交錯詩「風」奥主 榮  萌木 碧水
鵜飼千代子

                奇数行:萌木 碧水
                偶数行:奥主 榮

  するり とすぎた
   形がないまま ふわりと
  いま なにが流れたの
   頬をかすめる けはいのよう
  耳もとで ささやかれたような
   草達は くきの先だけを揺らしている
  ほほを なぜられたような
   木々は 枝のあいまを ぬけさせる
  ふみとどまるのは もうやめよう
   雲のかげ 地平線へとしっそうし
  つれさられてみよう
   日差しは ないでしまった
  ほら 身をまかせて
   くすっと笑って 身をひるがえし
  ふわりとういて
   ぽけっとの中のがらくたを おきざりに
  ほどけるこころ
   たなごころに 乗せきれなかったものは
  かたちがなくなり透けていく
   小さな かけらになって ながれていく

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                奇数行:奥主 榮
                偶数行:萌木 碧水

  形がないまま ふわりと
   するり とすぎた
  頬をかすめる けはいのよう
   いま なにが流れたの
  草達は くきの先だけを揺らしている
   耳もとで ささやかれたような
  木々は 枝のあいまを ぬけさせる
   ほほを なぜられたような
  雲のかげ 地平線へとしっそうし
   ふみとどまるのは もうやめよう
  日差しは ないでしまった
   つれさられてみよう
  くすっと笑って 身をひるがえし
   ほら 身をまかせて
  ぽけっとの中のがらくたを おきざりに
   ふわりとういて
  たなごころに 乗せきれなかったものは
   ほどけるこころ
  小さな かけらになって ながれていく
   かたちがなくなり透けていく

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                 1997年 6月 7日 奥主 榮


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自由詩 交錯詩「風」奥主 榮  萌木 碧水 Copyright 鵜飼千代子 2010-02-01 15:54:31
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