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プロペラから
風が生まれる
その中心を
つかんで
風を止められるかどうか
幼いきょうだいが
度胸だめしをしている
扇風機の首振りボタンで
風を分けあって
涼と熱を共有していた
....
夕暮れても
大地の熱は
冷めやらず
もうすでに
花も穂も枯れ
ただの茎となったすすきは
すとろうとなり
土に埋まる子らは
それを吸って
生き返る
一本であったら
孤独に揺 ....
パチンと弾けとんだ
洗濯バサミ
ひらいて、はさむ
どんなに風の強い日だって
あなたがいいというまで
ただもくもくと
しがみついてきた
のに
繰り返されてきた
しごく簡単な仕組みが ....
ひたひたと
ありったけの水を吸い上げ
あおく
あかく
丸く
咲く
装飾花は結実しない
ただ
水をひたらせる
小雨
大雨
さみだれ
にわか雨
夕立ち
根拠のない憂鬱 ....
ぷらすちっくの小さな筒型の編み機には
五つの突起がついていて
人造絹糸を星のかたちに結わえたら
それが
りりあんの始まり
食べ散らかした夏蜜柑の皮
白黴の生えた白パン
蟻の住処は大洪 ....
──わしが死んでも
この時計は捨てんでくれよ
親父はよくそう言っていた
死んでから
それがたったひとつの
遺言らしきものだったと思い当たる
祖父がやっていた
はんこ屋の店先に ....
人は
はぎとった他者に
記し
記してきた
鳥は記さない
慈しみあう
つがいの声は
白い森に響き
溶けて消えていくだけ
{ルビ草子樺=そうしかんば}は
カバノキ科シラカバ属 ....
閉じられた瞼は
眼球にやさしくかけられたさらし布
或いは
フリンジのついた遮光性の高い暗幕
時折
なにかに呼応して
波打つように
揺れる
ベビーカーのハンドルに止まったちょうち ....
おそらくは
やわらかな春の香り
おそらくは
かぐわしい早乙女のような
おそらくは
この世に用意された
おびただしい
喜びと悲しみのあわいで
おそらくは
それは
幻の香り
さく ....
浴槽の栓を抜く
しばらくは何事も変わらない水面
さざ波のそぶりさえない
今 渦中では
見えない引力に導かれ
出口へと
まさに水が
わあわあ殺到しているというのに
ことの始まりは
....
ゆくすえは
どこまで見まもることが
できるのだろう
吃音のことで
それほど悩んでいたなんて
知らなかったけれど
親は子の悩みを
まるごと肩代わりすることはできないし
してあげたいけ ....
「ママ、なんでみどりなのに、あおっていうの?」
信号を指さして
そう問う
まだ乳くさい我が子を
天才だ! と思った遠い日
わたしは
なんと答えたのだろう
仮に
みどり、と名づけ ....
【緑の風】
一輪車に乗った子供が
緑の風をうけてゆく
不安定なのに
軽快に
不安定だからこそ
愉快に
たったひとつの輪さえ
あればいい
【蕗によせて】
....
デイサービスの
老人たちが
歩行訓練を始める
ゴールで
待っているものは
何であるのだろう
長い廊下
張り巡らされた手すり
かすかな息遣い
静かな午後の
クラブ活動
次の冬のために
てぶくろを洗う
寒くなると
きまって血流障害を起こす
私のやわな指先を守るための
カバーたち
毛糸で編まれたもの
外国のお土産でもらった
ムートン製のグローブみたい ....
声がする
崖っぷちに
かろうじて
爪を立て
呼んでいる
誰かを
よるじゅう
求めている
雨に打たれて
傘も持たない
家もない
母もない
優しい思い出も持たない
痩せた猫が
....
「かあさん、コンビ二で『レシートいりますか?』って言われたら
なんて答える?」
と中学生の娘が聞く。
「ふつーに『いりません』というかなあ」
と私は答えた。
「えっそうなん。私はどう ....
るる、と呼べば
りら、と響く
それは歌
スノードロップが
白い鈴を鳴らしている
水仙が
黄色い笛を吹いている
{引用=合唱団の申し込みは
春色のポストへ出してください
....
もう なんにちも
雨は降らないし 降りようがない
雨乞いの呪文も
もはや効き目は薄れ
わずかばかりの
水を流して
やり過ごしている
{引用=さかな 苦しいだろう
さかな 底に怯え ....
日曜日の朝風呂は
どこか わくわくとして後ろめたい
隣のおばさんがそろそろパクチー(犬です)を
散歩させる時間
湯気でくもっている気配の浴室の窓をちらり見て
一体誰が入っているのかしらんと思 ....
女の子の
苗字と名前にある
わずかな空白に
小さな川が流れて
いる
せせらぎのような気安さであるから
そこをいったりきたりすることが
できる
時々流れてくる桃を
無邪気に拾って遊んで ....
わたしたちは
いつだって
傘のかなしみを知らないのです
雨は水のふりをしているけれど
あれは
悪魔なのです
今は悪魔であるけれど
もとは穢れなき天使だったのです
傘は特別製の防御服 ....
一枚の紙を
折りたたんでいく
半分に折れば
にぶんのいちの面積の
しかくが出来る
そこには
重なる相似形
出来上がりの形を
思い描きながら
そっと指で伸ばしていけば
ちいさなさ ....
ごすいって
ひすいに似たような
石
たおやかに
睡り続ける
午後
もくもくと
宝石になる練習をしよう
纏足の爪先から
あたたかな成分が溶け出していく
あらがえない{ルビ麻薬=レ ....
なぐさめが
嘘だと知っていた
けれど
この世の中に
ほんとのことなど
在るのだろうか
わたしの躰に産みつけられ
冬を越した
薄黄色い{ルビ卵=カプセル}が
もうすぐ
孵化を始め ....
まばたきには
ばね がついていて
どれだけ
すばやく
まぶたを
弾ませられるか
競いあっている
{ルビ双子=シンクロ}
持ち主に
気づかれてはだめ
そんなに
凝視しても
真 ....
備え付けの
グレイのロッカーの扉を開けると
中に針金のハンガーが二本
ぶらさがっていた
わたしの前に
入院していた人が
使って残しておいたものだろうか
ただ一本の針金からできてい ....
冬の涙はさらさらで
誰も引き止めるものはない
蜂蜜ほどの粘度があれば
甘く熟成されようが
冬の涙が歩き出す
朝の魔法にうながされ
あなたの窓に
わたしの窓にも
偶然触れてしまった
手と手の間に
青い花火が散ったのを
キミは静電気だと言ったけれど
人と人の間に
ぶつかって発生する電気信号みたいなもんさと
ボクは思った
キミが粒ならボクもありふれた ....
みいちゃんは
働きながら
ずっと両親と同居して
後半二十年は介護して
ようやく見送りました
パラサイトシングルとか
親離れできないとか
みいちゃんのことを
呼ぶ人もいたようです
....
るるりらさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト
(240)
タイトル
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カテゴリ
Point
日付
【凪】詩人サークル「群青」七月のお題「風」から
-
そらの珊 ...
自由詩
20
13-7-21
すとろう
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
13-7-16
プラスチック哀歌
-
そらの珊 ...
自由詩
23*
13-7-11
水の器
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
13-6-25
りりあん
-
そらの珊 ...
自由詩
21*
13-6-18
親父の遺言
-
そらの珊 ...
自由詩
17
13-6-16
【草子樺】_詩人サークル群青_6月の課題『慈』から
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
13-6-11
おさらい
-
そらの珊 ...
自由詩
26*
13-6-8
花まんま
-
そらの珊 ...
自由詩
22*
13-6-4
うず
-
そらの珊 ...
自由詩
22*
13-6-1
ゆくすえ
-
そらの珊 ...
自由詩
21*
13-5-29
【仮にみどりと名づけてみる】群青五月のお題、緑から
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
13-5-25
【緑化帯】_詩人サークル「群青」五月のお題「緑」から
-
そらの珊 ...
自由詩
26*
13-5-21
a_scene
-
そらの珊 ...
自由詩
8*
13-5-21
カバー
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
13-5-18
痩せた猫
-
そらの珊 ...
自由詩
21*
13-4-9
『あっ』というクッションに似たもの
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
7
13-4-8
るるりらイズム
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
13-4-6
川という女
-
そらの珊 ...
自由詩
19*
13-3-30
準急列車が出発します
-
そらの珊 ...
自由詩
19*
13-3-23
川岸にて
-
そらの珊 ...
自由詩
18*
13-3-20
カサノ_カナシミ
-
そらの珊 ...
自由詩
19*
13-3-18
家族の音がする
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
13-3-4
午睡_或いは崩れ落ちる砂の壁
-
そらの珊 ...
自由詩
24+*
13-2-23
宴_/__春の祝福
-
そらの珊 ...
自由詩
19*
13-2-18
ばね
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
13-2-15
針金ハンガー
-
そらの珊 ...
自由詩
23*
13-2-7
窓
-
そらの珊 ...
自由詩
12*
13-1-31
スクールデイズ
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
13-1-29
みいちゃん
-
そらの珊 ...
自由詩
12*
13-1-23
1
2
3
4
5
6
7
8
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