液体の膨張がぼくを支配する
そのしぶきが吹き零れようとするのを抑える
漁火のように照る女の
光るふたつのオニキス
そこに浮かぶ小さな彗星の軌跡
じりじりと焼き爛れる腰の捻り
ぼくの血管の鉱 ....
風の強い春の日の中を走る
この二両編成のさびしい列車は
さながら私の部屋のような
根付いた親しみで満ちている
シートに座れば座布団のようで
人が乗れば来客が来たかのよう
そう思える寛いだ春 ....
手など
近頃 じっと見たこと無いが
今朝 背伸びをしようと
上げた手を見てしまった

よじれた皮膚の連なり
幾重にもかさなった山脈のようで
これがわしの手かね

柔肌を撫でた歴 ....
雫が膨らんで
水の花を咲かせた
春というあいまいなかたまりが
名前を速やかに消し去った
ためらう太陽の灼熱に
逆らっていく風の翼が折れて
時間は無限に挫折を繰り返す
英雄の墓が芽を吹き
 ....
岩を砕き
オリファルコンを突き
水を求める
それが俺の仕事ならば
もう何処にも彷徨うことなく
水を探せ

固い地盤を爆発させて
水を得るのだ

透明な
透明な
碧い水を分け与え ....
その美しい風景に触れたい。
私はこの一瞬に触れたくて
今を生きている。

風に揺れ
光に透けるみどり。
漂うジャスミンの香り。

小鳥たちの囀りは
私のモーニングコール。
小道 ....
グランドの脇の水路に
サッカーボールは半身を浸していた

昨日も今日も橋桁に寄り添って
沈むことも飛ぶことも出来ないで
流れることさえ出来ないで
水面に出た半身が陽に焼かている

赤耳 ....
濁った僕の目に飛び込んできたのは
真っ赤な椿
はちきれそうに赤の花が僕めがけてきた

赤 赤どれも赤
ぎざぎざに咲くそれは
鮮やかにうたっている

悩んでいた
うつむいていた
僕は ....
ひとりぼっちの部屋の向こう
空は高くて雲がない
見上げる天井(うえ)は蒼く透け
耳鳴り満ちる静謐や

投げ出された蔓薔薇の髪
薄く重い空気が肺を撫で
水揚げされた金魚の気持ちを思う

 ....
どうせ木や動物ほど
人を愛せはしない

自分の仲間は
自然だけだ

何も言わずとも
ただそこにいて
理解してくれる古い木よ
手で触れて癒される

通りすがりに目を細める猫よ
お ....
この背中に銀の翼をくれたなら
多分アンドロメダにも飛んでゆけるだろう
漆黒の真空も怖くはないだろう
太陽に似た惑星系列を探しながら
抱き合う生命体に出会いたい

それは
もしかしたら少年 ....
君がこの世に命をくれた
だからこの手で命を守る
時に冷たく
時に尖り
時に固くても
生命の核には温もりがある

それを教えてくれたのは
そう君なんだ

静かに握った
暖かくもみじ ....
     朝目覚めると空のコップが
     ひとつ置かれている
     わたしは満たす
     さわやかな空の青さ
     もうすぐ咲くだろう蕾の息遣い
     少し焦げた目玉焼き ....
透明人間になったらさみしくない
あなたの枕元にたったり
耳元でこしょこしょ話したりできるし
そっと服にはりついて会社にいったりもできる

透明人間になったらこわくない
噂話も知らん顔できる ....
吐き気を呼ぶバロックが
鍵盤に叩きつけられている
CDジャケットを見ればピアニスト
理由に気づき 音を消した

やすらぐためにそつなく選んだつもりだった
その曲がその曲のせいではなく
弾 ....
万年床に二人
背中を合わせて眠った日々
コンビニ弁当だけを食べていた
明日の幸せを祈りながらも
現実というナイフは許さなかった
馬鹿だと承知しているものの
本能は許さなかった

西新宿 ....
たとえ私に何ができなくても
一筋だけの光を点滅を残せるだろう
黄金ではなく
それが真鍮であろうと
刹那に眩しい光は放てる

たとえ私に何ができなくても
湖面に映る月の輝きを残せるだろう
 ....
言の音の流星群、
押し寄せて来る押し寄せて来る
それぞれの重力圏から脱却し
自由に宇宙に自由に煌めき

アメーバ状に広がる歪な触手、
力溢れる造形立ち上げては
離散する透明雨滴と流れ
 ....
憎しみが始まる
気づかぬうちに

理由も動機もないまま
操られ

私の敵は
君じゃない
君が憎むのも
私ではない

互いに見えないのだから
気にすることはない
なのに
君の ....
ぽろぽろあまだれ
跳ね蛙スローモーション
滲む文様から浮かんだ島
鳥に紛れ白髪女ひとり
永い束ねを千切る声震わせて
ふたつみつの影を漉く
ひと筆の青さもない
そら背負ってうみは来る
  ....
 浅いひびわれができた
ベランダの三和土でみる
       一匹の蟻
   単なる散策なのか
       それとも
  餌を探すためなのか
  まるで卒寿となった
    おひとりさ ....
(星が過多に絡まる布を
ずっ、と引き摺って歩く)

祭りに群がる
こどもらの声

茹だり茹だる旋律の
真中で がぼがぼ溺れている

(乳の道をたどり
誰かが母に辿り着く)

私 ....
神は人の上に人を作らず
金は人の上に人を作らす

人は神に賽銭をあげて
金で買えない願いを求める
神を信じるために
金を信じてしまうなんて
月を観なくなってどれくらいになるだろう

その光に照らされた満開の桜
あれからとうに十年は過ぎた

慈愛と悲哀を噛みしめて
水面を昇華させた日々

もうあの日は還らない

永遠の絆 ....
あの日、僕は立ち尽くしていた。
天使について綴った原稿を
夢の鞄に入れたまま
古びた出版社の、門前で。

地下鉄の切符売り場で
曇り空の東京の地面の下
蜘蛛の巣状に張り巡らされた、路線図 ....
夕暮れの帰り道で
ジャージ姿の青年達が
手にしたスマートフォンと
睨めっこしながら下校している。

少々早足で追い越す、僕は
声無き声で呟いた。
――染色体の一本多い、周は
  彼等と ....
視覚を失った思考、
わたしのなかで解放される
盲目となったわたしに、
新たな光景、生き生きと立ち上がり

凍結した大雪原
輝く満天の星達の
巨大な光の眼また眼が
明滅し爆発し流れ渦巻き ....
沈んでしまうのが怖くて怖くて

呼吸にフィルターかかってる

溺れてしまうのを恐れてる


君は死んだ魚みたいな目をしているね


奇跡に縋らないと浮きあがれない

 ....
夢を 見た

青く暗い森を照らす
金色のランプ

彷徨い続けていると
やがて二次元の
紙の森になって
すべてが影絵になった

幼いころ
母が作ってくれた影絵

数十年ぶりに迷 ....
ひみつをして
泡をのんだら
夜がひとつきえた

三角 四角 五角 六角
とじない円をゆめみながら
とにかくさびしかった
由木名緒美さんのおすすめリスト(3340)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
沸点- 本田憲嵩自由詩216-5-4
飯坂線- 葉leaf自由詩416-5-3
百年の恋も…- イナエ自由詩7*16-5-3
Spring_Song- 葉leaf自由詩616-5-3
水守- レタス自由詩10+*16-5-2
五月- chiharu自由詩2*16-5-1
水に浸かるボール- イナエ自由詩9*16-5-1
椿爆弾- 朧月自由詩216-5-1
白い昼- 梟 由香 ...自由詩4*16-5-1
SHINRA- ガト自由詩2*16-5-1
飛翔- レタス自由詩3+16-4-30
- 初心自由詩116-4-30
日常- 石田とわ自由詩8*16-4-29
透明人間- 朧月自由詩416-4-29
バロック卿- もっぷ自由詩416-4-29
還らざる日々- レタス自由詩516-4-28
金銀銅- レタス自由詩6+*16-4-28
現像- ひだかた ...自由詩4*16-4-28
所属- Lucy自由詩14*16-4-27
あめふらし- ただのみ ...自由詩9*16-4-27
早春賦- 信天翁自由詩516-4-24
カンパネルラ。- 印あかり自由詩5*16-4-24
金運末吉- イオン自由詩2*16-4-24
月の都- レタス自由詩416-4-24
路線図- 服部 剛自由詩316-4-23
たまねぎ___- 服部 剛自由詩516-4-23
思考の眼- ひだかた ...自由詩8*16-4-23
普通- アレだよ ...自由詩5*16-4-23
魔女- ガト自由詩3*16-4-23
五面体- はるな自由詩216-4-22

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