あれは空だろうか
   それとも海だろうか
   わたしが欲しかったのは
   あの青だったのだ
   体中の骨を関節を筋肉を
   すべてを伸ばし
   掴もうとす ....
生きることの最果てには
哀しいことだけれど
とても深い孤独さえあって
少しでも幸せに
生きることが
生きた証として
残れば嬉しいのだろう
それが人間の運命と云うもの

そう誰かに愛さ ....
まだ名も無かった頃
星たちはその進化を眺めていた


自慢の種に自惚れよう
目前の出来事を見定めるために
たとえ避けられないとしても
長い長い夜は遅れてやって来る


―科戸の ....
あわただしい厨房からようやく出てきたカキフライを
口蓋を火傷しながら詰め込み食べ
待たされた客はそれでいて味が分かった顔で頷きながら
口ぎたない罵倒もついでに口から飛び出して

熱々の油に浴 ....
ハイフン時々アンダーバー
ドットとコンマを見間違う

たった少しの違いでも
送ったメールは届かない
贈った思いは届かない

ハイフン時々アンダーバー
コロンと間違えセミコロン
できた ....
十年は ひとむかし
       二十年は ふたむかし

生かされた 感慨はうすれ
      生かされる 考察もぼやけ

ただ茫然と 薬指でみけんを押さえて
  時の隙間を ごまかし続 ....
         なぜだろう 
 臨死はひとけたになったのに
卒寿のおひとりさまにむかって
  遠くから鴉が揶揄している
  近くで番犬が威嚇してくる
   
       そして 反対に ....
  物陰にひそんでいる、一頭の
  動きののろい獣をみつめるみたいに
  流れているのだろうか、ぼくにとって
  あの時間もこの時間もどの時間も?


  不揃いの靴たちの
   ....
草茫々の只中を
分け入ってゆく…夜明け前
(突如の穴を、恐れつつ)

それは{ルビ完=まった}き暗闇に似て
清濁の水を震える両手の器に、揺らし
あわせ、呑む。

――我は信じる。
  ....
「オレ、ぜんぜん痩せないんだよね
 運動って言っても続かないからさ」
「アンタね、ダイエットするのにも
 体力が必要なんだよ
 動けるだけの体力がないから
 痩せないんだって」

「そう ....
ここに旗はない
風に弄られ立ち竦むのは
他の何者でもない
東も西も南も北も
微笑んでなんかいない
ただ巡る風の音が
埋まらない空白を告げている


ここに旗はない
足跡は辿らない
 ....
朝の通勤
自転車こいで
なだらかな道を走る
眠たいけれど
冷たい空気が鮮やかな気持ち

すいすい流れていくと
綺麗にしっぽをたてて
ゆうゆう猫が散歩
うしろから
お爺さんが紐でつな ....
わたしは
粒で出来ている

粒は
かなしみも
ぜつぼうも
知らないまま
ただ
あたえられた時間を
あたえられるままに
はずんでいた

ときおり粒は
とどこおる
たとえば寒い ....
       つつじが丘のひだに
       住みついて 三十年
       いま 卒寿となって
        しんみりとおもう

    九十の齢(よわい)の歩みが
   (おかげ ....
くるりと足を上げ
飛沫もあげずに潜って往く
小石のように すーっと
光がゆらゆら届く辺り
うたたね だから
すぐにまた浮上できる辺り


食事の後 うっかり
文字や何かに集中しようと ....
夢中になった歌集は 本棚で埃をかぶっている
覚えている言葉は もう何も動かさない
好きだった花が 色褪せて見える
もともと 好きでもなかったのかもしれない


紅をさす 鏡の中にいるの ....
呼吸をさまたげるぬるい真綿と
つめたいくさび
命には届くまいと言い聞かせて
悲しみが訪れてくれるのを待つ
何もかもを涙に流せる静謐

繰り返しの記号がとめどなく
胸腔を破ろうとさわぎ
 ....
歩いて通勤していると、
毎朝すれ違う女の人がいた。

今の嫁。

そして今日もまた、
歩いて通勤していると、
毎朝すれ違う女の人がいる。

この人は、
誰の嫁になるのだろう ....
    きさらぎは昼さがり
     北風の挑発もなく
    ふゆびのさざなみは
ベランダのひさしをすどおり
 やわらかなひかりとなって
 おだやかに三和土のうえで
  尾っぽを引きずっ ....
ミサイルは
花のうえをとんで
どっかいった

あぶないから
線の内がわをあるこう
くるまが、ほらこわいよ
というと
花がはじめて
こわい
といった

ミサイルも
 ....
美術館の展示物は
来館者のまなざしを食べる
じっくり詳細に見る来館者のまなざしを
ふんだんに咀嚼し飲み込んで
まなざしの味を吟味する
一般者の軽いまなざしは
スナック菓子のよう
 ....
今日の社会の授業は
体育館でドッジボールだ!

ヤッター!

さぁ、始めるぞ
ボールは二個使うぞ

えー、そんなぁ!
ワー、これ怖い

いいか、これが、世の中だ!
社会人30年目
窓際っぽくなってきて
枯れ木のようですねと言われると
瓦礫だよと答える

達成感がない毎日
これではいけないと思いつつ
つい酒に手が伸びる

ある日リサイクルショップ ....
{引用=私は一篇の詩になりたい
それはたとえば路傍の風景

私は何も語りたくない
私としてのさびしさなど

私は私でありたくない
私にとって 私でありたい

私にどうして{ルビ彼=か ....
散策の道すがら
  杖をつついて 卒寿が呟く

近頃になって
  つつじが丘の街はずれは 
新興住宅の建設ラッシュで
  昔の歩道のつつじの群が
めっきり粗野になっちまったと  

 ....
風は密かに吹くだろう
人と人の間に

透明な橋は架かるだろう
この街の何処かで

濁った世間の最中にも
時折…虹はあらわれる
――千載一遇の<時>を求めて

今日も私は ....
この間虫歯があったので歯を削り落とした
そして 詰め物をした 歯
安かった 会計 受付嬢の冷淡な唇
彼女に恋人はいなかったとしてもそのネイルの光は冷たすぎた
私は彼女の美しさに見とれていただけ ....
月に秘密を
背中に夕焼けを映す
陰りそして唇
字を燃やす如月
 ひだまりの

冬に
春をおもうのは
にんげんだから

そもそも猫は
冬という言葉の意味を知らないから
まるくなってねむるだけ
ふゆ、と呼べば
ニャッと短い返事をするのは
冬、と ....
誰も何も言わなかったから悪いんだ
リンゴジュースを買うために失う120円、
もしかしたらそれで世界を救えたかもしれない
眠たいだけの授業に費やす時間とお金

かわいいは正義だって、誰かが言っ ....
由木名緒美さんのおすすめリスト(3335)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
青になる- 石田とわ自由詩16*16-2-24
花束の季節- りゅうの ...自由詩11*16-2-22
You_can_still_make_it.- 時々自由詩116-2-21
加工肉自動人形- 日々野い ...自由詩8*16-2-20
ハイフン時々アンダーバー- イオン自由詩2*16-2-20
色鉛筆_六- 信天翁自由詩216-2-20
色鉛筆_四- 信天翁自由詩416-2-17
さよならなんて云えないよ- 草野春心自由詩4*16-2-16
鍵___- 服部 剛自由詩216-2-14
私だけ見てダイエット- イオン自由詩1*16-2-13
ここに旗はない- ただのみ ...自由詩17*16-2-13
猫の散歩- 灰泥軽茶自由詩416-2-11
わたしの粒々- そらの珊 ...自由詩2116-2-11
老細胞の呟き③- 信天翁自由詩416-2-11
うたたね- ただのみ ...自由詩14*16-2-10
時雨に- 藤原絵理 ...自由詩416-2-9
真冬・空をまねる営み- 橘あまね自由詩616-2-9
- 小川 葉自由詩3*16-2-9
色鉛筆①- 信天翁自由詩416-2-9
ミサイル- はるな自由詩716-2-8
美術館- 葉leaf自由詩416-2-8
社会的ドッジボール- イオン自由詩3*16-2-7
ガレキギター- イオン自由詩4*16-2-7
梢が春となる頃に- もっぷ自由詩616-2-6
老細胞の呟き①- 信天翁自由詩416-2-6
ドアノブ___- 服部 剛自由詩416-2-5
安かった治療- 番田 自由詩416-2-5
反映- かんな自由詩2*16-2-4
冬すみれ- そらの珊 ...自由詩1516-2-4
かわいいだらけの学校- 上城レー ...自由詩316-2-4

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112