桜が散るような接吻に こゝろは震えない
世間体に身を剥ぎ 遠浅の路上に
猫でも 食事にありつけたなら
其処を住処にしてしまう
放浪者の臭いが染み付いた
列車の優先席でも かまわない
....
ウールのベストは暑いかな,と思いながら
まだ肌寒い春に,詩人の家に行った
その部屋はアトリエのようなコバルトブルーの壁紙が貼られていたので,
アトリエなんだろう,詩人の子供は自由に遊んでいるし, ....
窓を開け放つと風が発泡する
それも少し前の記憶
目が覚めている領域に
睡魔は
棲みつく
眠ればこっちのものだ
ヒトの器を残して
記憶は更新され
忘れがたきモノ
は
核廃 ....
ぶっきらぼうにわらって
ひとりになった
敵も味方もいなくなった
それから詩情が急激に流れ込む
俯瞰視すると
東京の半分が廃墟を建築し続ける中
女は女を探す旅へ
俺は自分に着させる ....
脚立を担ぐ
キャベツ畑で
赤毛に嫉妬
井戸から神話じみた
スポンジ状の
つぶやき
蜜の季節風
家など何処にあったのだろう
四葉のクローバーだらけで
バカにしている
....
それを目の前で見たとしたら
傾斜した繁華街のとりわけ地盤の緩んだ坂の下にビルディングの錯綜した影が幾重に折り重なる穴のような暗室でパーティーはそろそろお開きの準備という状態がもう幾年も続 ....
「十二月の雨」は酷評
ビジネススーツなんて着て
痛覚のないロボットになら
悪態をついてもいい
と、思っている
魔法の網点が、
ぼんやりと何もかも
すべて欲してしまい
白いシ ....
洗面器に彼女は顔をつけたまま
これっぽっちの水で溺死すべきではない
近所に駅が開通し、都心へのアクセスがスムーズになったが
人身事故による遅延の恐怖で外出できない
歴史的な労働力が堕落する ....
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