薄紅の華をちいさくちぎるころ
逸れてしまって
夕闇なのだ

ひとりぼっちで
待つ 宇宙よりたおやかに 歌

あの方の面影に釘刺すように


苦しみも
アンダンティーノ・アテンポ ....
羽を広げて歌ったり
髪を下ろして眠ったり
きみを観察して飽きることがない
しなやかな人形のようだ

内側にめくれて行く海の
遠い波音を聴くころには
月が高いところまで上り
僕はいつまで ....
真実らしさを裏表縫い合わせながら
花のこだまする落下音
見渡す限り白と灰色とクリーム色
名状しがたいこの光景は夢がない

小さく震えながら露を受けて輝く
幻が咲いて木の幹を下る午前に
手 ....
大人気ない大人ばかりの席で
僕は誰からも話しかけられず
ぽつねんとしていました

それから帰りの電車を降りた後で
さっき別れた人から電話があって
今日はなんか疲れたね 飲みなおそうといわれ ....
雨に散らばる青空
汚れを洗い流すために
身を切る生き物

タイミングの良し悪しは
物事の良し悪しよりも
ずっと大事なこと

予感より速やかに
水面を走って君と
華やかな町の雰囲気に ....
からだちぎれるように
いたいのはこころで
この季節は教壇に立つ身には
余りにも辛いことが多い

さて人生は思うようにいかぬ
その大海に放たれる君たちを
信用していないわけではないのに
 ....
憂鬱が鐘を打つ日

しなだれかかる花と枝葉
背中に影のレースを編んで
見も知らぬ世界の歌をうたっている
その影は誰よりも近しい人
私を小さくして大きくした人
振り返らないルールなので
 ....
ひびわれて
 よい暁の裂け目から
晩鐘の漏れ出ずる闇
         雲

弱弱しい
 足取り 振る舞い 声のピッチ
雪が降る頃には
    もう 思い出さない

崇高の美は
 ....
びろうどとびいどろの
ちがいがわからなくてこまる
ことのない青春をおくって
きました このわたくし

くちびるとくちびるを重ねて
あまい嘘をささやきあってみたい
わたくしはいつまでもひと ....
猫猫しい彼女
罪悪感のほとりで
レースの黒と踊る

隙もない
目を離すことができない
成す術もない
日時計から
斜めに垂れ下がっている
離断された晦渋な記憶が
記録される

不確かなものを断罪する
根拠を欠く
文明の華が
堅実さで価値を放棄した

いまでもヨーロッパの古い大学では ....
 うれしいことも、うれしくないことも一緒くたにして、あなたは僕を困らせる。
 ラベンダーの香りのする部屋で、コウイチがそういった。その香りは彼の部屋を訪れたほかの女の香水の香り。これはわたしの男です ....
青を背景にまっすぐな道路が
斜面を登っていくのだけれど
いずれ天に触れそうなところで
消えてしまうとわかる

長い橋を渡りながら
巨大な甲殻類の内側で
対になる脚を数えていても
韻律は ....
青空から遠い場所からあなたをみつめている
垂直に光が差すときには世界は希望に満ちる
そのわずかな時間だけ僕は人生を謳歌する
引き伸ばしても何にもならない人生かも知れない

覚悟が必要だ より ....
この愛の速度で落下しながら
華やかに笑うあなたのことを思う
広がりを一瞬で直線に還元して
ピンクノイズの中に埋もれていく

瞬きの一枚向こう側に羽ばたき
心だけで意味を積み上げられたら
 ....
なにかがはじまるのだな この場所で
川の流れのように
地を這う蛇のように
ゆっくりとした確かなものが

季節のように訪れるのだな この場所で
変化に気づかない愚か者も
木々の彩りに目を奪 ....
かなしみの夜に
貝殻の雨が降る
わたしのように繊細では
とても生きていけないとおもっていたのに

ちゃんと生きてこれて
今日も生きています
いろいろなことに感謝しています
かなしいこと ....
街が滅ぶ前に
草原へ移動した
光を失う前に
海を見た

右目だけで出会う世界に
違和感は覚えなかった
走り出すときに半身を
庇うことを除けば

音楽が鳴り止まない
バランス以前に ....
爆ぜていく悲しみのビーズを
目は閉じたまま手探りで
探して紡いでまた取り落とし
私の四度目の恋が死にます

狂おしいのでもう何も思わない
何も考えない
誰も愛さない
ようにしようと思う ....
倒壊する柱廊
夜より深く寄り添って
呼吸を整えるわたしたち
目にしない貝殻の夢を見る

したり顔で人の世の不幸を
散種する予言の彼岸で
美しい馬の背に乗った
しなやかな筋肉のあなたをみ ....
昨日の続きを生きている

私がぶれるはずはない
地球の地軸が揺らいでも
小夜鳴鳥が叫んでも

私の時間は連続し
コールタールよりも深く
インディゴに近い
沈黙にコロスを誘いながら
 ....
果てる
潮の流れの中で
常温で融解する
金属の雌蕊

見紛う それから
手を差し伸べるように
突き放す
レインコートのひらりひらりと
美しい顔をなでる
レース

この少年の不在 ....
展望台から悲しみのヒースを
揺らし、揺らしながら
誰も悲しみを共有することの無い
世界の中へ沈殿していく私

私は私から逃れられないにもかかわらず
私は私を客観視することで理性をジャイロの ....
神秘を踏み外して世界が回る
その少し下 メランコリーの上辺を
飽きもせず日々の生業に傷つく
21世紀のシチズンズ・オブ・ザ・ワールド

歌うように花が咲いて
またコスモスの季節なのだと気づ ....
憂鬱が穴を穿つ
苦痛の波打つ夜
枕木の合唱を
電気を消して聴くのだ

文字通り戻れない
文字通り元に戻れない
文字通り二度と元には戻れない
文字通り決して以前のようには笑えない

 ....
イエラルシーはかっこつけて
電柱より高いところから
君の日常をじっと見ている
手出しはしない 見るだけ

NOxにまみれた有酸素運動の権化が
こぼれる夕方の未練を噛む頃
僕は白く焼けた砂 ....
誘惑に楔を打ち込んで
眠る時間まで起きていると
耳元で死に際を忘れた
昆虫が床に爪を研いでいる

仕事の量で計るものでは
ないのかもしれない人の生に
僕はまだ何も成し遂げていない
長い ....
まぶしすぎて螺旋を描いていた
体中の塩分が海に向かって
こぼれだしそうで
じっとフェンスを睨んだ

死んでしまうまでの時間を
生きていると呼ぶのだ
死んでしまう前に
生きているだけのこ ....
愛とは悲しみの離反する結晶
水の中で笑う
幾千の粒に包まれて笑う
フルートが草原に響く

遠くまでたどり着きたいと
馬の腹を蹴りながら先を急ぐ
時間は飛ぶ 鳥のように
時は翼を持ち 鳥 ....
息吹を置き去りにして君は
素直になった
砂を走った
八月は並行して走る
水打ち際で風に舞った

戸惑いは前触れもなしに
鮮やかなモノローグを割いて
今ここに君といることを
あまりにも ....
瀬崎 虎彦(381)
タイトル カテゴリ Point 日付
アンダンティーノ・アテンポ自由詩011/2/18 7:30
Balance自由詩411/2/5 21:57
Listen自由詩211/2/4 0:05
大人気ない大人にならない方法自由詩211/1/30 11:37
しおり自由詩211/1/28 16:00
様々なるアイロニー自由詩011/1/27 22:55
不吉な水溜り自由詩511/1/10 10:13
晩鐘自由詩010/11/4 23:26
びいどろの夜自由詩210/10/31 1:53
シロとクロ自由詩310/10/26 23:32
PhD自由詩010/10/24 22:34
そして冬散文(批評 ...210/10/23 0:37
比喩とミルフィーユ自由詩310/10/22 0:04
たぶん、悲劇的自由詩210/10/21 21:41
オデッセイ自由詩210/10/18 21:45
乱反射自由詩210/10/16 0:18
かなしみの夜自由詩310/10/14 0:04
視覚自由詩510/10/12 11:19
Nôtre Dame de Paris自由詩110/10/6 20:09
記憶自由詩210/10/6 4:33
今にらみつけて自由詩210/10/4 16:00
遠視自由詩110/10/4 5:40
自由詩310/9/26 22:53
惑星の回転する音が自由詩210/9/17 19:45
実は悪なのだ自由詩1+10/9/17 4:05
あなたに花束を差し出したい自由詩210/9/16 17:24
等しく星は自由詩210/9/7 22:28
展望台と世界の花自由詩310/9/2 5:49
ride ride ride自由詩210/8/28 2:29
あずけてしまえれば自由詩310/8/11 23:31

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