交錯詩「路地」奥主 榮  萌木 碧水
鵜飼千代子

               奇数行 萌木 碧水
               偶数行 奥主 榮

  この先を曲がりいる
   だらんとぶら下がった
  はたとしずまり
   くもの しっぽの先に
  かすかなエンジン音さえ風の声
   曲がりくねった板塀が
  ないたっていいんだよ
   あてもなく続いている
  ほら、からだをほどいて
   静電気をまとった少年が
  ゆるゆると折れる道を行き
   風に肌をさらしたまま
  道の端の小さな花も
   水槽の中で揺れるように
  朽ちかけた家々の壁も
   土埃をたてる
  清しい気で包みこむ
   街灯のスイッチが入ると
  もうすぐいつもの顔になる
   光は窓へと連なっていく
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 以下に交錯前の元の詩を掲載いたします。
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   路地              萌木 碧水

この先を曲がりいる
はたとしずまり
かすかなエンジン音さえ風の声
ないたっていいんだよ
ほら、からだをほどいて
ゆるゆると折れる道を行き
道の端の小さな花も
朽ちかけた家々の壁も
清しい気で包みこむ
もうすぐいつもの顔になる
-------------------------------------------------------------------------------
     路地            奥主 榮

  だらんとぶら下がった
  くもの しっぽの先に
  曲がりくねった板塀が
  あてもなく続いている
  静電気をまとった少年が
  風に肌をさらしたまま
  水槽の中で揺れるように
  土埃をたてる
  街灯のスイッチが入ると
  光は窓へと連なっていく



 「最初に題名だけ決めておいて、相手の書いているの
は見ずに行う共作」である「交錯詩」。
 萌木さんとはメールで共作しました。
 会議室での交錯詩のやり方は、まだ確立していません
が、この会議室では鳶嶋さんを中心に、交錯詩の方法が
試みられています。
 興味のある方は、是非ともご参加下さい。
                  1997年 6月 27日 奥主 榮


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萌木碧水「路地」 処女詩集 ブルーウォーター 所収
 


自由詩 交錯詩「路地」奥主 榮  萌木 碧水 Copyright 鵜飼千代子 2010-02-02 18:52:31
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