疑念のように)
夜は
み ....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる
アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
ふっ、
ふっ、と、
ふれてゆく。
静かすぎる夜に、
綿毛の意志を運んでゆく。
日にさらされて、
火にあぶられて、
またもやさえぎられて、油っぽい焦りだ。
ふう。
....
反すうする
ある種の
草食動物は
記憶をいつも
もぐもぐ やってる
本人は
けっこう やめたいのだが
回りからは
案外
幸せに見えるらしい
あく ....
わたしの中に森が生まれたとき
その枝は音もなく広げられた
指先から胸へと続く水脈に
細く流れてゆく愛と
時おり流れを乱す悲しみ
わたしを立ち止まら ....
降り立った駅のホームには
潮の匂いの風が吹いていた
タクシー乗り場では
タオルを首に巻いた運転手が
ワイシャツには不釣り合いなほど
日焼けした顔で機嫌よくドアを開けた
エア ....
お言葉に甘えて
詩なんてもの書いてるのがなんとなく嫌なになって
そのまえに
詩なんてだいそれたもの
書けなくて眺めてるだけで
詩らしいものにも
めぐり合わない
自分の位置確かめて
リア ....
もう着古した服みたい
わたしのからだ
アイロンかけたり
クリーニングに出したりして
どうにか綻びを繕って
お出かけに着ていくの
どこへ行くにも
着ていくの
サプリメント
ダイエット
....
どこまでも青い空を
久しぶり見た
アスファルト
国道のずっとずっと先の
向こう
遠いむかしの空が現れる
プールで
肌を焼くのが夏休みだった
甲羅干し
白い肌で黒髪のお姉さんは
....
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
八月
がくる。別れの季節
を知らないままに。
二度と醒めない夢
を夢見ながら、二度と終わらないおはなし
のまんなかにいる。
失われたひと
によってうたわれた歌
を、誰
にも知られない ....
ところで
夕暮れはもう間近に迫り
みんな精一杯に迷っているので
その足元を照らす明かりも
その足で踏みしめているものも
記憶は近さも見せないくらいに
空で燻るものだから
こうやって今日も ....
とても
普通の家庭の
冷蔵庫とは思えない
からっぽなのである
けして
キレイなのでもない
玉葱の皮が底にある
これがわたしと
言われたなら
納得する
夫 ....
出会いがしらに、
さようならっていい言葉やね
とあなたは云った
空は低く銀杏の木だけが一本高く見える
出会いがしらにいってくれて助けられた気がして
知り合いへの手紙を破った、日
【カントウタンポポ(Taraxacum platycarpum Dahlst.)】
タンポポという名前はどこから来たのでしょう?
漢名の「蒲公英」の別名に「孛々丁菜」というのがあって、それ ....
カナカナが
鳴いていた
紅の夕日が沈むのさえ
浸れない私だった
いつの間にか
蚊に刺されていて
皴の多い手は
なかなか美しくなれないでいる
自分だけを愛していた頃は
....
海岸を歩きたい。
サンダルを引きずって。
花を育てたい。
誰にもないしょで。
野菜ジュースが飲みたい。
もろもろモロヘイヤの。
ペットボトルの中の
気味の悪い色をした液体が
....
カルミア、明日は咲くか
と、思うと明日が待ち遠しい
そんな日々を重ねてきたが
カルミア、いよいよ明日咲くか
と、思うと
咲けば後は散るだけだから
もう散ってしまうだけだから
でもやっぱり ....
元気なら
誰も私を知らないところへ行って
責任のない人になる
弱っているときは
スローでやさしくなる
一つの単語も
急がない
いけないのは
焦り
....
コン コン コン
の音だけを
ずっとずっと待ちわびて
どのくらいたったのか
否定すらしてる
人を
愛することを諦めないには
何を信じれればいいのですか ....
本当は、こんな文章を書くべきではないのかもしれない。ましてやそれを発表するなどということは、絶対にしてはいけないことなのかもしれない。だが、時には書かなければいられないこともあるし、書かなければなら ....
楽しいショーの始まりだ!と言いながら僕らは産まれてきたはずだ
僕に名前が無かったころ、魂は行き先を欲してなかった
たくさんの人、たくさんの名前、溺れそうになって君の名を呼ぶ ....
ひるがえる
水の分子
玉となって
雨となって
降りそそぐ
鳥でさえも
ひるがえる
水の玉に
水のために
ひるがえり
ゆっくりと落ちてくる
空を見る
地に視線を落とす
ひる ....
「天動説の子ども」 ロボウティー
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=32950
この詩を読んで感じる苛立ちはなんだろうかと考えた。初めは何故 ....
こしていく 冷えた息
向こう側に 滑りゆく
私じゃない 私の行方
持ち出せない 鍵の開く音
隠している荷 炉に 並べ
燃え尽きて 透けてる 私
まだ変われるなら どうか
....
ポケットにミルキー
ポケットがあるしあわせ
だれも
そんなことには気づかない
不憫
誰かと繋がりを強くするために
小さな陰口を言う
巻き込んで ....
一歩一歩 咳こむ足で
わたしがどこまでも歩くので
夜はどこまでも感染し
朝には誰もいなくなる
朝には誰も
いなくなる
みんな歩いて いなくなる
歩きつづけて いなくな ....
ともすれば不思議な
雨だったけど
顔には暖かい斜陽を感じる
季節はずれの
天気雨がうっとりとして
雨の原石は記憶の中で
わずかにしっとりとしている
吐息よりも小さな音をたてて筒抜 ....
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