びいどろの夜
瀬崎 虎彦

びろうどとびいどろの
ちがいがわからなくてこまる
ことのない青春をおくって
きました このわたくし

くちびるとくちびるを重ねて
あまい嘘をささやきあってみたい
わたくしはいつまでもひとりなので
さびしさにきづく暇もなかった

この夜はガラスの破片で
示し合わせたように
わたくしの喉元に爪を立て

荒唐無稽の闇のしじまに
ふと ラヴェンダが香ったような
気がするびいどろの夜


自由詩 びいどろの夜 Copyright 瀬崎 虎彦 2010-10-31 01:53:45
notebook Home 戻る  過去 未来