今日も歩いていると

いつの日かの私が

朴訥と佇んでいる

でもなんだか薄皮で安ごしらえ

色もくすんで生気がないが

手を広げて空に向かって伸ばし

かかとを上げて

 ....
全自動

機械化された巨大な工場から

生み出されていくコンビーフの缶

ねじをくるくる回すように

側面の皮を剥ぎとっていけば

感覚がむきだしにされていく

フォークで突き ....
すっぽりと紅葉を被り

ひのひかりを浴びる

こっそりと山を歩きながら

誰にも気づかれないようにと

鳥の鳴き声をまねて

飛んでいく

雲が急に流れだし

しっとりと山 ....
私には何かが足りない

満ちた月が少しずつ欠けていくように

足りない何かが

少しずつ時間をかけて暗闇が私を包んでいく

すっぽりと暗闇が私を包んだとき

私はどこかに向かって
 ....
てのひらひらひら

紅葉ひらりひら

ほぅらほら

どこかでだれかが呼んでいるよ

重なり合った呼吸が

色を濃くしはぜる音

夕焼けが沈んでいくように

どこかに吸い込ま ....
緩やかなカーブを描いて

走って行く

空気の波が幾重にも重なって

丸みを帯びた優しさを生成する

気をつけてと

柔らかなハミングで

空気の波は震えて

白いガードレ ....
百葉箱をかぶった白衣の人が

歩いてやってきた

誰も気づかないのはなぜ

ベンチに座る私のところまで

つかつかつかとん

近づいて

そっと私の脈をとり

まだ大丈夫
 ....
信州の秋まつりの露店で買った

ドイツ人の老婦人が作った

珍しい山の果実ジャム

店番をしている佇まいに吸い込まれ

若い頃はさぞかし美しかったに違いない

毎年自分たちだけが食 ....
雨音で起きる朝

ひんやり冷たい水族館にひとりいる

水槽には何もいない

雨音だけが響いている

水槽に手をあてると飴細工のように

脆く崩れて

雨が横殴りのように降ってく ....
いつもちゃんと閉めるのに

蛇口から落ちる水滴の音

もう一度強く閉める時もあれば

そのまま

ポタポタ落ちるのにまかせて

ぼんやり

ポタッ

ポタッと

落ちる ....
秋雨が静かに頭を濡らす

雲が流れて光が射す

落ち葉も濡れて鮮やかだ

一番綺麗な一枚を手にとり

くるくるまわすと水滴が飛び

一面落ち葉も

そうっとゆっくり

どこ ....
静かにそうっと放っておいて

小さなカタマリは

片隅で

少しだけ浮く

なぜ浮くのかしら

小さなタマシイは

わたしの耳の裏で

そっと囁く

いいことかしらと
 ....
冷たい空気が流れている

口に含むと清らかな声がする

春の匂いに予感する

夏の記憶が乱反射する

秋の夕暮れが頭から沁みだす

冬の初々しさに笑顔をほころばす

時と記憶が ....
ささやく言葉

あちらからこちらへ

風が吹き抜けてどきりとする

カーテンを閉じたように

夕闇がやってきて戸惑う

灯りが

ぽいんぽいんと

映しだされる笑顔

 ....
押入れの毛布にくるまり

ロールケーキのようだなと

とろけるように目を閉じ

甘い夢を見る

お菓子の家は飽きたから

寿司ネタにしてくれと叫んでいる

小学生の私

そ ....
見上げると木の葉はもう染まっている

風もずいぶんと冷たい

そうして

風で葉が落ちているのを

何も考えずに眺めていると

いつのまにか私が大切にしてきたことも

こうして ....
同じ言葉でも

私が放つ言葉と

あなたが放つ言葉は違う

私が放つ言葉でも

時と場所でとても違う

しかし言葉は私に

それぞれ違う形や色を見せながら

少しずつゆっく ....
カタコトカタコト

プラスチックナコトバ

ツッケンドンナハンガートワタシハ

クルクルクルリトブーメラン

カタコリコロリトオトストネ

カルカッタスギサッタイタミノオクハ

 ....
山が色づき始めた

少し

ゆっくりと歩きながら

両手

手のひらを軽く閉じると

生命の鼓動

どんぐりがひとつずつあるようだ

丸くて暖かい

するとちくりちくり ....
道の端っこに落ちていた

マグネット人形が

トラックぶおんの勢いで

わたしにひっつく

東南アジアの小さな島々

露店にぶらさがる毎日

ふとしたきっかけで

ぽろりと ....
指でなぞる雲

指先から放たれる感覚は

自由自在に空を飛ぶ鳥のよう

ひゅいと懐かしい風が吹く

雲をなぞったように眉毛をなぞり

瞼を閉じれば暖かい光が

残像を呼び起こし ....
この前山の道で見かけたカラスの死体は

ポトリと落ちていて

なんだかとても温かくて幸せそうな死体であった

私はカラスを不吉や気味が悪いというよりは

小生意気な賢い奴であり

 ....
お相撲さんとシュークリームを天秤にかけて

どちらか連れて帰ってと言われたら

シュークリームは美味しい

お相撲さんは食べれないけれど

美味しそうではある

冬部屋にいたら暖か ....
毎日の安らぎのひととき

熱さが肝心

やかんの蓋がはねるぐらいまで待って

コーヒー大さじ二杯

砂糖大さじ一杯半

マグカップにお湯がはねるぐらいの勢いで注ぎこむ

そこへ ....
窓をあけて空気の入れかえ

皮膚が鳴り鳴りさざめく鳥肌

気持ち良い季節の始まり

けれどもすぐ隣が

美味しくて評判の中華屋さんだから

新鮮な空気と一緒に

香ばしい匂いも ....
長袖ビュンビュン

半袖ぴゅんぴゅん

お洒落じゃないから同じような柄ばかりの

シャツたち

ズボンもこれからの季節はずっと

うねうねコーデュロイを色違い二本

これから寒 ....
もくもくと

香ばしい

秋刀魚の焼く匂い

くんくんと

昨日の秋刀魚は美味しかったねぇと

家族が昨日の夕飯楽しそう

もう秋だね

うんそうだね

優しい匂いが私 ....
たわ しわ
わたし わここで
はず おかし うたが
わずら わいしい
もう ここあ いみ も
あい まい とり とめも
いのち たべ すぎる ことり
ぽりん とか くべる ほの ほほ
 ....
たりたりたりと

私の何か少し足りていない

ミリデシリットル分の

たりたりたりが

足早に私のうしろをついてきて

影に交じりながら

陽をよけて

たりたりたりと
 ....
なんにもないから

じゃがいもを剥いて茹でる

そしてつぶしマヨネーズと七味

とろけるチーズも入れて

まぜてこねたら小さくなった

おたまのうらを覗いてもなんにもついていません ....
灰泥軽茶(443)
タイトル カテゴリ Point 日付
風船自由詩6*12/12/8 4:20
コンビーフコンビナート自由詩5*12/12/8 3:59
秋の音自由詩7*12/12/4 2:17
欠ける月自由詩5*12/12/1 0:54
さようなら自由詩10*12/11/29 1:33
あなた想いのガードレール自由詩6*12/11/26 2:39
百葉人自由詩6*12/11/25 3:11
或るジャムと老婦人自由詩5*12/11/23 23:17
雨音自由詩9*12/11/23 4:56
蛇口自由詩4*12/11/22 22:59
秋雨自由詩3*12/11/20 21:19
綿埃自由詩6*12/11/18 23:48
地下水自由詩6*12/11/18 23:39
夜のはじまり自由詩5*12/11/17 0:10
甘い毛布自由詩5*12/11/11 8:05
秋の飛翔自由詩15*12/11/9 2:24
言葉を放つ自由詩7*12/11/7 2:46
カタカナカナ自由詩3*12/11/3 2:45
手のひら自由詩5*12/11/2 2:45
マグネット人形自由詩8*12/10/20 1:22
すじ雲自由詩13*12/10/9 1:52
カラスの死体自由詩9*12/10/3 5:17
似て非なるモノ自由詩2*12/9/28 0:39
インスタントコーヒー牛乳自由詩10*12/9/27 2:09
空気の入れかえ自由詩5*12/9/25 19:42
ころもがえ自由詩9*12/9/25 0:37
もう秋だね自由詩6*12/9/24 1:29
こ のは自由詩212/9/23 0:34
たりたち自由詩9*12/9/22 1:17
ぽてじゃが夜食自由詩8*12/9/21 3:03

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 
0.11sec.