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 ジャンジャン横丁を
 制服姿の女子の二人乗りが突っ切って行ったのは
 もう十数年も前になる

 後部に座る子の脚が長いのか
 見送ると大胆に
 自転車の幅からすんなり伸びる白が左右 ....
 
 JRの車輌、
 扉の傍に立った私の向かい側にいて
 身を寄せ合う二人の男性
 
 つい見惚れてしまう私の目には
 まるで月のもと
 ただ蒼白く静まりたる世界で
 澄んだ瞳に引きし ....
 朝のスープの
 セロリの香り

 悲しかった様な気がする昨夜の夢を
 おぼえていない 朝の靄
 一匙ごと かるくスプーンを動かしていると
 一口ごと すくいとられて胸の中へ流れこむ

 ....
 いく本かの 樹が
 チロチロ陽を洩らす太い枝に一羽きて
 また二羽が来る
 小さな頭を左右に振って
 最初にきた小鳥が身を投げ出すように低空飛行
 今し方 私達が登って来た細道へ向かう
 ....
 ある晴れた日に一軒家の庭で
 赤い五枚の花片をしっかり開く大きな花を
 母と見たのは昔の話
 花の名前が思い出せずに 覚えた小さな胸さわぎ

 茎が真っ直ぐに伸びた葵科の花
 「この花は ....
 
 仮設足場組立工事が始まると 
 いつの間にか ダークグレーな防音シートは 
 しのつく雨に暗く、まるで
 封建制度の時代にたてられた牢獄の様に
 そびえていた

 からだのモヨウが ....
 
 熱帯植物のあでやかな緑生い茂る中に
 消えていった友人の後ろ姿
 
 呼吸の度 緑の香が私の心染めてゆく

 樹々の名前など知らない
 私の身体中が
 心中が
 熱帯樹のしめり ....
 花の時がすんで
 雨の時が来
 山の青く美しい時がすんで
 薄墨にけむる時が来

 それでも あなたがそばにいてくれると
 私の心は
 ブラインドカーテンから差し込む朝の光に
 床を ....
 僕の隣に立つ女は長身でショートカット
 切れ長の吊り目が奥二重
 パーマのかかった短いまつ毛
 手に布製のブックカバーを持っている

 ああ、どうして彼女は
 こんな下地の色に淡雪の様な ....
 熱いゆげをわけて
 ちりれんげですくって
 ふう ふう 吹いて食べるのです

 舌の上にのせた豆腐が
 かすかに香って崩れる時
 ふと時間は逆戻り

 勤め帰りのスーパーで
  ....
 さっきから私の背を追ってくる
 オヤジ節の様な咳払い
 切れない痰のしつこさに男はどんな顔しているのだろう

 振り返り見ず 歩く私の前にはさっきから
 くるくる回る
 まぶしい笑顔のデ ....
 京都駅構内のアスティロード商店街を抜けて
 おもてなし小路を行くと連れの彼女が独りごちる
 「うわ、六百十五円やて!」

 何事かと 彼女の視線みると
 老舗珈琲店の店先ショーケースにはり ....
 比良の山を
 汲みあげようと柄杓星
 ゆったり横たわる りゅう座の下に

 カシオペアの東には
 アンドロメダがのびやかな弧をえがき
 めぐる星座は三百万光年の彼方の大銀河を抱いて
  ....
 ベランダで洗濯物を干す
 私の耳にずっと
 とどいている安穏な響き

 それは近所だけれど少し離れているため
 うるさくもない 建設中のマンション工事の音

 手が空いて 見下ろす ....
   ✴︎サルルンカムイ

 丹頂鶴って、アイヌの人たち神様て呼んできたんやね。
 湿原の神!高貴やんなぁ。

 池を模った浅いプールで一羽が まかれて有る小魚を 
 黒い足先添えながら長 ....
 {ルビ十重奏=デクテット}な鈴虫の競い鳴きに
 飲んだアイスコーヒーのグラスもそのまま微睡む 
 日暮れ前

 曇りならば昼間でも鳴く
 それは{ルビ八重奏=オクテット}から{ルビ七重奏= ....
 クラスメートのMさんは
 その日も
 大学生の彼氏の自慢話ばかりする
 そんな彼女と近頃
 廊下でたまにツーショットだったS君とが中庭で二人
 待ち合わせて下校する姿を見てしまう

  ....
 背筋を伸ばして立つ
 その人の目は前方の二番ホームがある背景へ
 据えられている様に見えた

 腕まくりされたワイシャツ
 右手が口へ運ぶ平たくて長いパン
 大口でかぶりつき頬張って噛む ....
 京阪電車の踏切渡った坂道で
 目に付く酒房の黒い看板
 『道草』は
 今朝も眠りについたまま
 
 道幅せまい通り
 店とは反対側を歩く私は
 人の流れを避けて立ち止まる

 登校 ....
 繁華街は夜になれば
 ネオンが真向かいから躯にしみ入って来る
 路地に流れる舗装された浅い溝の様な川の側、
 一軒の隠れ家的な 名曲喫茶があった

 水曜日になると
 ねずみ色のスウ ....
 よる
 音が 音に渦をなし
 風が風との 
 谷間をなして
 私が 私のゆめを捨てる

 二十三時ごろ だったと思う
 玄関先でスニーカーを履いていたら
 「ノンちゃん、僕だけど。」 ....
 ビルの谷間に皐月風
 それは歩道の正面から運ばれてきた
 若い男の声だった

 パパなお前のキモチ分かる。分かってるから今日ユラちゃんに謝ろうな。

 ギョロリとした目に たらこ唇
  ....
 近所の大手スーパーの出入口横手に
 地元農家の主婦たちによる行商で
 人集りができている

 休日 何とは無し
 その溢れる活気へ混じり気分良くのぞいてみる

 あれ?もう無いの、 ....
 泉涌寺の
 楊貴妃観音
 のお堂の前に
 春の日が暮れて

 ほのぼのと薄く紅
 開きそめて囁く枝の
 下に 微かな響き伝え
 息づいている空気が在る

 遠い春雷の 音ない震え ....
 気持ちの不安で落ち込んだり
 あるいは高揚感に落ち着きの無くなってしまう時
 深呼吸する
 そして私はシングルポイントの六角柱水晶を握る

 掌の柔らかい部分に三辺の角が当たり心地良く
 ....
 ペールベージュのストッキングの脚は歩く度
 踵に隙間のできるパンプスが
 擬音で表現しずらい音を立てる

 そのアレグレットな足音に
 澄んだ媒介を感じとって 
 追い抜かず 私は着いて ....
 それは直径十二センチのバースデーケーキだった
 スポンジ全体に
 塗られる甘みをおさえたクリームと
 細かいおろし金で削られたホワイトチョコレート
 が、一面に振りかけられて
 まるで遠い ....
 会社では広大な敷地内を 車と自転車が往来する。
 歩行者には「さわやかあいさつ通り」と名称される
 アーケードの歩道が設けられている。

 東の正門で守衛室に社員証を提示しても
 配属先の ....
 自宅でお留守番するウサギは
 あちこち破れたからだを丁寧に縫い繕われた
 ぬいぐるみ

 社員食堂で晩ご飯を済ませ帰宅する暗い空間
 蛍光灯が点くとよろこぶウサギに
 ただいま を言 ....
 あのトマトジュースが飲みたいわ!

 それは缶やペットボトルで売っていない
 ある喫茶店で飲んだ
 初めての味

 こっからだと、ちょっと歩くけど大丈夫か?
 
 夕刻にはまだ早い「 ....
平瀬たかのりさんのリリーさんおすすめリスト(128)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
新世界にて[まち角6]- リリー自由詩5*23-6-10
ゼウスの子[まち角5]- リリー自由詩2*23-6-10
ひとつの歌- リリー自由詩4*23-6-8
- リリー自由詩7*23-6-4
紅葉葵[まち角4]- リリー自由詩6*23-6-4
ニュータウン[まち角3]- リリー自由詩4*23-6-3
温室- リリー自由詩5*23-6-1
べにいろ- リリー自由詩3*23-5-30
グラデーション[まち角2]- リリー自由詩6*23-5-28
湯豆腐- リリー自由詩9*23-5-26
- リリー自由詩3*23-5-24
アップルパイ- リリー自由詩8*23-5-23
銀河- リリー自由詩4*23-5-22
落陽- リリー自由詩3*23-5-18
At__The__Zoo___①- リリー自由詩2*23-5-17
アンサンブル- リリー自由詩7*23-5-15
ある星- リリー自由詩3*23-5-15
ワンカット- リリー自由詩5*23-5-14
金のカギ(改訂)- リリー自由詩1*23-5-10
ねずみ色の上衣- リリー自由詩1*23-5-9
留守番電話- リリー自由詩5*23-5-9
メドゥーサの瞳- リリー自由詩4*23-5-8
朝市- リリー自由詩4*23-5-5
楊貴妃桜- リリー自由詩7*23-5-4
石について- リリー自由詩11*23-5-3
青紅葉- リリー自由詩4*23-5-2
白のメッセージ- リリー自由詩5*23-5-1
朝の月- リリー自由詩10*23-4-30
竹林- リリー自由詩8*23-4-28
セ・シ・ボン- リリー自由詩3*23-4-26

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