日曜日の詩
timoleon

ウールのベストは暑いかな,と思いながら
まだ肌寒い春に,詩人の家に行った
その部屋はアトリエのようなコバルトブルーの壁紙が貼られていたので,
アトリエなんだろう,詩人の子供は自由に遊んでいるし,
鳥の絵や,ポストカードや,実際に鳥も飼っているから.
気兼ねなく思春期の中学生のようなことを言えるのは,
ぼくらがいくらか年齢を重ねて,カーテンが風にゆられるように,
幾重にも軽やかに,以前のことを薄い感情にしてしまっているから,
いつか重々しいことばからも解放されて,軽い素描のような
詩を描けたら,って,モーヌ。の詩みたいに.
思っていたけど

たいしたこともなかったのに,深刻そうに,
まるで母親に愛されなかった子みたいに,
地獄でも見たのか?自分ばかりで,
他人を愛したいのに,自分は愛されなかったような,
そんな捨て去られた自転車のような詩しかまだ描けてない.
ほんとうは,まだ詩を描いてない,
そんな気持ちが,ずっと背中に貼りついている.
あのときも,いまも,
いくらか,いまのほうが,うそが下手になった
ほら,もうモーヌ。に追いついて 
ぼくも,同い年になった,
ぼくは,ほんとうに詩が描けないことを知ることになって,
蒼穹に矢を放ち,この身を貫けばいいのだから.




自由詩 日曜日の詩 Copyright timoleon 2014-04-23 17:16:03
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