若草のように君のながい髪の毛がぼくの頬に当たる。すこしカールした茶髪のロンゲだ。
ぼくは藁のようにその髪の毛に触れる。雨がこんなにやさしかったら。かわいているのか、濡れているのかよく ....
河原に猫の死骸があった。風は乾いていた。川舟が舫っていた。ここは四万十川、春爛漫。
ぼくは中村から入った。桜も、桃も、連翹も一斉に咲いていた。猫は溶けかかっていた。
澄明な空気 ....
  
  
ももとあそんできた
  ももはねるところだった
  ぼくがてをだすとももははをむいてかみついてきた
  もものあたまをなでた
  りょうてでぎゅっとなでつけた
  も ....
  



  網膜剥離で二度手術するという
  {ルビ棘草=いらくさ}の枯れる頃
  順ちゃんはもとにもどるだろうか
  人間の情報は60%以上を視覚野が占める
  失明したら大 ....
   

   ヴェスヴィオス火山に埋もれた
   廃墟のように
   灰をかぶって
   ぼくはいままで
   埋もれてきた
   標本となって
   

   水道も飲めないで ....
  {ルビ蝸牛=かたつむり}のような疲れが
  雨のななかを
  這って行く


  葉裏ではいましも
  一滴の雫が水没しようとしている


  ニュートリノがふるなかで

 ....
裂かれた魚影は探知機にかからなかった。藻が以上に発生していた。魚影は藻の中にもぐりこんだのだろうか。藻は密生して揺れていた。海底深くはなかった。太陽の光がレンブラント光線のように差し込んでいた ....  

   完璧だった。
   十月は週五日毎日通勤した。
   無遅刻無欠席。
   毎日詩を書いた。
   せわしないが完璧だった。

  
   シャガール展は最後のプログラム ....
廃墟に紅葉が溜まっている、捨てられてもう何年がたつのだろう。窓も壁も風雨にさらされて、朽ち果てている。草も枯れかかって、陽を浴びている。兎も、狐も、狸も、熊も、ここを宿にしたに違いない。獣の匂いがする .... あしたシャガール展を見に行く,夢美術館。恋人たちの祭典、かぎりなくそらを飛んでエ
ーテルのなかを自在にテレポテーションする指輪。宙に浮く感覚とはどんものだろう。不幸にしてぼくはあまりシャ ....
  



   読み始めた詩集、の最初からぼくは熱病になった
   ことばは炎症を引き起こす枯葉剤なのか
   森がことごとくかれ始め腐り朽ち果てた
   新鮮、という病、
   こ ....
 



したたる、鱗粉。新潟中越、たてゆれに蝶は砕け、飛べなくなった。首。静止
できなかった電源、もろかった、緊急対策。飛べなくなって、脱線した車両。
震源地に近く、鱗粉は舞い上がり、蒼 ....
咲く花の、瞳の外へ、柔らかな鮑は退屈なあくびをしていた。もぐればいい。底へ、底へ
ムツゴロウのように干潟の海を泳げばいい。潮は退かない。街へ行くバスは、発車したばかりだ。もう一時間は来ないだ ....
 



  やってきたそれは
  葛飾北斎の波のようにうつくしくはなく
  濁って
  ドーン
  ドーン
  扇のように覆いながら人家を飲んだ
  人をさらった
  北陸海岸 ....
 

  赤い傘差して今日も雨
  カタツムリは縮こまって
  濡れている
  陸上競技場のアンツーカーはけぶり
  女子大生は傘を差して自転車に乗ってやってくる
  雨の日は少し喉が軽 ....
 
  火閃だぞ左巻き右巻き朝顔のつるはかならず鏡像をなす
  


  {ルビ津波=よだ}の上で焚かれた死体の大文字春巻きのような{ルビ精霊=しょうりょう}流し



       ....
 


  野に、球
  と書いたのは清水哲男だったかわすれたが、
  日本シリーズもたけなわで、
  今日はいよいよ第七戦、西武が勝っても、
  中日が勝ってもちっともおもしろくな ....
  


  星もみえない
  薄明かわせみはどうしているだろう
  あの瑠璃色の羽をどこでやすませているのだろう
  自然は時にすばらしい色を与えてくれるのだ
  かわせみの羽は美しい ....
 
  
   銀杏祭り
   ちかづくころ
   谷川の沢蟹たちは
   ぞろぞろ
   街へ集まってくる
   (目玉きょろきょろ
   ディープ・パープル
   路線バスは満員 ....
    




   日が高い
   山の湖に
   バイクで奔ってきた
   4ストロークの強いエンジン
   60キロで裏街道を飛ばした
   きついS字のカーブ
   ハ ....
 


  窓をあけると朝だった
  もう3時から起きているというのに
  分からなかった
  朝はカマキリが月に噛みつく時だ
  秘密の儀式はぼくしか知らない
  ぼくはようやく
 ....
 


   ハイド・パークから
   少し離れてそのパブ
   はあった
   にぎやかっだった
   椅子はなかった
   みんな立って飲んでいた
   仕事帰りの労働者ばかりだ ....
  

   仔犬の
   ももちゃんがいない
   (たんぽぽの綿毛のような

   蟷螂のように
   さみしかった


   *


   仔犬の
   ももちゃんが ....
 




  いそしぎの浜で
  ぼくは三輪バギーをあやつりながら
  海風を浴びている
  砂の轍をつくってゆくのは
  自分自身だ
  はげしくジャンプするが
  腰を浮か ....
  

  裏ビデオ穴の深さにたち塞ぎ

  こころから穴の深さのらっきょかな

  やわ肌の燃える蝋燭消しがたし

  乳飲み子と共有している乳房かな

  祈らずにいられはしな ....
 

  せりあがる
  涙の塔
  くぐもってしまった声
  砂漠のように乾いて
  なぜ突然失語症になってしまったのか
  あなたをあたたかく送るために
  いきなり設えた舞台でわ ....
 

  白いレースと
  モスグリーンのカーテンの外は
  朝焼けの予感
  大学校舎の壁に映って
  小鳥たちの目覚めをうながす
  日本列島幾つの目覚まし時計が鳴るのだろう
   ....
 


  獅子唐を収穫した
  裏山の畑で
  猿が荒らしに来る
  ちいさな田畑
  青い実が籠に
  入れられ
  赤い鋏が収納された
  斜面を下る娘たち
  ススキの穂 ....
 


  薄暮の空に
  (草の駅
  刺青のような
  かかる三日月
  刻まれた楔形文字の
  欠落なのか
  青空に開いた穴
  面白いふみ箱
  (今日の仕事はつらかっ ....
 

  葛飾北斎
  の
  雨にうたれて
  (今年の秋桜は美しかった
  豪雨の
  中を
  歩いてきた
  江戸時代にはまだ
  ニホン狼はいたとおもうが
  獣の匂い ....
天野茂典(412)
タイトル カテゴリ Point 日付
性交自由詩204/10/31 10:17
夜明け自由詩004/10/31 7:38
満開自由詩304/10/30 22:23
インドラの順ちゃん未詩・独白204/10/30 15:34
昆虫図鑑ーポンペイ未詩・独白504/10/30 14:47
神岡地下天文台未詩・独白204/10/30 12:30
推定無罪[group]自由詩204/10/30 8:46
完璧な蝶自由詩004/10/29 19:07
悲しい遺跡自由詩204/10/29 5:56
あしたシャガール展を見に行く自由詩104/10/28 19:00
快音自由詩104/10/28 6:04
遠雷自由詩104/10/27 19:21
出発自由詩104/10/27 6:18
海嘯自由詩104/10/26 18:42
験潮儀自由詩404/10/26 6:10
海中公園二首短歌004/10/25 23:03
自由詩504/10/25 18:27
翡翠未詩・独白004/10/25 5:45
謝肉祭自由詩004/10/24 18:19
未詩・独白104/10/24 16:00
宇宙から始まる朝自由詩104/10/24 8:17
ハイド・パークから少し離れて未詩・独白204/10/23 17:53
ももはアイドル自由詩204/10/23 16:35
岬まで自由詩204/10/23 6:10
つれづれに川柳304/10/23 1:23
堀口美樹さん自由詩104/10/22 18:21
キャンパスから自由詩304/10/22 6:43
ちいさな収穫祭未詩・独白204/10/22 5:31
草の駅自由詩004/10/21 18:28
コスモス未詩・独白404/10/21 6:30

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