今日も空は青かった
にこりともせずただ青く
無限の沈黙のうちに
それは在った

今日も私は無力だった
宇宙の虚無に耐えかねて
あなたにあることないこと
喋っていた

今日も黄昏は優 ....
部屋の灯りを消して
薄暗い部屋で一人
蝋燭の炎の向こうを見る

私の影が部屋のあちこちで
おしゃべりをしてる
おだやかなオレンジ色の光が
部屋に充満している

窓をあけると
影 ....
なつのいちばん平なところへ
わかい鳶がよりそって
切り裂くようにとびたったなら

さんざんひかりに照らされて
得体をなくしたさびしい熱が
誰か誰かと呼んでいる

正直なものが高くと ....
光が渦巻いていた
熱風が絶えず吹いていた
人々は絶えず歩き過ぎ
俺は串カツ屋の前で
アイスコーヒーを飲んでいた
とても苦い味がした
身体が熱く飢えていた
生きることに飢えていた

す ....
一円玉の数だけキスしようよ。
豚の貯金箱、叩き割っちゃおうよ。
いい臭いがする。
もぎたての臭いだ。
もいだ手も臭ってみる。
いい臭いがする。
もぎたての間、いい臭いがしている。
している間、もいだ手も臭っている。
もいだ唇をもぎりとってみる。
 ....
空があり風があり
時は世界樹をかけのぼって
あしたへとながれてゆく

だれかが小ちゃなブルースを
奏でているような気がしてでもそれは

ぼくの知らない紫の小花の群れだった

月への梯 ....
たなばたさまも終わってはやいっかげつ
あまのがわにであったわたしとあなたの
まぼろしのおうせも忘れられる季節です
ぎんがのいりぐちには夢と絶望があって
にかこくごを話せると喜んでくれたけど
 ....
あかやあ きいやあ きんいろやあ

愛を暗示されれば
とは、なんだ、とは、なんだよ おい だれか、

あつい、朱金の星が宿る
遠吠えを、したらいいわね
韻がおしまいになる前に まだいるの ....
寂れた町の
寂れた市街地には
寂れた商店が軒を並べていた

その一角
寂れた食堂には
すっかり歳をとってしまった看板娘と
厨房に立ってるその亭主が
うまくもないまずくもない
料理を売 ....
黄昏は雪の精が溶ける
爪を立てて
死んでゆく
そして水になり川になり
海になり
そして
星になる

そして
朝になる

太陽の微笑みを
遮る雲の波は
小さな白い花ビラ ....
心の罪は

どうしようもなくて

冷たい風が吹いている
そのとき失った人の名前は

この街の駅のプラットホームに
うずめておいたよ
なんといったか

どうしようもなく
 ....
小雨は
薄日を乗せて
銀の色

美しく
濡れて照り映えるのは
君のふくらはぎ

白く優しく季節に溶け

小雨は
薄日を乗せて
銀の色
夏の予感を
貪婪に膨らませ


 ....
雨が降ります
 草木濡らし
風が吹きます
 草木揺らし

)私はひねもすベッドのなか
)のっぺらぼうの死の幻覚に
)さ迷い目覚めてまたさ迷い

雨が降ります
 草木濡らし
風が吹 ....
時は昭和三十三年のプロ野球
日本シリーズ
巨人に三連敗で
絶体絶命の西鉄ライオンズ
エース稲尾和久は残りの四試合全てに登板
チームを逆転優勝に導き
翌日の新聞には
「神様・仏様・稲尾様」 ....
光溢れる夏の午後
庭の梅の木が微かに揺れて
三才の僕はその瞬間、
〈じぶんは自分なのだ〉と不意に気付いた
なにものにも替えられ得ない〃この私という存在〃
その認識が僕を稲妻のように打ったのだ ....
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵のように残り
自分が此処に居ることが
怖いくらいはっきりと浮き立つ

病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵の ....
なぜ私が現代詩というものにたいして拒否反応があったのだろうと考えるとき、長い間、私という小さな視座から見える世界が、ある意味ではとても単純な世界だったことに由来することに気づいた。

生きるか死ぬ ....
詩は言葉とは違う

詩はイメージの閃光
あるいは、
言葉に先立つ豊潤な沈黙(圧倒的な静けさ)
木霊する声の止めどもない湧出

そうして、
詩が言葉になるとき
詩は遥か彼方に遠去かって ....
どうでもいいぢやないか

それは君のくちぐせであり
ぐうぜんにも 君からきいた
さいごのことばでもあつた

ひと月まへ 一緒に飲んで
別れ際にきいた いつものせりふだ
その前に何を ....
歩け、歩け、
ひたすら前へ

母語に吃り言葉を失い
途方に暮れて立ち尽くしながら
貴女の後ろ姿を不意に見い出し

ひたすら前へ
歩く、歩く
 
木霊し続ける声の方へ

今日も巨 ....
夜中に喉が渇き
母屋の錠を外す
手探りで明かりを点け
台所の静けさに佇む

グラスの氷水を飲み干し
仮に
今が冬であると想像する
台所の静寂は冬の冷気と相まって極まり
僕の吐息は白い ....
一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く

)今は何もせずぼうとして
)うねる夏の光を夢見ながら
)美しく深まっていく世界を信じ

 ....
煙がすべて空に消えたら
ぼくの骨を拾いに来てくれ

肉はすべて
烏どもにくれてやった

ぼろぼろの骨のなかから
丈夫なものをひとつだけ拾ってくれ

それからそれを
あの女の部屋に投 ....
すこし朽ちかけたクチナシの白い花 濃い緑の葉のなかに
銀色の籠を
蜘蛛が編んでいて
そのつましいようにみえて
ほそうい ほそうい レース糸でできた瀟洒な籠のなかに
澄んだ雨粒が ころんコロン ....
兵隊蟻の隊列
ポテトチップスの欠片

吹く風、生暖かく

蹴散らせ!踏み潰せ!

整然とした生の営み
獰猛な死への傾き

僕は天を仰ぐ
二本の巨人の足となり





 ....
草原で踊りもせずに、海岸で泳ぎもせずに読書に耽る人を馬鹿にしていた、そんな夏に
好きになった少年が
寂れた展望台で静かにひらいたタイトルをひそかに探して
わたしはあまり踊らなくなって、あまり ....
{引用=
こわれた家で待っています

むかし きいたことのある
こんな声、です

「死んだ子たちはけだかいので
 星になったりしません
 晴れ空に光がみちるだけです」

(おし ....
ほら、あの窓から記憶を
覗いてごらんなさい。
風が吹いてカーテンが
まだ、朝早すぎてだれにもふれられていない ひかり を孕んで揺れている。

そこにはかつてあなたの( )があった、と、重たく ....
降り続く雨に
赤い薔薇は薮の中
凛と咲き誇り昔日の
君の面影、呼び起こす

 *

この雨のなか
はしゃぐ子らの声上がる
病棟の窓辺のやるせなさ

 *

一雨毎に色深める
 ....
印あかりさんのおすすめリスト(344)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
今日もまた、明日もまた- ひだかた ...自由詩1419-8-9
ろうそく- 丘白月自由詩319-8-9
なつのいちばん平なところ- はるな自由詩819-8-8
光の星- ひだかた ...自由詩12*19-8-5
一円玉- クーヘン自由詩2*19-8-4
もぎたて- ナンモナ ...自由詩6*19-8-4
8月のうた- 梅昆布茶自由詩1719-8-4
おにのすわるあまのがわ- 秋葉竹自由詩1019-8-3
- 田中修子自由詩719-8-3
寂れた町には- こたきひ ...自由詩219-7-27
作りたての笑い声- 秋葉竹自由詩519-7-25
ねがい、その心の扉に風が吹くなら- 秋葉竹自由詩719-7-23
面会2_夏の予感- ひだかた ...自由詩719-7-14
日曜日の幻覚- ひだかた ...自由詩719-7-14
息子への手紙- 服部 剛自由詩1019-7-13
そのとき世界は- ひだかた ...自由詩719-7-12
病院の午睡時- ひだかた ...自由詩12*19-7-10
身辺雑記と、詩について思うこと- 田中修子散文(批評 ...719-7-10
詩と言葉- ひだかた ...自由詩6*19-7-9
或る友へ- 石村自由詩31*19-7-8
walk・on_19- ひだかた ...自由詩619-7-8
台所- 両性具有自由詩419-7-7
一つの生をたずさえて- ひだかた ...自由詩8*19-7-7
葬送- 両性具有自由詩8*19-7-6
クチナシと蜘蛛- 田中修子自由詩9*19-7-6
殺意(改訂)- ひだかた ...自由詩519-7-5
馬鹿にしてた- DFW 自由詩13*19-7-4
六月の朝- 羽衣なつ ...自由詩1619-7-1
だいどころ- 田中修子自由詩9*19-7-1
入院生活2- ひだかた ...自由詩719-6-30

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