このわずかな間に、俺は何度こういう沈黙を繰り返し繰り返し味わっただろう?俺たち、では無い―やつはきっと、本来言葉を喋るように出来てはいないのだ。やつを分類するとしたらそれはきっと、「押し黙 .... 一人の人間から膿を取り除くとする。薬か、手術か、手段はどんなものでもかまわない。一人の人間から膿を取り除くとしよう―何らかの手段を用いて、見事一人の人間から膿を取り除いたとする、そうするとその .... そして俺たちの間には再び沈黙が訪れた。それは一見いままでの沈黙となんら変わりの無い取り付く島も無い断絶のように見えたが実際のところそれよりもずっとたちが悪くなっていた。腐臭はほんの一時でも .... イメージ…イマジネイション。想像力。こういう感覚を腐敗とリンクさせるのはたいていの場合とても困難なことだ。ある種の想像をここで働かせようとすると必ずその流れを妨げるものがある―腐臭というや .... 膿んだ時間の曼荼羅に眼を凝らしてまだくたばってはいない言葉を探した。
腐臭は凄まじく、字面に少し触れるだけでおぞましく伸びる粘度の高い糸が指先にまとわりついた。顔をしかめることが何度目かの輪転で ....
感情を上手く話そうとして、何度も口を開けては閉ざした
感情を上手く捉えようとしていたが、目の中を覗き込むほどの
信頼ひとつそこにはあるわけではなく
不安の色は青空を埋め尽くす雨雲みた ....
凍えた指先にへばりつく意地だ
壊れた玩具に染み込んだ過去だ
廃れた音楽に閉じ込められた未来だ
硬く閉じた唇の中で四散した言葉だ
数えた死体の数は歳の分だけ
逃した獲物の大きさは身の丈 ....
照明を落としてフロアーに転がり
腐乱死体の真似をした
ずるり、と
眼球が零れ落ちたときには
なんだか満たされた感じがしたぜ
そのまま灰になり
真っ白い骨格になったころ
携帯に ....
今度は許さない、殺し損ねた俺自身の
殺し損ねた俺自身の中の餓鬼
やたら飢えて、やたら喰い散らかす、喰い損ねたもののことをいつまでも話す
やつの喰い残したものが喉元まで上がってきて俺自 ....
歩む側から忘却に放り込まれるような日
空に向かって突き上がる厳しい風を見たような気がして
傷つくはずの雲を探した、長いこと、眼を凝らして
昨日、少しだけ降った雨の後
呑気な冬が重い腰を ....
時間の狭間は裂けながら君を飲み込もうとしている、逃れる、逃れないじゃなく
それが運命というものだとしたら君はどうする?古い雑誌を読んでいた―忘れたものを取り戻そうとするみたいに
野良犬 ....
飲み干したカップの中、いつのまにか
紛れ込んだ蟻のリングワンデルング
嗅ぎ回り、手を伸ばし、無機質だけどリアルに
生を体現していたその稚拙さ
単純になりたいと思った、刹那だけ
求 ....
僕らは冬の森を行くあてなく歩いた
朝露の名残に靴が濡れ、靴下まで滲んでいた
つきまとう鳥がずっと上の方の枝で試すみたいに鳴いていた
その鳥のくちばしは長い鎌の様なシルエットだった
 ....
眠りが浅くて
何度も同じ夢を見る
形にならない世界
言葉にならない世界の夢


破れたシャツばかり身にまとって
午前零時には目を覚ます
冷たさに曇った窓を見て
カーテンの ....
うつろな夜に足元をもつれさせながら踊る
おまえのことを不器用だとは思いたくはない
月明かりは冷たく、病のように青白く
半身起こしたベッドで夢魔の尻尾を逃した


うつろな夜に ....
瞳を閉じて
静かにしていなよ
いまのおまえには
むずかしいことが多過ぎる
瞳を閉じて
自分が呼吸している事を確かめるんだ
空気が鼻から来て
また出て行くのをたしかに感じるんだ ....
薄暗がりにぼんやりと浮かぶお前のシルエット
 振り切れそうなフーリガンが俺の中で騒ぎ出す、堤防は決壊
濁流の中に投げ出された思春期の残り香がもがきながら見えなくなっていく

 あらしの ....
その夜に刻印は無い、とくにこれといって
しんとした冷たい、しんとした冷たい―隙間風が入り込むだけ
綿毛のように逃げていった古い名前と
綿ぼこりのように積みあがるいらぬ記憶
街路を通 ....
戻れない時間に眼をこらして
お前は明日への抜け道を探そうとしてる
新しい場所へ踏み出す勇気が無いんだろう
明日がいつかの焼き直しみたいになっちまうのは
紛れも無いお前自身のせいさ
 ....
君は凄く不器用で
僕の手を借りなきゃ左手の爪も上手く切れないような娘だった
だけど不思議なくらいこころに届く微笑みを所有していて
触れると指先からラベンダーの香りが流れ込むような娘だ ....
もう一度なんておいそれとは出来ないから
一度手にしたこれを最後まで続けていくだけさ
あれこれと手を出しても
出来る事なんてだいたい決まっているから
これだと決めたことを最後までやってい ....
目標のために歩きすぎた男が疲れ果て国道の自販機にもたれる
もはやそれが何のためかも判らず、目はかすみ、喘ぐように
排気ガスと埃に汚れた空気を吸い込む
ああ、あいつの心はもうすぐ折れてしま ....
おまえの首の引っ掻き傷を吟味してこのあとの綴りを決めよう、食い尽くすには惜しいほどの欲望だ、互いの首に絡み付いて―そのあと老いぼれるかどうか飽きるまで確かめてみようじゃないか
夜はベッド ....
教会の裏庭で
もう使われていない
左側面に大きな穴の開いた焼却炉にもたれて彼女と愛し合った
それをしたいと言ったのは彼女で
僕らがもう少しで別れ話をするだろうことは目に見えていた
 ....
派手に着飾って、香水を叩いて
俺を迎え入れる準備をするんだ
不手際を見つけたら二度とは訪ねないぜ
完璧なスタイルで物事を始めるんだ

街路には迷子が散乱してる
年端もいかない母 ....
俺のあたまのなかにひとつの答えがある、おまえのあたまの中にもうひとつの答えがある
それはおなじことについてなのに、まったくちがうことについてのふたつの答えのように見える
だけどそれは間 ....
夕焼けが雨雲に隠れて
使った後の絵具バケツみたいな色になる
マクドナルドの店先で備え付けの灰皿に吸殻を押し付けながら
やがて来るだろう雨の気配に唇をゆがめている
「オレンジの缶詰を買ってくる」 ....
いま、わたしは玄関の隅のしおれたパキラの、枯れた葉を一つ手に持って
騒々しく消えていった大切なひとつの
約束のことをまざまざと思い出していた

「キンモクセイが香る季節などに嘘をつ ....
長いことほったらかしていた
自転車のハンドルとサドルを拭いて
空っぽのタイヤに空気入れ
寒くなりはじめた街に
長袖でくり出す

鮮やかな白と紺が
入り混じる通学路
生徒達は ....
シューズボックスの中で朽ち果てていく過去は
いくら叫んでももう遠く届かない場所
あのころおまえが一番好きだった
動脈を流れる血のような紅いヒール

汚れた爪先にくちづけをして
 ....
ホロウ・シカエルボク(1233)
タイトル カテゴリ Point 日付
沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えてい ...[group]散文(批評 ...0*08/1/2 21:06
沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えてい ...[group]散文(批評 ...007/12/27 21:59
沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えてい ...[group]散文(批評 ...1*07/12/23 21:58
沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えてい ...[group]散文(批評 ...007/12/22 21:46
沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えてい ...[group]散文(批評 ...0*07/12/19 21:23
イノセント自由詩1*07/12/17 21:52
暗闇の色味を塗り分ける(決して塗り潰すものではなく)自由詩2*07/12/14 22:13
腐乱同然、レディゴー・ベイビー自由詩007/12/13 20:49
餓鬼を切り刻め自由詩007/12/8 0:08
回帰線自由詩3*07/12/4 20:24
ホワイ自由詩2*07/12/2 0:16
本物のパントマイムはよく出来た嘘に過ぎない自由詩3*07/11/27 22:17
さよなら世界自由詩0*07/11/25 22:13
グッドナイト自由詩3*07/11/23 22:17
ダンス(同じ小節)自由詩3*07/11/21 21:22
眠りがすべてを抱きしめるなんて嘘さ自由詩5*07/11/19 20:47
三日月の夜、フーリガンとエクスタシーが相対するセミダブル自由詩2*07/11/14 22:48
それで手に取ったミルクはどんなふうに始末をつける?自由詩3*07/11/12 22:51
卵の焼き加減に対して語ることがあるとするならばだ自由詩2*07/11/10 23:22
Don't Tear Me Up自由詩2*07/11/7 22:54
アンジーのシャープなハイキックが決まればだいたい問題なんて無 ...自由詩007/11/6 21:51
亡霊の午後自由詩1*07/11/5 21:49
老いるだけが死じゃない(詩にそれは言えない)自由詩1+*07/11/2 21:11
あの日、教会の裏庭で彼女は微笑みさえした自由詩3*07/11/1 23:50
予想以上のことが出来るといい自由詩3*07/10/30 23:42
と、いうような意味のありそうななさそうな戯言を僕は大きく足を ...自由詩1*07/10/30 0:23
べつに渇いちゃいない(Do you like me?)自由詩5*07/10/28 21:13
最後の手紙は出口から届くだろう自由詩3*07/10/27 22:53
よく判らないけどうまくない気分と幸か不幸かはたぶん関係がない自由詩3*07/10/26 22:53
Don't Call Me Up自由詩3*07/10/24 21:17

Home 戻る 最新へ 次へ
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 
0.39sec.